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第60話 気になる。

「なかなか利発そうな子に見えますね。この子が例の子なのですか?」

「左様です。ローチュウス閣下」

「そうですか」

 ユエの返事を聞いて、ローチュウスは何かに納得したような顔をする。

「へぇ、この子がね。ディアネンがそんなに気に言ったんだ~」

「セナ。長い事を言っているが、敢えて言わせてもらおう。その変な渾名は止めろ」

「ええ、いいじゃん。わたしとディアネンの仲なんだから~」

 苦言を呈すユエに村松さんはどこ吹く風みたいに気にしてない。

 二人の会話を聞いていると、何か前世を思い出すな。

「リウイ殿。どうかしたか?」

 何か分かりきったみたいな顔で僕に話しかけるユエ。

 内心、ムッとしたが。此処はユエのペースに流されては駄目だと思い気を取り直す。

「いえ、別になんでもありません」

 そう答えて、僕は一礼する。

「初めまして。僕はリウイと申します。以後お見知り置きを」

 本当の名前は長いので省略する。

 僕が堂に入った挨拶をしたので、ユエがローチュウス達を紹介しだした。

「こちらはフェロウ連邦のエルフ領国の公国駐在外交官のローチュウス閣下。そしてこちらが公国にある独立愚連遊撃騎士団『アヴァロン・オルドル』の副団長セナ・M・ソディアス卿だ」

 ユエが紹介すると、二人は頭を下げる。

「ローチュウスです。以後お見知り置きを」

「どうもね~。気軽にセナって呼んでね」

 ローチュウス儀礼的に村松さんは気軽に挨拶して来た。

「はい。よろしくお願いします」

 そう言って、僕はユエにハンドサインを送る。

 ど、こ、ま、で、は、な、し、た、の、?

 それを見て、ユエは直ぐに返事をした。

 お、ま、え、が、も、と、ま、こ、く、お、う、じ、だ、つ、た、と、つ、た、え、た、だ、け、だ。

 ほ、か、に、は、?

 し、ん、ぱ、い、す、る、な、お、ま、え、の、ぜ、ん、せ、の、こ、と、は、は、な、し、て、い、な、い。

 そうか。それだけ訊ければいいや。

 知りたい事は聞けたので、僕は近くの椅子に座る。

「それで皆さまはどのような用があって此処に来たのですか?」

「ああ、それなんだが。リウイ殿。トーマスから聞いたのだが、貴殿はこの都市で商人として売れているそうだな」

「ええ、幸運に恵まれまして」

 主に姉さん達の干渉から逃げる事が出来たとかダイゴク達にあった事とか、母さんの出生を知る事が出来たとか、色々とある。

「正直に言ってここまで成功するとは思っても居なかった」

「はい。それは僕もです」

「そこでどうだろうか。貴殿の器量を公国の副都で試すというのは」

 公国の副都って何処だ?

「すいません。その副都って言うのは何処にあるのですか?」

「ああ、済まない。其処から説明しなければいけないのか。副都というのは公都『ザェクセールズ』からかなり西方にある所に『ドレディンス』という所だ。公都にも負けないくらい大きな都だ。其処で己の実力を試すというのはどうかな?」

 成程。其処で暮らしてみろという事か。

 ふむ。悪くはないか。公国も元は僕が治めていた土地だからな。其処に行くのも悪くないか。

「そうですね。その話」

「ちょっと待った」

 僕が話を受けようとしたら、村松さんが話に割り込んできた。

「別に副都じゃなくても公都でもいいんじゃないの?」

「い、いや、そこは」

「ディアネンの商圏のぶつかる事が気になるの? でも、ディアネンが後ろ盾になるのだから別にぶつかる事はないと思うのだけど?」

「う、う~ん。そうなのだが・・・・・・」

 ユエが言葉を詰まらせながら僕をチラチラと見る。

 公都では何かあるのだろうか?

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