第68話 意外に簡単に捕まったな
レグルス達の話しを聞いた僕は直ぐにバシドを呼んで、ウォルフの似顔絵をこの都市中にばら撒くように指示した。
その命令を出して数日後。
僕達が暮らしている館にある玄関先にて。
「旦那っ、似顔絵に掛かれている奴を連れてきましたぜっ」
何か、見覚えがある顔の三人組が居た。
名前はクライドとレオパルドとフレッドだったかな。
その三人の足元には、眠っているウォルフを簀巻きにされていた。
眠らせてここまで運んで来たのだろう。
まさか、本当に捕まるとは思わなかったな。
正直に言って、捕まらないのではと思っていた。
「旦那?」
「あ、ああ、そうだな。ティナ。この人達に懸賞金を」
僕がそう命じると、ティナは巾着袋程度の大きさの革の袋を持ってきた。
それをその人達に渡して、ティナは僕の傍に来た。
「おっほ、本物の金貨だっ」
「流石に気前が良いな。旦那は」
「じゃあ、俺達はこれで、また御用がありましたら、声を掛けてくだせえ」
三人はお辞儀をしてその場を後にした。
僕は三人を見送ると、僕は今だに寝ているウォルフを見た。
こんな状況でも寝ているとは、剛胆なのか鈍感なのか分からないな。
「とりあえず、レグルス達に報告しないと」
「その必要はないわ」
背後から声を掛けられたので、振り返ると其処にはレグルス達が居た。
「まったく、まさかこんな姿で再会するとは思わなかったわ」
「わたしもそう思います」
レグルスが呆れたように肩を竦めると、デネボラも同意とばかりに頷く。
「ほら、起きなさいよ。もう、朝よ」
レグルスはその場にしゃがみ込んで、ウォルフの頬を叩く。
「う、う~ん。……もう、朝か、・・・あれ? 何でここにレグ姉が居るんだ?」
「そんなの決まっているでしょう。此処が領主の館なんだから」
「へっ?」
ウォルフは周囲を見回した。
そして、今、自分が置かれている状況を直ぐに理解した。
「ま、待ってくれっ。俺はあんな所に帰りたくねえよっ」
「駄~目。あんたが居ないと、わたしが族長になるかもしれないじゃない。嫌よ。そんな面倒な役は」
「だ、だったら、デネ姉ちゃんにさせれば」
「お生憎様。デネボラはリウイと言う領主の側室になるのが決まっているから無理よ」
「ね、姉様。わたしは別に、リウイ殿の側室になるとは」
「あら、そうなの? てっきり、そういう考えがあるから、この館に居ると思ったのだけど」
「違いますっ。わたしが此処に居るのは、我が部族の暮らしを良くする為に」
「というのは建前で、本当はリウイの事が気に入っているのよ」
「姉様っ」
デネボラさんが顔を真っ赤にして叫ぶ。
その後は怒るデネボラさんを揶揄いながらあしらうレグルス。
仲が良いのは良いのですが、そろそろこのウォルフと話しがしたいのだが、二人の話しに割り込める隙が見つからず、仕方が無く終わるのを待った。




