第57話 流石は王宮だ。菓子一つ取っても素晴らしい
馬車が宮殿に入ると中庭へと向かう。
其処で停まるとドアが開いた。
「着きましたので。どうぞ、降りください」
ここまで護衛をした人がドアを開けるなり、そう言うので僕達は一人ずつ馬車から降りて行く。
地面に降りると、出迎えの人達なのだろう。
執事服やメイド服を着た人達がズラリと並んでいた。
宮殿だからか凄い人数だな。
魔国の宮殿に行った時はイザドラ姉様が必ず出迎えてくれたな。
どうか。姉様達が居る時に僕が攫われた事を伝わらない様にと祈る。
最後にリリアンさんが降りると、使用人達から一番服の装飾が大きくて派手な人が出て来た。
「お帰りなさいませ。リリアン王女殿下」
「「「お帰りなさいませ。リリアン王女殿下‼」」」
最初にその人がそう言って一礼すると、他の人達も続けて言って頭を下げた。
リリアンさんはそれを見ても気後れする様子もなく、ただ最初に挨拶した人を見た。
「貴方も元気そうね」
「はい。これも先王陛下がこの地位に引き立ててくれたお蔭です」
「そう。お兄様には会えるの?」
「はい。陛下は直ぐにでもお会いになりたいそうです」
「分かったわ。その前に旅塵を払いたいけど良いかしら?」
「畏まりました」
そう言うなりリリアンさん達は何処かに連れて行かれた。
「えっ、ちょっとっ⁉」
僕もその後に付いて行こうとしたら、使用人が前を遮った。
「貴方はこちらです」
と言われて有無を言わさず僕は何処かに連れて行かれた。
な、何をされるんだっ。
少しして僕は待合室の様な所で一人待っていた。
最初に連れて行かれた所は風呂場であった。
リリアンさんは旅の埃を払いたいとか言っていたが、別に僕はそんな事はしなくても良いんだけどなと思いつつもメイド服を着た人達があれよあれよと僕を洗っていく。
洗われている最中。
「可愛い子ね。姫様方の付き人かしら?」
「さぁ? もしかして婚約者かもしれないわ」
「亡くなった母后様も魔人族だったと言う話だから有り得ない事も無いわね」
という会話を聞いた。
母后という事だから、リリアンさんの母親という事か?
異母兄妹かも知れないから断定は出来ないな。
そう思いながらも僕は全身を隈なく洗われていった。
ふっ。子供の頃からソフィーに洗われていた所為か耐性が出来たからか、何とも思わなくなったな。
これは悲しいと取るべきかそれとも悟ったと取るべきかは分からない。
そうして綺麗になると、次は御着替えだった。
これも姉さん達にお人形の様に扱われたので慣れたものだ。
僕は何も言わず、ただ流れに身を任せた。
そうした方が一番、ダメージが少ないと分かっているから。
どれくらい時間が経ったのか分からないが、それなりの時間は経ったと思う。
それでも、僕が最初に着替え終えた。
リリアンさん達はまだ終わっていなかった。
女の着替えは時間が掛かる物だと前世でも今世でも十分に理解しているので、僕は椅子に座り待っていた。
見張りなのか分からないが、何時の間にか使用人が部屋におりその人が僕の前にオレンジ色の液体が入っているグラスを前に置いた。
飲んで良いのかなと思いその人の顔を見ると頷いたので僕は両手でグラスを持ってその液体を喉ヘト流し込んだ。
うん。甘みが強いけど程よい酸っぱさで後味が良いな。
飲んでいると、ティースタンドも置かれていた。
焼き菓子、軽食などが置かれていた。
食べて良いだろうと思い僕は手を伸ばして食べた。
美味しかったので思わず次から次へと食べていった。
不思議な事に食べている端から追加されていく。
まるで、わんこそばを食べているかのようだ気分だ。
あれってツユも一緒に椀の中に入るから、結構お腹に溜まるんだよな。そう思いながら、僕は菓子を食べていく。




