閑話 ???の一日
眠っていたわたしの鼻に懐かしい匂いが香った。
わたしは目を覚まして、周りを見た。
其処には、大きな水晶以外は何も無い所だ。
「……今、懐かしい匂いがしたのだけど……?」
わたしは首を傾げた。
その匂いはもう嗅ぐ事も出来ない匂いなのに、どうして?
そう思いながら、わたしは水晶を見た。
その中には、わたしの大好きなものがある。
わたしはそれに近付けて、顔を擦りつける。
「・・・・・・×××××・・・・・・×××××・・・・・・」
その水晶の中にあるものを見ながら、わたしは呟く。
懐かしい匂いを嗅いだ所為か、何時もより余計に顔を擦りつけた。
そうしていると、何処からか話し声が聞こえて来た。
「ここに・・・・が居るのか?」
「ああ、間違いない。長年の探索で此処で暮らしている事が分かった」
その声と共に数十人の足音が聞こえて来た。
全く、何処の誰か知らないけど、この至福の時間を邪魔するなんて。
良い度胸ね。
わたしはその声が聞こえて来た方に向かう。
そして、その声が聞こえてた方に着くと。
「居たぞっ⁉」
「やっぱり、此処にいたかっ」
そう言って、わたしの前に来た者達は持っている得物を抜いた。
『立ち去れ。此処は我が住処なり。矮小なる貴様らが此処に居る権利など無い』
わたしがそう言うと、その者達は。
「ふん。魔獣風情が何を言うかっ。貴様を殺して、俺達は『竜殺し』の称号を得るんだっ」
はぁ、また来たのか。ここ暫くは静かだったのに。
「皆、行くぞっ」
「「「おおおおおおおおおおっ‼⁉」」」
その者達がわたしを襲って来た。
この『公都を守護する二大守護龍』の一角である白龍のわたしに。
数分後。襲って来た者達は、炭化させた。
その後は、わたしは何時もの場所に戻って、水晶に顔を寄せて擦りつける。
そして、眠りについた。
懐かしい匂いと大好きなものが入っている水晶に顔を擦りつけたお蔭なのか、もう会う事も出来ない人が夢に出て来た。
その人は、わたしに話し掛けてきた。
もう、かなりの年月が経っているのに、その顔は少しも薄らぐ事もない。
「やぁ、×××さん」
優しい声音で、わたしの名前を呼んでくれる。
温かな眼差しで、わたし見てくれる。
少し照れて笑う笑みが好き。
優しい性格が好き。
大好き。
そう思いながら、わたしは夢を見続けた。




