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第98話 はぁ~、妙な縁だな

 椎名さんが龍の姿となって飛び立ったという話を聞くなり、どちらに向かったのかその時現場に居た者達の話を聞いた所、どうやら王都に向かったようだと分かった。

 嫌な予感しかしないので、僕は本隊より先駆けて先遣隊を出す事にした。

 指揮はイザドラ姉上が取り、付いて行くのが僕、ロゼティータ姉様、ミリアリア姉ちゃん、ユエ、そして村松さんだった。

 行軍を急ぐ為、姉上の軍勢の一部と村松さんの部隊と共に王都へと向かった。

 馬車などに乗らず用意されている騎乗用の魔獣に跨り駆けた。

 姉上が龍になって乗りませんか?訊いてきたが、前世で鞍も付いていない龍の背に乗って酷い目にあった事があるので丁重に断った。

 そうして、時々休憩を取りながら駆ける事一日。

「ようやく、王都か」

 かなり時間が掛かったが、王都が見える所まで来た。

「やれやれ、龍の娘一人勝手に行動しただけでこのような苦労を負うとは」

「まったくじゃな」

 姉上と姉様が不満を漏らす。

 すいません。前世の友人が迷惑を掛けて。

 そんな事を思いながら王都の防壁を見ると、其処には白い旗が掛かっていた。

「あれ~? まだ攻撃も交渉の使者も出してないのに白旗が上がっているよ?」

 不思議そうに首を傾げる姉ちゃん。

「包囲される前に降伏の意思を示したのかも知れないな」

「もしかして、ユキッチが何かしたのかな?」

「分からん。だが、行けば分かるだろう」

 ユエがそう言うので、僕達は行軍を再開した。


 王都の正門前まで来た。

 白旗が上がっているからか、門も開いていた。

「これは、完全に降伏を示しているという事じゃろうか?」

「だと思います。ですが、まだ油断するには早いと思います」

 姉上が警戒を緩めるなと言うと、皆は顔を引き締めた。

 そうして門を潜ろうとしたら、前方から馬車がやって来た。

 馬型の魔獣を二頭立てにした馬車がゆっくりとこちらに来るのが見えた。

 それを見た皆は警戒心が一気に上がりいつでも戦闘態勢に移行できる様にしていた。

 ゆっくりと進む馬車。僕達の近くまで来ると停まった。

 馬車の扉が開いた。誰かが出て来ると思い、注意を向けると。

「あは、来たんだ。リウイ君」

 何と馬車から出て来たのは椎名さんだった。

 馬車から降りると、僕の傍まで来た。

「椎名さん、これはいったいわぷっ」

 僕が何事だと聞こうとしたら、僕を抱き締めて来た。

「もう~、雪奈って何時も言ってるのに」

「こんなに人が沢山いる所でそう呼ぶのはちょっと」

 というよりも、言った瞬間、ユエが何かしそうで怖いんだよな。

「ふふふ、照れちゃって可愛い」

 椎名さんは僕に愛しそうに頬ずりしてきた。

「ぐぐぐ、ぽっと出の馬の骨如きが、リウイを抱き締めながら頬ずりをするとは・・・・・・」

「お主は何時もしているじゃろう」

「だよね」

「わたしは良いんです。姉なんだから、でも、あの女は身内でも何でもないでしょうっ」

「その内『義姉様』と呼ばれるかもしれんぞ?」

「い~え。、わたしはぜっっっったいに認めませんよ。この目が黒い内はリウイはぜっっったいに嫁をとらせるものですか‼」

 それじゃあ入り婿は良いのかと思うが、言わぬが花だ。

「あの・・・・・・」

 椎名さんに抱き締められているので、よく分からないが声が聞こえたので誰かが居るのが分かった。

「ああ、ごめんなさいね。今紹介するから」

 椎名さんは僕を離して背後から抱き締める様にして、声が聞こえた方に僕を向ける。

 その声の主の顔を見た。

「うん? うんんんんんん?」

 何か西園寺君に似ているんだけど? どういう事?

「この子は西園(さいおん)()竜人(たつひと)というの。父親の名前は西園寺颯真と言うのよ」

 ・・・・・・おお、と言う事は西園寺君の息子さんか。

 ふぅん。息子が居るという事だから、向こうの世界では十数年しか経ってないという事になるな。

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