閑話 姉の見送り
ミリアリア視点です
リウが一緒に出国する人達を連れて、北に進んだ。
数日程進むと、海岸の所まで出た。
「う~ん。久しぶりに海を見たな」
潮風を身体で浴びながら、わたしは身体を伸ばした。
岸の所まで行き、あたしは水面を見た。
風は強くないお蔭か、海は荒れておらず、晴天だが雲もある。船を出すとしたら、文句ない日だろう。
しかし、岸まで来たが、何処にも船の影も形も無かった。
「ねぇ、リウ。どうやって、出国するの?」
「まぁ、見てて」
そう言って、リウは岸まで行くと、肩に乗せた亀に「お願い」と言って、その亀を地面に下ろした。
すると、その亀は歩き出して、岸まで来ると海に跳び込んだ。
「えええっ⁉」
大丈夫なの? あの亀。
と思い、あたしは岸から少し顔を出して海を見た。
すると。亀はまだ海に落ちていってる途中で、このままでは海に落ちると思われた所で、突然身体が大きくなった。
最初は点だったのに、何故か徐々に大きくなっていき、最後には岸から少し高いぐらいの大きさにまでなった。
「・・・・・・なに、これ?」
「霊亀って言う。魔獣だよ」
「れいき? 亀型の魔獣って事?」
「そうだよ。この背に乗って、海を渡るんだ」
「はぇ~、これはまた、凄いね」
どう見ても、ちょっとした小さい島ぐらいは有りそうな大きさね。
そう思って居ると、その霊亀? が身体を動かして、首をあたし達の方を向ける。
そして、その首を岸に下ろした。
『儂の首を伝って、背中の甲羅へと行くが良い』
「分かった。じゃあ、まずはアイゼンブルート族から乗り込んでくれ。その後は、人数が多い部族順に乗り込むように」
リウがそう指示すると、皆文句一つ言わず従った。
というよりも、皆はこの霊亀に目を奪われていた。
これだけ大きい魔獣なんて見る事は稀だからか、皆興味深そうに見ている。
そうして見ている間も、乗り込み作業は続いていた。
最後の『カッサカル』族とか言うリスみたいな尻尾を生やした女の人が乗り込むと、残るはリウだけになった。
リウは皆が乗り込むのを見届けると、あたしを見た。
「ミリア姉ちゃん。行ってきます」
「うん。いってらっしゃい。あんまり、無理はしないでね」
「出来るだけ善処するよ」
「はは、リウらしいな」
リウの返事を聞いて、あたしは抱き付いた。
いきなり、抱き付いたのでリウは驚いたようだけど、あたしは構わず抱き締める。
「向こうの大陸に行っても、頑張ってね」
「・・・・・うん」
そして、あたしはリウから離れた。
「行ってきます」
リウはそう言うと、霊亀の頭に乗った。
そして、霊亀は動き出した。
「頑張ってね。リウっ‼」
あたしは声を張り上げて手を大きく振った。
「・・・・・・」
リウも返事の代わりに手を大きく振った。
あたしはリウが見えなくなるまで、その場に留まり手を振り続けた。
そして、リウと別れてから数日後。
リウが連れて行かなかった兵士達を連れて、あたしは『カオンジ』へと帰還した。
兵士を連れて、館に戻ると、館の玄関先には、イザ姉達が居た。
「お帰りなさい。ミリア。随分と遠出をしたようですけど」
イザ姉はキョロキョロと周りを見る。
「あら? ウ~ちゃんが見えないわね」
「それに、ソフィー達も居ないな」
流石はヘル姉。良い目をしているな。
「ああ、実はね」
あたしはリウが数日前に、この国を出国した事とその方法をイザ姉達に話した。
「ま、まさか、そんな方法で、う~ん。リウイが、リウイが・・・・・・」
そう言って、イザ姉が倒れた。それを見て、ヘル姉が慌てて介抱した。
「でも、驚いたわ。あの子、本当に出国するなんて」
「フェル姉も驚いているようだね」
「ええ、あの子の場合。計画しても失敗するんじゃあないかなと思っていたわ」
ああ、それ分かる。
リウって、昔から何処かに行こうとしては、直ぐに捕まったからね。
「・・・とにかく、リウイはこの国を出たという事か。行くと言った以上、行くのは構わないのだが」
ヘル姉は寂しそうな目をしながら呟く。
「見送りはしたかったな・・・・・・」
「・・・・・・そうね」
二人は空を見上げた。きっと、リウの笑顔でも思い出しているのだろう。




