第24話 手が速いな
店を閉じた後の警備をダイゴク達に任せ、クリストフ親子の護衛をバシド達に任せた。
ふむ。今の所、問題は無い。
しかし、これは守っているだけで攻めてはいない。
これからどうするか考えるべく、信頼できる者を集めてホイルを売っている商会には黒幕が居る事を話した。
「成程。つまりは、そのラクロワド商会がホイルの製造元という事ですか?」
「だと思う」
「しかし、製造したのならどうして自分達の商会で造ったと言わないのだ?」
「それはあれじゃ。欠陥があるからでしょうな」
「欠陥? ハヌカーン殿。それはどのような?」
「わたしが偶々外に出ている時にホイルをつけた馬車に出くわしたのです。わたしが見た時にはその馬車は動いておりませんでした。見た所、そのホイルに穴が空いたようでした」
「穴? という事はそのホイルは中は空洞という事になるな」
「はい。それでも動きはするのようですが、あまりスピードが出ない様です」
「成程」
「穴が空くという事は強度に問題があると考えた方が良いのか?」
「じゃろうな。恐らく材質が違うのか。それとも、作り方がこちらと違うのかのどちらかじゃろう」
アクパラがそう言うと、皆さもありなんと頷く。
「では、今後はどうなさいますか?」
「そこを考えようと、皆を集めたんだ。どうしたら良いと思う?」
「ふむ。であれば、そのデカス商会よりも品質を高めなお且つそのデカス商会の従業員を買収するというのは如何ですか?」
買収か。それも悪くないな。
「しかし、買収するとしたらそこら辺の従業員ではなく少なくとも幹部クラスの者を買収しないと効果はないと思います。幹部で金に弱い者を選ぶのは問題ないでしょうが、その者の心を動かす程の金を捻出するのは少々厳しいかと」
「いや、買収するのであれば別に幹部じゃなくても良いじゃろう。そこら辺に居る従業員を金でこちらに寝返らせて情報を売るだけでも十分な効果じゃろう。後、こちらが有利になるように情報をリークするという方法も使えるじゃろう」
それも一つの手か。しかしな。使い捨てになるかもしれない人に金を払うのもちょっと勿体ない気がするんだよな。
そう思っていると、今まで黙っていたソフィーが口を開いた。
「そもそも別に買収をしなくても良いのでは?」
「と言うと?」
「買収では無くそのデカス商会に嫌がらせをするというのは如何ですか?」
「嫌がらせ?」
「はい。かの商会はわたし達が作ったタイヤと似たような物を作りました。しかし、品質の面で言えばわたし共のタイヤの方が優れています。此処はそれを売りにして町に宣伝をするのです。『デカス商会のホイルは翔鵬商会のタイヤを形だけ真似た粗悪品。買ったら損をする』と」
「情報で相手に打撃を与えるとう事?」
「その通りです。更に此処でもう一手与えます」
「どんな手を使うの?」
「はい。このような手を考えています」
そう言ってソフィーは話に出たもう一手という手段を教えてくれた。
ふむ。成程ね。そんな手段があったか。
「悪くは無いな。皆はどう思う?」
「良いと思います」
「買収よりもこちらの方が大きい物が手に入りそうです」
「ほっほほ、陥れてから救い上げるか、中々の悪じゃのう」
アクパラの言葉に反応しないで、ソフィーは僕を見る。
「リウイ様」
「うん。それで行こう。じゃあ、早速」
「お任せを。既に他の者を使って宣伝しております。明日の朝には広まるでしょう」
流石だ。その用意周到さ見事としか言えないな。しかし、こういう計略を用いる所を見ると、本当にティナの母親なのだろうかと思ってしまうな。




