第86話 言葉の意味が良く分かった
「では、屋敷を移動させますか」
イザドラ姉上がそう言って手を叩いた。
すると、部屋の外に居た警備の兵が入って来た。
「閣下。お呼びですか」
「屋敷を起動させる。兵を庭に収容しなさい。終り次第。起動しなさい」
「畏まりました」
兵士が一礼して部屋から出て行った。
その背を見送ると、僕は姉上に訊ねた。
「ねぇ、姉上?」
「う~ん。何ですか?」
先程のピシッとした引き締まった声と違い、砂糖の様に甘い声を出しながら髪を弄る姉上。
ギャップがあり過ぎだろうと思いつつ僕は訊ねた。
「さっきから言っている゛起動〟ってどういう意味?」
「・・・・・・見れば分かりますよ」
どう言えば伝わるのか考えてから答えた。
起動という事だから、恐らく動くのだろう。問題はどう動くのかだ。
考えたのは、僕が見ればどういう原理で動くのか分かると思ったからそう言ったのだろう。
だったら、動くのを待ってみるか。
「それよりも、リウイ」
「なに?」
「今まで何をしていたのか教えてください。・・・・・・アルトリアの報告から何があったのかはそれなりに知っていますが」
はい? 後半が良く聞こえなかったけど、変な事を言わなかった?
・・・・・・まぁ、いいか。
そう思い、僕はこの大陸に来てからあった出来事を話した。
僕が話し出すとミリア姉ちゃんも話に混じって来た。
そう話をしていると、ドアがノックされた。
『閣下。軍団の者達の収容が完了しました。これより起動します』
「分かりました」
『では』
そう言ってドアをノックした人が離れて行った。
さて、起動とはどう動くのかな?
あれかな、何処かの機動要塞みたいに脚が出て来て動くのかな? それともキャタピラが出て動くとか? もしくは、大型魔獣に曳かせるのかな?
どんな方法で動くのかワクワクしていた。
そうして待っていると、前世で乗った事がある気球で味わった感覚を思い出した。
飛行機みたいに速度をつけて上がるのではなく、少しづつ浮遊する感覚。
もしかして、これは。
「浮いている?」
「その通りですよ。リウイ」
姉上は正解した事を褒めてなのか頭を撫でてくる。
「屋敷を見つけた時に風の魔石を使った装置を付けて空に浮かぶように改造したのです。更に、空の魔獣に対抗できる様に魔導砲を数百門を設置して、その上、屋敷全体に結界魔法を常時展開をする事で、速度を上げても風の影響を受けないという効果を出していますよ。更には」
姉上は説明を続けていたが、僕の耳には入っていなかった。
僕が国に居た時はこんな技術なんて無かったぞ。という事は、僕が国を出てから開発したという事か。
これも僕に会いたい一心で開発したのかと思うと何とも言えない。
兄さん達を運んだ魔法も姉上が開発してロゼ姉様に教えたという聞いている。
もしかして、僕が居なかったら魔国の技術が発展するのでは?
そう思ったが、逆に政治が大変な事になるな。
兄上が苦労しているっと言っていたな。
偶に帰れば姉上も仕事をするかな? しかし、それでは国を出た意味が無いと思うな。
でも、兄上は大変そうだったしな。・・・・・・偶に里帰りならいいか。
今回の事が終ったら、姉上にその兄さん達を運んだ魔法を教えて貰うとするか。




