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第32話 お願いだから、報告を聞かせてください

 館に戻った僕達は、そのまま一休みした。

 ああ、これでガイウスに報告が出来る。

 それで思い出したが、敵のチームのスパイの目星がついていない事を思い出した。

 片方の仕事は出来たが、もう片方が出来てないとは、失態だな。

 そうだ。ユエに同盟を組む使者を送るのを少し待ってもらおう。その間に、敵のスパイを見つけ出す。

 これでいこう。

 そう思いながら、僕は眠りについた。


 翌日。


 僕は朝食を食べ終えると、直ぐに執務室に向かう。

 昨日の事をリッシュモンドに報告する為だ。

 執務室に入り、僕専用の椅子に座り待つ事少し。

 扉が叩かれた。

 どうぞと促すと、入って来たのはリッシュモンドだった。

「おはようございます。リウイ様」

「ああ。おはよう」

「早速で申し訳ありませんが、昨日の顛末をお聞かせいただきたい」

「分かった」

 僕は昨日の事を話した。

 勿論、ユエに出会った事も話す。

 前世の僕に仕えていたから名前ぐらいは聞いた事があるだろう。

「はぁ、別の種族に転生ですか。確かに、そのような魔法道具があると聞いた事があります」

「そうなんだ」

「ですが。前提条件が揃わないと、何の効果もないと聞いた事があります」

 まぁ、別の種族になるのだから条件があっても不思議じゃないな。

「ともかく、ユエは今日、此処に来る」

「ユエ殿に楽市楽座を取り仕切る商人にするのは、大丈夫なのですか?」

「……ああ、それは、ユエの力量を疑っているという事?」

「憚りながら」

 ふ~む。考えてみれば、クラスメート達で十傑衆に面識があったのは、マイちゃんだけだったからな。

「じゃあ、どうしたら信じられる?」

「無論。実績を持って」

 だよね。

「じゃあ、今度、西地区に市を開かせるつもりだけど、その仕切りをユエに任せるのはどうかな?」

「いきなり大仕事ですな」

 地区の市を仕切ると一言でいっても簡単じゃあないからな。

 仕入れ、扱う商品、時期、そしてどれくらいの規模でするのか。

 全て取り仕切る商人の腕に掛かっている。

「これぐらい出来ないと、この都市のいや、僕の御用商人を務まるとおもうかい?」

「その通りですな」

 まぁ、ユエの才覚なら十分出来るだろうな。

 何せ、前世の僕が居た世界では、父親の仕事を手伝っていたし、その上、自分の会社を興したとか言っていたから。

「しかし、大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ」

「…そうですか。リウイ様がそう言うのでしたら、何も申しません。ああ、それと、バシドが西地区の情報収集を手に入れる事が出来たそうです」

「そう。じゃあ、バシドを呼んできてくれ」

「畏まりました」

 リッシュモンドは一礼して、部屋を出て行った。

 

 少しして、ドアがノックされた。

 僕が入る様に促すと、リッシュモンドがバシドと一緒に部屋に入って来た。

「おはようございます。リウイ様」

「おはよう」

 バシドが部屋に入り、朝の挨拶をかわす。

「ご命令されていた件の情報をある程度手に入る事が出来ましたので、報告に参りました」

「そうか。じゃあ、聞こう」

 言葉を続けようとしたら、ドアがノックされた。

「誰だ?」

『ソフィーです。リウイ様、お客様が参りました』

 客? もしかして、ユエか?

「名前は?」

『ディアーネと名乗っていますよ』

 ユエか。何時来てとは言っていなかったからな。

「お通しして」

『はい』

 足音が遠ざかっていく音がする。

 少しして。ドアがノックされた。

『お連れしました』

「通せ」

 そう言うと、ドアが開いた。

 ディアーネことユエが部屋に入って来た。

「おはようございます」

 ユエが僕達に頭を下げる。

「おはよう。ディアーネ」

 バシドが居るので、ここはユエとは言えない。

 ユエも分かっているのか、何も言わない。

「こんな早朝から来るとは『鳳凰商会』の会長殿は気が早い方の様で」

「失礼。昨日の話しを聞いて、十分に商売のタネになると思いましたので来てしまいました」

 二人共、早速、論戦しているよ。

 はぁ、早く報告を聞きたいのだけど。

 またドアがノックされた。

『リウイ様』

 この声はシャリュか?

「どうかしたのか?」

『はっ。魔都からお客様が参りました』

「客?」

 誰だろう?

『ロゼティータ王女様です』

 ぶっ⁉ 何で、ロゼ姉さんが⁉

「先触れは来ていたっけ?」

『いえ、来ていません』

 じゃあ、お忍び視察?

 いきなり過ぎるな。


で、とりあえず、ロゼ姉さんを部屋に通す事にした。

 ユエは別室で待ってもらおうかと思ったけど、ユエが「わたしの商会をリウイ殿のご家族に知るのに、丁度良いと思いますので」と言い出した。

 ようは、今の僕の姉を見てみたいという事だろう。

 仕方がないので、一緒に出迎える事にした。

 シャリュに頼んで、ロゼ姉さんをこの部屋に通す事にした。

『リウイ様。ロゼティータ様をお連れしました』

「お通しして」

 僕がそう言うと、ドアが開いた。

 そして、部屋に入って来たのは、ロゼ姉さんことロゼティータ姉さんが入って来た。

「久しぶりじゃな。リィン」

「お久しぶりです。ロゼ姉さん」

 僕は椅子から立ち上がり、ロゼ姉さんの前まで来る。

 そして、ロゼ姉さんの目の位置を合わせる様に、僕は膝を曲げて、僕は頭を差し出す。

「リウイ様。何を?」

 皆、僕の行動を疑問に思っている中、ロゼ姉さんは微笑む。

「ほんにリィンは良い子じゃ」

 ロゼ姉さんは僕の頭を撫でる。

 身長も小さいから、手も小さいので撫でられた感じはしないが、視線を上げると、ロゼ姉さんは嬉しそうな顔をする。

 僕な姉さんに頭を撫でられながら、ユエを見る。

 そして、左手を動かす。

 昔のアニメでハンドサインで指示を出すのを見て、僕、ユエ、マイちゃんの三人だけで通じる手話を作った。

 ろ、ぜ、ね、え、さ、ん、は、お、と、う、と、た、ち、の、あ、た、ま、を、な、で、る、の、が、す、き、な、ん、だと。

 ユエもそのハンドサインを見て、了解とばかりに頷き、ハンドサインをする。

 り、よ、う、か、い、し、たか。

 しかし、転生しても通じるな。流石幼馴染だ。

 そのまま、ロゼ姉さんの気が済むまで頭を撫でさせる。

 これ、途中で遮ると機嫌悪くなるからな。

 で、気が済んだのか、僕の頭から手を退ける。

「どうじゃ? 領主になって五年程になるが、問題なくやっておるか」

「まぁ、それなりに」

「そうか。まぁ、問題ないと断言されるよりも良いと思うぞ。妾は」

「はっはは、流石に断言できるほど見事な統治は僕には出来ないな」

「うむうむ。己の分を知り出来る事と出来ない事を知るのも、人の上の立つ者には大事な事じゃからな」

 そう言いながら、ロゼ姉さんは懐に手を入れる。

「ああ、これはイザドラがお主に会ったら渡せと言われた物じゃ」

 ロゼ姉さんは懐から、紐で括られた手紙を僕に渡した。

 って、これいったい何通あるんだ?

 持った感じ、十枚以上はある感じだぞ。

「リィンよ」

「何ですか? ロゼ姉さん」

「この者達は?」

 ロゼ姉さんは三人を見る。

「ああ、すいません。ご紹介が遅れて、右から僕の家臣のリッシュモンド、バシドです」

「「お初にお目にかかります。第一王女様」」

 リッシュモンドとバシドは頭を下げる。

 ロゼ姉さんはバシドを一瞥し、リッシュモンドをジッと見る。

「リィン」

「はい」

「この者。死人か?」

 おお、流石はロゼ姉さんだ。

 家臣団しか知らない事を良く分かったな。

「しかもかなり高位じゃな。リッチーか? いや、もっと上位の気配がする」

 気配とか、何か改めてロゼ姉さんが凄い人だと思った。

 只のロリのじゃキャラではないな。

「お主、今、何か変な事考えなかったか?」

「いえいえ、なんにも」

 僕は首を横に振る。

「それでこいつは何者じゃ?」

「生命無き王です」

「…………はっ?」

 ロゼ姉さんは、嘘だろ。それ? という顔をしている。

「……済まぬが。もう一度言ってくれぬか?」

 ロゼ姉さんはコメカミに指を押し当てながら訊ねた。

「リッシュモンドは生命無き王ですよ」

「…リィン。どうやってこの者を部下にしたのじゃ?」

「えっと、…樹海で知り合って、話していたら馬が合って部下になりました」

「・・・・・・」

 ロゼ姉さんは、開いた口が塞がらないという顔をしていた。

「……うん。弟の部下の人事に口を出すのは流石に大人げないの。うん。リィンの好きにせよ」

 何か、現実逃避してないか?

「それで、その者は?」

「あ、ああ、はい。この者はこの土地にある商会で『鳳凰商会』という商会の会長をしている。ディアーネ・T・ザクセンです」

「只今、リウイ様からご紹介に与りました。『鳳凰商会』の会長をしております。ディアーネ・T・ザクセンでございます。我が商会は大陸から来ておりますから、どうぞ。大陸産の物でご利用がありましたら、我が商会にお声を掛けてください」

 そこまで言って、頭を下げるユエ。

 流石に商売に慣れているだけあって、上手い自己紹介だ。

 ロゼ姉さんは、ユエを頭の上から足先までジロジロと見る。

 不躾の視線を浴びても、ユエは何も言わない。

「・・・・・・うむ。合格じゃ」

「「はっ?」」

 合格? どういう意味?

「あの、どういう意味で合格なのでしょうか?」

「お主をリィンの許嫁候補に合格とという意味じゃ」

「い、いいなずけ?」

「こうほっ?」

 僕達は思わず、お互いの顔を見合わせる。

「これほどの器量よしであれば、リィンの許嫁候補にピッタリであろう」

 え、ええええっ⁉

 いきなり過ぎるよ。姉さん。

「…ふっ、流石はリウイ様の姉君。素晴らしい慧眼ですな」

 あっ。ユエがすっごい嬉しそうな顔をしている。

「ほっほほ、そうじゃろうそうじゃろう。妾の目に狂いはない」

 許嫁か。そう言えば、そんな話聞いた事がないな。

 でも、その理由は何となくだけど分かる気がする。

 多分、イザドラ()姉さん()がそんな話が出る端から、潰しているんだろうな。



















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