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第55話 見た目は若いけど精神年齢は結構な年齢です

 翌日。


 言われた通りに店の中と前を掃除する。

 そして店の扉には『本日貸し切りの為、営業はしておりません』と札を掛けておく。

 清めておけと言ったので、僕が店前で打ち水をした。

 皆、こんな寒い中バケツの中にある水を水を掛けているのは不思議に思っている様で、通る人達皆、不審そうに見ていた。掛けているのはお湯なので地面に掛けられると一瞬だけ湯気が立つ。

 それを見て、皆何か意味があるのかと興味深そうに見ている。特に意味はない。ただこの都市の地面はコンクリートで固められていないので馬車などが通ると、土埃と埃が立つのでこれで抑えているだけだ。

 何か僕がしている事に興味深そうに見ている中。馬車が四台やって来た。

 その馬車の横側には国旗が掲げられていた。

「赤地に月とツルバン⁉」

「イストリア帝国の国旗じゃねえか⁉」

「何で、帝国の国旗を掲げた馬車が此処に?」

「……おいっ。馬車の後ろに付いている紋章を見ろよっ」

「あん? ……あ、あれは『双頭の狼』⁉」

「あれって、確かイストリア帝国の皇家の紋章だよな⁉」

「そうだ。って事はっ」

 見ている人達が驚いている中、馬車の御者台から人が降りる。あれは、後宮監督官のザイ―ムだったな。

 そのザイームが恭しい態度で馬車の扉を開ける。そして、馬車から目だけ出ている黒い外套で身を包んだ人が出て来た。その外套は身体をすっぽりと包み込めるように大きいので目以外露出していない。

 ザイ―ムがその場で四つん這いになった。その人はザイ―ムの背中に踏んでから地面へと降りた。

 そして、僕を見る。

 何か凄い目力だ。思わず身が竦みそうだ。とりあえず、作業を止めて跪いた。

 跪きながら顔を少しだけあげて、馬車の方を見る。

 そういていると、ザイ―ムが次に馬車の扉を開けて、先程と同じように四つん這いになって、馬車に載っている人の踏み台になった。

 今迄馬車から出て来た人達は目だけ出した黒い外套を身に包んでいる。

 これがイストリア帝国の女性の外に出る時に格好なのか。

 と思っていると、最後に出て来た人の格好を見て驚いた。

 鮮やかなオレンジ色のドレス。身体にぴったりとフィットしている上に、やたらと露出が激しい。

 へそ出し脇の下とか晒しているだけではなく、大きく育った胸の谷間も見せている。生地があまりに少ないので寒そうに見える。

 何というか、こんな寒い中、よくそんな格好が出来るなと思うね。二重の意味で。

 僕が跪いていると、ザイ―ムが僕の傍までやって来た。

「こちらは母后のサフィー・スルタン様。こちらは第一夫人の『(マーヴィ)薔薇(ギュル)』ことセレネ様。第二夫人の『真紅(アル)薔薇(ギュル)』ことヘオス様。最後のこちらの方は」

(スルタン)(カーデシュ)の一人でイレース・スルタンよ」

 ザイ―ムが説明している途中で、イレースという女性が名乗りだした。

「ご紹介いただきありがとうございます。わたしはこの店の店長をしております。リウイと申します」

「へぇ、随分と若いのね」

 ザイ―ム以外の母后たちは僕を見る。

 イレースと母后様方は琥珀の瞳で。第一夫人は青い瞳で。第二夫人は赤い瞳で。

 何か、凄い圧力を感じる。

「ふむ。ザイ―ム。本当にこの者が店長の店で合っているのか?」

「恐れながら母后様。我らもこの都市に入り、あらゆる店を歩き回り探しました。間違いございません」

「そうか。ところで、リウイよ」

「はい。何でしょうか?」

「其方は外に居たようだが、何をしていた」

「はい。皆さまが来るのを待ちながら店の前を清めておきました」

 あながち間違いではないので良いだろう。

「その若さで殊勝な心掛け。天晴である。では、店に案内(あない)せよ」

「はいっ」

 僕は母后様方を店の中に案内した。

 店に入ると、母后様方はアラクネの生糸を見るなり手に取り材質を確認していた。

 すっごい真剣に見ているので、気になってザイ―ムに訊ねてみた。

「我が国の女性は、夫又は家族に服を作る事が出来て一人前の淑女と言われるようになる。それともう少しすると、アスラン陛下のお誕生日ゆえ、皆様方は御自分で服を作られるのだ」

「成程。僕の店のアラクネの生糸が母后様方がアスラン陛下に渡す服に使うに適しているという事ですよね?」

「その通りだ。本来、アラクネの生糸は丈夫だが着色が難しいと言われている。なので、そちらの店で売られている生糸は染めても居ないのに色が付いているので、我が国の上流階級の者達には大層気に入られているのだ」

「はぁ、そうなのですか」

 知らなかった。今迄商人にしか売ってなかったので、そんなに人気があるとは思わなかった。

 そして、母后様方はアラクネの生糸を全部と『エメラルドホーン・ディアー』の角で出来た加工品と毛皮で出来た加工品を全てお買い上げになった。

 皆様方、ホクホクした顔で馬車に乗っていった。

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