第48話 出迎えるか
翌日。
朝の早い時間だが、僕は館の玄関に居る。
ロゼ姉さんが領地に帰ると言うので、それを見送る為だ。
「姉さん。色々とありがとうね」
「なに、姉としてお主の手伝いをしただけじゃ」
「そうだけど」
「ならば、儲けものと思えばよい」
「ロゼ姉さん。ありがとう」
「うむ。それと思ったのじゃが『ロゼ姉様』ではないのか?」
ああ、そう言えば、そういう呼ぶように言われてたっけ。
「じゃあ、領地でも頑張ってね。ロゼ姉様」
「うむ。それではな」
そう言って、ロゼ姉様は館を出て行った。
扉が閉まると、少し寂しい気持ちになったが、まぁ、その内、会えるだろう。
「さて、仕事に取り掛かるか」
気持ち切り替えると、僕は執務室に向かう。
数日後。
騎馬に乗った使者がやって来た。
執務室で仕事をしていた僕は、使者を執務室に通した。
使者は部屋に入るなり、敬礼して口を開いた。
「明日、このヘルミーネ様ならびにミリアリア様がこの都市に到着なさいます。リウイ様には御二方を出迎えて頂きたいと、我が主と申しております」
「了承した。では、都市の外で待ってると伝えてくれ」
「はっ!」
使者は敬礼して、部屋を出て行った。
使者が出て行くと、僕の仕事の補佐をしているリッシュモンドが話しかけて来る。
「既に準備は整えております。何時でも出迎えできます」
「そうか。その間、何かあったら、そちらで対処してくれ。リッシュモンドの手に余る件が起きたら、僕に人を送ってくれるかな」
「承知しました」
近々、ロンチュンの『デッドリースネイク』を軍に組み込む予定だからな、その際、西地区が騒がしくなるかも知れないが。リッシュモンドなら大丈夫だろう。
その後は、書類仕事に没頭した。
久しぶりにすると、疲れるな~。
使者が来た翌日。
僕は姉さん達の出迎えに来た。
メンバーは、僕、フェル姉、フェル姉の麾下の軍団から選抜した者達百名。それと官僚達を少しといった具合だ。
「久しぶりに会うわね。ウ~ちゃん」
「そうだね」
フェル姉は僕の隣で頭を撫でながら言う。
正直に行って、姉達の中で一番好きなのは、フェル姉だ。
何だかかんだ言いながら、面倒見が良い。
優しいだけじゃなくて、時に厳しい所もある。
それでいてアフターフォローを忘れないというのだから凄い。
まぁ、それが部下に慕われているのだろうな。
ちなみに、次に好きなのはミリア姉ちゃんで、次が同率でロゼ姉様とヘル姉さんだ。
イザドラ姉さんの場合は、色々な意味で重い。
そう思っていると、魔獣に騎乗した一団が目に入った。
白地に死神を描いた旗と赤地に熊を描いた旗。
最初がヘル姉さんの麾下の軍団の旗で、次がミリア姉ちゃんの麾下の軍団の旗だ。
そう言えば、軍団の名前を知らないな。今度訊いてみるか。
「先頭が見えたという事は、二人共、そろそろ来るのかな?」
僕は独白していると。
「ばぁ⁉」
「っっうおああああっ⁉」
横から、そう声を掛けられて、驚いた。
驚きのあまり、心臓が止まるかと思った。
「はぁい、リウ。元気~」
僕を驚かした人物は、今度はにこやかに挨拶してきた。
「もう、脅かさないでよ。ミリア姉さん」
「あっははは、ごめんね~」
苦言を呈しても、ミリア姉ちゃんは何とも思わない顔で笑っている。
「元気? 怪我とかしていない? それにしても、少しは身長は伸びた? 久しぶりに会うけど、少しは凛々しくなったね~」
まるで、マシンガンの様に話しかけるミリア姉ちゃん。
こういう所は、昔と変わらないな。
「うん。僕は元気、・・・・・あっいた!」
返事をしようとしたら、ミリア姉ちゃんは僕の耳たぶを噛みだした。
「はむはむ。んん~、リウの匂いだ」
僕を抱きしめながら、ミリア姉ちゃんは鼻をスンスンと鳴らす。
「ち、ちょっとっ⁉」
此処には部下も居るのだけど。
「ミリア姉さん。ちょっと離れてよ」
「ええ、良いじゃん。べつに~」
ミリア姉さんは手に力を込めだす。
くそ、僕を放すつもりはないな。
「あらあら、ミリアったら」
フェル姉。微笑ましく笑わないで助けてよ。
僕はミリア姉ちゃんの拘束から逃れようともがいていたら。
「久しぶり、だな。リウイ。……?」
ヘル姉さんが、僕達を見るなり、不思議そうな顔をした。
そして、フェル姉を見る。
「あの二人は、何をしているの?」
「スキンシップよ」
「成程」
ヘル姉さんはそう言って、僕達を微笑ましく見守っている。
いや、助けてよ!




