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閑話 某国の会議

新章突入。

今回は第三視点です。

 ユグドラシル大陸の西方にある国。

 その国の謁見の間にて、会議が行われ紛糾していた。

「であれば、どうすれば良いのだっ」

「何度も言うように今は貿易で国力を富ませるしか方法がないとしか」

「その方法では元の国力を回復するまで時間が掛かるであろうが!」

「ですが。国庫の金は先の戦で余裕ありません。此処は石に齧りついても耐えねばなりません」

「そんな物、東征を行えば直ぐに返せるわ」

「その進軍の費用は何処から出すつもりだ!」

 武官と文官と口角泡を飛ばす激論を交わしていた。

 内容はどうやって国力を回復させるかだ。

 実は先ごろこの国は西方にある国でも大国に位置するカカヴァブオ王国と戦争をした。

 半年に及ぶ戦の末、第三国に仲介してもらい和睦した。

 結果。領土を得る事は出来ずただ戦費だけ嵩んだという事になった。

 今行なわれている会議はその戦費をどうやって返済するかという事を話しあう場になっていた。

 武官は今度は東方にある国と戦争をして領地を奪い戦費を返済しようと言う。

 対して文官は暫く戦を控え内政と貿易に励んで国力を富ませるべきだと言う。

 とは言え、戦に出てもさほど成果を出していなかったからかやや文官の方が発言力が強いようだ。

 だが、武官側も此処で言い負けたら、自分達の立場も無くなるという思いがあるからか弁論に熱が籠っていた。

 古来より武官と文官は仲が良いという事があまりないという会議であった。

 その会議を椅子に座る者は手で顔を覆った。

(文官達の言い分も分かる。戦争をしようにも国庫の金がなけれな出来ないというのは間違いではない。だが、武官の東征を行い領土を奪うというのは利益を得るのと、先の戦で碌な成果が出なかった我が国が侮られない様にするという観点からしたら悪くはない)

 会議をしている者達は立って口論している中、一人だけ座っているのはこの国中で一番偉いからだ。

 この国の王で名をスティードン一世という。

 武官と文官のどちらの意見も悪くないのでどうしたら良いかと考え込んでいると。

「国王陛下。臣、カンタベルが良き案を献じます」

 スティードン一世の傍に控えるロープを着た三十代の男性が話しかける。

「申せ」

「はっ。では」

 カンタベルはスティードン一世の傍に寄り耳打ちする。

「……ふっははは、それは素晴らしい。それであれば問題ないな」

 カンタベルの献策を聞いて、スティードン一世は手を叩いて大笑いしだした。

 その笑い声を聞いて、口論を交わしていた臣下達は口論を止めて自分が使える主を見た。

「皆の者。喜べ。このカンタベルが献じた策がお主らの案を両方こなす事ができるぞ」

「「おおおおおおっっっ⁉」」

 臣下達はスティードン一世の自信満々な宣言を聞いて驚きの声を上げた。

「して、陛下、その策とは」

「お主は千年前に東にあったヴァベリア王国という国を知っているか?」

「は、はぁ。遥か昔に滅んで今ではその国の王都が『廃都』と言われるぐらいでしか知りませんが」

「その国は滅ぶ少し前に行った事を知っているか?」

「確か異世界の者達を召喚して……まさか⁉」

「そちの考えている通りだ。その異世界の者達『渡来人』達を我が国に呼んで戦力にするのだ」

 スティードン一世のその言葉を聞いて、臣下達は顔を見合わせた。

「確かに渡来人達は能力は凄いと聞きますが、しかし使い物になるでしょうか?」

「そんな物。隷属の魔法や魔法道具を使ってこちらの言う事を聞かせればよい。後は帰還できる方法もあるという事を教えれば良い」

「帰還できる方法は分かっているのですか?」

 臣下の一人がそう尋ねると、スティードン一世の代わりにカンタベルが前に出て答えた。

「無論、人数までは設定できないが召喚する方法も帰還出来る方法も記された書物を手に入れて既に解読を済ませいつでも発動できる様にしておる」

 それを聞いて臣下達は唸り声を上げる。

「渡来人達にも戦闘だけではなく内政に役立つ者も居るだろう。戦争出来る者は戦場へ。内政に役立つ者は内政をやらせるのだ。上手くいけば戦争で領土を奪い、内政で国力を富ませる事も可能だ」

「「おおおおおおおおおおっっっ⁉」」

 歓喜する臣下達。

「では、陛下。その召喚は何時頃、行うのですか⁉」

「カンタベル。何時頃、行える?」

「準備に時間が掛かりますが、最低でも半月は欲しいですな」

「あい分かった。では直ぐに準備させよ」

「ははっ」

 カンタベルは一礼して謁見の間から出て行った。

「他の者達は戦争に必要な物、内政に必要な物を準備せよ」

「「勝利(グローリー)()女神よ(オン)我ら()に栄光(アン)を与え(ドラ)たまえ(スタ)」」

 臣下達は胸に手を当ててそう叫んだ後、謁見の間を後にした。

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