第43話 準備が着々と進んでいく
翌日。
僕の話を聞いたユエは、直ぐに西地区のロンチュンの下に行った。
話しの結果。こちらの思惑通りに動いたという旨を書かれた手紙が届けられた。
それを読んで、僕はニヤリと笑った。
後は向こうからの返事待ちだな。
そう思っていると、ドアがノックされた。
「誰だ?」
『ランシュエです。お話があってまいりました』
「どうぞ」
僕が部屋に入る様に促すと、ランシュエは手に何か持って、部屋に入って来た。
「お仕事中でしたか?」
「いや、大丈夫だよ」
大抵の仕事は全部リッシュモンド達に任せているからね。
僕がする事は、承認の印を押すか報告を聞くだけだ。
こうして見ると、僕ってあまり仕事をしていないけど、まぁいいか。
「それで、何の用かな?」
「兄から手紙が来ました」
手紙ね。
ランシュエから渡された手紙を、僕は目を通す。
『拝啓 リウイ殿。
向夏の候。貴方様は如何お過ごしでしょうか?』
そんな書き出しがあったので、僕は思わず目をパチクリさせた。
会った時の印象とこの書き出しがイマイチ合わないのだけど、どういう事だろうか?
とりあえず、手紙に続きを見る。
『以前、貴殿と約束した事について、お話ししたい義があり、こうして筆を取った次第に候。
貴殿は覚えておいでか?
いや、覚えていなければ、こうして書く事はなかった事にて候』
約束って、あんたが勝手に言っただけで、別に了承するとは一言も言ってないけどね。
今度から、僕と決闘する人は、手袋を持ってきて投げろとでも言おうかな?
まぁ、続きを見よう。
『貴殿が妹の大切な『逆鱗』を、己が地位と権力により強引に奪った。故に不肖ロンチュンが貴殿に天誅を下す候。
今更、許しを請うても許すつもりもは毛頭ない。故に、覚悟しろ』
後半から、感情が出て来たな。
ここからどんな罵倒が出て来るのかなと思いつつ、続きを見る。
『貴殿との約束の決闘の場所を見つけた。場所は中央広場。
日時は一週間後。
決闘方法については、その場所にて話す。
代理を出さず、貴様と俺との一騎打ちだ。
もし、俺が負けたら、俺はお前を妹が『逆鱗』を与えるに相応しい者と認める。
だが、もし俺が勝利したら、それ相応の事をすると思うが良い』
う~ん。何か、最後の方の書き方が、僕と会った印象とピッタリだな。
最初の書き出しを見た時は、これ書いたのは別に人では思ったよ。
僕は手紙を読み終えると、ランシュエを見る。
「まぁ、お兄さんはこちらの思惑通りに動いてくれているね」
「はい。兄が迷惑を掛けて申し訳りません」
「気にしなくていいよ」
僕は手を横に振るけど、ふと思った。
「お兄さんが、凄く気にしてる。この『逆鱗』って、何処にあるの?」
僕がそう訊ねると、ランシュエはトマトみたいに顔を真っ赤にさせた。
「そ、そそそ、それは、ああ、あまりひとに、みせてはいけないと、いわれてますので、どうか、ごかんべんをっ」
何か、凄い慌てているな。
そんなに見られたくない所にあるのか?
「まぁ、良いか。どんな形なのか気になっていたけど、特に問題無いか」
僕は外を見る。
後は、市が開くのを待つだけだ。




