第18話 成程。そう来たか。
「「「「……………………」」」」
カウンター席で僕を中心にして、女性四人の睨み合いが行われている。
何故、こうなった。
そうとしか言えなかった。
このままだと、四つ巴の喧嘩になりそうだ。
まずいな。せっかく改築したばかりなのに、またこの店が壊れたら、面倒な事になるぞ。
この店が壊れたら、その修繕費は僕の知り合いが起こしたという事で、僕の所に来る。
そうなったら、僕の身分がバレる。そんな事になったら、こうして身分を隠して『プゼルセイレーン』のチームに入った意味が無くなる。
かと言って、このまま四人を連れて店を出て行けば、変に思われるし、どうしたものか。
そう思っていると、ドアに付いている鈴がまた鳴りだした。
「ちぃーす。マスター、改築祝いにきた。・・・・・・んあっ?」
「おい。何で、アルテナとカーミラが獣人族の女達と睨み合いをしているんだ?」
「あたしが知る訳ないでしょうっ」
「でもよ。あの獣人族の二人。美人だな」
「ああ、一人は美少女タイプで、もう一人は年上のお姉さんタイプだな」
このタイミングで『プゼルセイレーン』のメンバーが来るなんて。まずいな。
「アルテナ? 貴女、アルティナじゃなかったの?」
「そ、それは、その」
「あ~、おほん。えへん」
大げさに咳払いする僕。
それにより、皆の意識が僕に向いた。
「ああ~、アルネブとアマルティア。ちょっと、耳を貸して」
「「はい?」」
二人は耳を僕に近付けた。
「実は、最近、街中を騒がすゴロツキ達の内情を調査しようと、今潜入している最中なんだ」
「成程。そういう訳なのね」
「でも、それでしたら、リウイ様以外でも良いのでは?」
「そこは。あれだよ。人の上に立つ者、部下に任せてはいけないと思って、部下達の代わりに、僕がこうして潜入しているんだ」
まぁ、本当はゴロツキのチームってどんなのか気になって、誰にも言わずに入っただけなんだけどね。
もっとも、もう皆にバレているけどね!
「流石です。リウイ様♥」
いや、大した事はしてないんだけどね。
「で、リウイが入っているチームは何処に居るの?」
「……ここが僕が入っているチームのたまり場だよ」
「そうなの」
「わたし達は評判と言われている店が、火災で焼失して改築して、そのオープン記念に暫く料理の値段が安くなると聞いてきたんですが、此処がですか」
二人は周囲を見る。
「そんな感じしないわね」
「ま、まぁ、その内、分かるから」
よし。これで、二人は納得するだろう。
「ねぇ、ウィル」
「なに?」
「どうして、この二人がここに居るの?」
「ああ、それはね」
僕はティナの耳元に顔を近づける。
「何か、この店が改築記念で料理が安くなるから、ここに来たそうだよ」
「ふ~ん。そうなんだ」
ティナは何か、明らかに胡散臭そうな目で僕を見る。
「わたくしはてっきり、ウィルが呼んだのかと思ったわ」
「はい?」
何で、そうなるかな。
「あたしもそう思ったわ」
ティナまで何を。
「そんな事は無いから」
「「本当に?」」
僕は頷くと、二人はようやく納得してくれた。
ふぅ。何とか、喧嘩は回避できたか。
「おい。ウィル」
「何ですか?」
一息ついていると、正メンバーの一人が聞いてきた。
「そちらの獣人の女性達は、お前の知り合いか?」
「はい。そうです」
「そうか……」
何か、凄い重い溜め息を吐いているのだけど。
「やっぱり、お前は敵だ‼」
「はい?」
「こんな美人を四人も侍らせやがってっ、お前は敵だ‼」
「あの」
「羨ましいんだよっ。こんちくしょうっ‼」
「こんなレベルが高い美女を侍らせるなんて、ウィル、恐ろしい子」
何か、メンバーに恐ろしい物を見ているかのような目をしているのは、何故だ?
「生まれて初めて、恨みだけで、人を殺せたらと思ったぜっ」
「俺もだ‼」
う~ん。どうしよう。




