第4話 数日歩くと
着岸した所から、数日程南下してようやく湾岸都市『ヨドン』に着いた。
「着いたね~」
少し離れた所で『ヨドン』を見上げる僕はアルトリアの背に乗っていた。
湾岸都市だからか城壁などはないが、その大きな水堀があった。
堀の水中には魚が居る所を見ると、水は海から引いているのだろう。
「ねぇ、リウイ」
「なに? ティナ」
「着いたのは良いけど、都市の中に入ったらどうするの?」
「そうだね。まずは宿泊できる所を探して、それから何処に行くか決める事にしない」
「う~ん。それは良いのだけど」
ティナは後ろを見る。
「これだけの人数を連れて行ったら、宿泊施設を見つけるのも都市に入るのも大変よ」
「ああ、確かに」
軽く千五百人近く居るからな。
此処は人数を減らしてから入った方が良いな。
「まぁ、あたしはリウイの世話をしないといけないから、外される事はないでしょうね」
自信満々に言うティナ。
「ああ~、もう、リウイの世話は大変なのよね~」
「それなら付いてこなくてもいいよ」
「なんでよ⁉」
何で逆ギレするの?
「別にシャリュやソフィーも居るから、付いてこなくて問題ないし」
「むうう、リウイっ」
「なに?」
「あたしはリウイと同い年だけど、あたしの方が先に生まれたのよっ。お姉ちゃんなのよっ」
「そうだね」
「だから、お姉ちゃんの言う事を聞きなさいっ」
「嫌だよ」
「もしかして反抗期?」
「反抗期って、何を言っているの?」
精神的にそんな年齢ではないのだけど。
ティナは頬を膨らませて怒り出す。
「落ち着きなさい。ティナ」
怒るティナを見て、口を挟むソフィー。
「母さん……」
「リウイ様と離れたくないのは分かるけど、我が儘を言わないの」
「べ、別にリウイと離れたくないとは言ってないもん」
唇を尖らせるティナ。
「じゃあ、リウイ様と一緒に行かなくても良いわね?」
「それも嫌っ」
無理難題を言うティナをニコニコと微笑むソフィー。
「じゃあ、リウイ様に付いて行く?」
「・・・・・・・うん」
「という事で、リウイ様。ティナを連れて行ってくれますか?」
「別に良いけど」
僕はティナを見る。
「ふんっ」
ティナは顔を背けて、僕を見ない。
さて、誰を連れて行くかちょっと選んでくるか。
数時間後。
「では、いってらっしゃいませ」
「お気をつけて」
リッシュモンド達に見送られて、僕達は都市に向かう。
都市に向かうメンバーは僕。アクパラ。アルトリア。ティナ。ハヌマーン。アングルボザ。アルネブ。フリ。ゲリ。デネボラの十名だ。
下半身が蛇の『ジャミニン』族やアラクネ族は目立つので却下した。
其処からは厳正な抽選の結果。このメンバーになった。
「リウイ殿。よろしく、お頼み申す」
頭を下げながらそういうのは、白く丸い独特な形をした帽子を被っていた。
その帽子に合わせてか、白いゆったりとした長い衣を纏っていた。
この者はハヌマーン。『モンガド』族長の弟だそうだ。
部族では知恵袋として重用されていたそうだ。
そんな人物が、何で僕に着いてきたのかと、海上生活をしていた時に訊いてみたら。
『拙僧は前々から、魔国の外の世界はどんな世界なのか知りたくて、こうして付いてきた所存』
それを聞いて、知識欲がある人だと思った。
知識とは、悟って知る事だって、前世の何かの本で読んだな。 余談だが、ハヌマーンはラヌヤマ教という『モンガド』族長が信仰する宗教だそうだ。詳しくは聞いてないが、ドルイドとかみたいな樹木信仰みたいなものだと思う。
「こちらこそ。よろしく頼む」
知恵者だそうだから、困った事があったら頼りになるだろう。
僕達は選抜したメンバーを連れて『ヨドン』へと向かう。




