第86話 魔都に向かう
それから、数日後。
「じゃあ、僕が居ない間は任せた」
「はっ。畏まりました」
リッシュモンドが一礼するのを見て、僕は馬車に乗り込んだ。
目的地は魔都『ニヴルヘイム』。
まぁ、何で呼び出されるかはイザドラ姉上が教えてくれたので、特に何も思う事なく行ける。
馬車に揺られながら、僕は誰が王位を継ぐのか考えた。
可能性でありえるのが、ソア兄上。ロゼ姉様。イザドラ姉上といった所かな。
他の兄さん達は王位に興味が無いようだし、更に言えば領地運営が上手な人が少ない。
イザドラ姉上が偶に送って来る手紙によると、また何処かの弟が金が無くなったから支援金くれと書いていた。
こういっては何だが、どうやら殆どの兄さん達は領地運営があまり得意ではないようだ。
まぁ、何となくだが分かる。
「どうかしたのか。リィン?」
考え込んでいると、僕と同じ馬車に同乗しているロゼ姉様が声を掛けて来た。
この馬車は四人乗りなので、姉さん達というよりもイザドラ姉上が誰が乗るかで揉めて、コイントスで決めた結果。ロゼ姉様、母さん、僕、ヘル姉さんという感じで決まった。
「ロゼ姉様。父上の後を継ぐのは誰なのでしょうか?」
「ふむ。そうじゃな。一番可能性があるのはソアヴィゴじゃろうな」
「だろうな」
「わたしもそう思う」
僕達の話を聞いた母さんとヘル姉さんも同意とばかりに頷く。
「統率力、武力、智謀、政治手腕。どれを取っても、次の王はあ奴だろう」
母さんがここまで褒めるとは、流石は兄上だ。
「ちなみに、リウイは政治手腕と智謀は優れているが、武力はまだまだ。更に統率力は不明だな」
「何故に不明?」
「お前、軍を率いた事はないだろう。だから、未知数だ」
言われてみたら、この領地に移り住んでからも住む前も軍を率いた経験はないな。
前世では、何度かあるけど。
「まぁ、お前は王位など望まないで、あの領地で一生を過ごした方がお似合いだぞ」
「確かに」
う~ん。王位継承権を破棄するのは良いけど、あの領地に居るのは嫌だな。
継承権を破棄したついでに、領地を返上するか。
そうしたら、後始末が大変だな。
領地を出た僕達は、数日後。
魔都『ニヴルヘイム』に着いた。
都の門の前で、ソフィー達に都に入る手続きをさせている間、僕は都の城壁を見ていた。
「久しぶりに見るな。前に魔都に来たのは、去年の年末だったから、もう半年は過ぎているな」
結構な歳月が経ってたなと思いつつ、城壁を見ていると。
「リウイ様。都に入る許可が取れました」
「ああ、直ぐ行く」
ソフィーにそう声を掛けられて、僕は馬車に乗り込んだ。
馬車に乗り込んだ僕達は、門を潜り道なりに進ませて『ギャラブル魔宮殿』に到達した。
宮殿に入ると、向こうからアードラ兄貴とオル兄ちゃんがやって来た。
「おぅい、リウイ~」
「久しぶりだな。元気にしていたかっ」
「うん。見ての通りだよ」
アードラ兄貴達とハイタッチして、僕達は久しぶりの再会を喜んだ。
「親父からの呼び出しって聞いたけどよ。何の話なんだろうな?」
「俺が分かるか。親父の事だから、久しぶりに家族全員集めて、食事会をしたくなったとかじゃないのか?」
それってただの寂しがり屋では?
と言うか、そんな寂しがり屋が僕達を領地運営をさせる為に、各地に送り込むか?
まぁ、僕は理由は分かっているけど。
チラッとイザドラ姉上を見る。
話しても良いのかという意味を込めて見た。
すると、イザドラ姉上は首を横に振った。
成程。まだ話さない方が良いという事か。僕は頷いた。
「ほれ、お前達、早く待合室に行くが良い。皆が待っているぞ」
母さんにそう促されて、僕達は待合室に向かった。




