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第83話 幾つになっても、弟は姉にイジラレル存在

 僕達は、強制的にイザドラ姉上とユエとの話し合いという嫌味を言い合う茶会に参加させられた。

「まぁ、大変でしたね。大陸から、このような所まで来て、故郷を思う事はありませんか?」

 これは暗に、さっさとこの国から出て行って故郷に帰れと言っている。

「いえいえ、そのような事はありません。そう言えば、イザドラ様はこの国の宰相をしているとか、あまりこの領に長居しますと、国の(まつり)(ごと)に支障が出るのでは? 用事を済ませたら、お早くお戻りになったらどうでしょうか? この領地については、わたしがリウイ殿の御助けしますので」

 こっちは宰相がこんな所に居ないで、都に帰って仕事しろ。リウイとの仲を邪魔すると暗に言っている。

「ほっほほ、心配ご無用。わたしが居ない程度で、国の政事がゴタゴタする事などありません。優秀な部下達がちゃんと仕事で問題ありません。それに、こちらの領地には海の物とも山の物ともつかない者が居ますので、そちらの方が心配です」

 今度は、どこぞの馬の骨がリウイの領地に居るから来たと言っているな。

「はっはは、そのような者が居るとは今、知りました。しかし、そんな得体が知れない者でも、リウイ殿は使っているようですから、其処はリウイ殿の見識を信じるべきでは?」

 こっちは、いい加減、弟離れしろか。

「ふふふ」

「ほほほ」

 二人は、終始笑顔で嫌味を言いあっていた。

 姉んさん達は呑気に茶を飲んでいるけど、僕は二人が何か言う度に、生きた心地がしなかった。

 そんな話し合いが二時間ほど続いた。


 イザドラ姉上が「そろそろ戻らないと駄目ですね」と言ったので、話し合いが終った。

 二人は笑顔で、握手して「では、また機会がありましたら」「ええ、暇な時に」と言って別れた。

 店を出た僕達は、乗って来た馬車に乗り込んで館に向かう。

 正直に言って疲れた。何時、二人がぶつかるかと思ってハラハラしていた。

「で、どうじゃ? お主から見て、あの者は」

 同乗しているロゼ姉様がイザドラ姉上に訊ねる。

 恐らく、ユエの事を訊かれているのだろう。

 イザドラ姉上はどう言葉にしようか考えているのか、目を瞑り唇を撫でている。

「……才気はありますね。それに受け答えも悪くありません。それに向こうの大陸にも店を持っているという事は、色々と使えそうですね。これで、弟の誰かの婚約者にするというのであれば、問題ないでしょう。しかしっ」

 イザドラ姉上は目をカッと開けて、僕を抱き寄せる。

「リウイには早すぎますし、それにこの子よりも年上です。そんな女に可愛い可愛い弟を婿に出すなど、言語道断!」

 僕をギューっと抱き締めながら言う。

 う~ん。僕に婚約話がでる度に、こうして難癖つけて潰していったんだろうな。

 何か、その光景が目に浮かぶ。

「ほっほほ、まぁ、リウイであれば、年上ぐらいが十分じゃろう」

「い~えっ、駄目ですっ」

「まぁ、お主であればそう言うであろうなと思っておったわ。飽くまでも、婚約者候補じゃからな」

「その内、その候補からも外させますから」

「出来るのであれば、やってみよ。じゃが、あの者は中々骨があるようじゃぞ」

「確かに」

「あれだけ、イザドラ姉さんと言い合えれば、十分でしょう」

「確かにね~」

 おや、意外に他の姉さん達にも高評価を得ているぞ。

「でも、リウを婿にやるのはまだ早いかな~」

 そう言って、イザドラ姉上の腕の中にいた僕を自分の腕の中へと引っ張るミリア姉ちゃん。

「う~ん。相変わらず、リウは触り心地が良いな~」

「ちょっと、離れて」

「ふふふ、照れてちゃって、可愛い」

 ミリア姉ちゃんは僕を抱き締める手に力を込める。

「ちょっと、ミリア。そろそろ貸しなさいよ」

 そう言って、フェル姉が僕を自分の胸の中に抱き寄せた。

「ふふ、この子って本当に抱き心地が良いわね~」

「むががが~(はなして~)」

 胸の中に顔が埋められいるので、上手く声が出せない。

「……わたしも」

 ヘル姉さんは遠慮がちにフェル姉の肩を叩く。

「はい。良いわよ」

 そう言って、フェル姉は僕をヘル姉さんに渡す。

 ヘル姉さんは僕を抱き締めると、頬ずりしてきた。

「……妾も混ぜよ」

 そう言って、ロゼ姉様は僕の頭を撫でだした。

 この姉達の可愛がりは館に着くまで続いた。

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