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第10話 まずは、人に聞くか

 さて、気持ちを切り替えて仕事をするとしよう。

 西地区にいる『デッドリースネイク』は、十二氏族が何処の氏族の建物を根城にしているのやら。

 元々、西地区には十二氏族の部族から多く人達が移り住んでいる。

 殆どの人は関係強化という名目の人質だ。

 まぁ、そんな訳で西地区には十二氏族の者達が多く居る。

 各部族ごとに違う建物で暮らしていると聞いているが、その十二の建物を全て回るか?

 と考えたが、直ぐに却下した。

 そうして探している間に『デッドリースネイク』に見つかる可能性があるからだ。

 であれば、どうするかだな。

 どうしたものかと考えていると。

 ドアがノックされた。

『リウイ様。お茶をお持ちしました』

 この声はアルネブさんか。

 ああ、そうだ。アルネブさんは十二氏族の元族長だったから一応聞いてみるか。

「アルネブ」

「はい。何でしょうか?」

 アルネブさんは僕の傍に茶碗を置き、僕を見る。

「西地区で暮らしている十二氏族の者達はどうしているのかな?」

「はい。そうですね。わたしの様に文官、武官又はこの館の使用人で雇われています。殆どは」

「殆どは?」

「困った事に、中には雇われる事を嫌い、この都市で好き勝手に振舞っているそうです」

「成程」

 その人達が『デッドリースネイク』を結成したと考えた方が良いのかな?

 いや、まだ情報が不足している状態で、そう結論づけるのは早計か。

「……一度、西地区に行った方が良いな」

 適当に視察の理由をつけて見に行くか。それとも、お忍びで行くかだな。

「えっ? 何か言いましたか?」

「いや。何でもないよ」

 小声だったから聞こえなかったようだ。

 誤魔化すため。僕は笑顔を浮かべた。

「そ、そうですか」

 僕の顔を見て、顔を赤らめるアルネブさん。

「ああ、そうだ。済まないけど、バシドを呼んできてくれるかな」

「バシドをですか。分かりました。少々お待ちを」

 アルネブさんは一礼して、部屋から出て行った。

 茶を飲みながら待っていると。

 ドアがノックされた。

『リウイ様。バシドをお連れいたしました』

「入ってくれ」

 僕がそう言うと、アルネブさんがドアを開けた。

 アルネブさんが先に入り、その後にアラクネが入って来た。

 ショートヘヤ―の黒髪。額の所まである赤い目が六つ。髪の色に合わせているのか、着ている服も黒で統一していた。

 口元にも薄いヴェールで覆っていた。

 結構、大きく育った胸。細い腰。尻の部分も存在するが、下半身がほぼ蜘蛛の形をしているので、表現がしづらいので言わない。

 このバシドが、アラクネ族から選ばれ、この都市に送られた人達のまとめ役だ。

「お呼びと聞きましたが?」

「ああ、その前に」

 僕はアルネブを見る。

 その視線を受けてか、アルネブは一礼して部屋から出て行った。

 アルネブが部屋カラ出て行くのを見送った後、僕は口を開いた。

「西地区で暮らしている十二氏族の人達の生活を調査してくれるかな」

「調査ですか。分かりました」

「頼む。まぁ、無理も無茶もしなくていいから」

「それでは、調査する意味がないのでは?」

「いや、バシドがそう行動する事に意味があるんだ」

「承知しました」

 バシドはそう言って、一礼して部屋から出て行った。

 しっかし、スイレンさんはあんなにおしゃべりなのに、どうして同族のバシドはあまり喋らないのだろうか?

 性分なのかな?

 まぁ、今は情報収集が上手く行く事を祈るか。

 

 バシドに西地区を調べているので、情報が集まるまでとりあえずはチームには顔を出そう。

 そして、手に入れた情報を元に行動してもらうなり、僕がするなりすればいい。

 という訳で、夜になるまで一眠りしよう。

 今日は仕事といえるものがないから、ぐっすり眠れるよ。はっはは。

 と笑っていないで、とりあえず私室に行いくか。

 執務室を出て、私室に向かっていると。

「リウイ様」

 声を掛けられたので、振り返るとソフィーが居た。

「今日のお仕事は終ったのですか?」

「ああ、そうだよ」

 仕事と言っても、書類に認可のハンコを押すだけだからか、朝に書類がないと、一日中仕事がない日がよくある。

 そういう時は、いつも私室で休んでいる。

「では、今手すきですね」

 僕は頷いた。

「では、ご相談したい事があるのですが」

 ふむ。これはかなり、重要な事のようだ。

「じゃあ、僕の私室に行こうか」

「分かりました」

 僕はソフィーと一緒に、私室に向かう。


 私室に入り、僕はソファーに座る。

 ソフィーも座るのかと思ったが、何故か茶の準備をしていた。

「何で、茶の準備をしているんだ?」

「お話しをするのですから、これぐらいはしませんと」

「別に良いのに。それに茶ぐらいなら、僕が淹れるよ」

「いけません。わたしの仕事を取らないでください」

 そう言われては、僕は何も言えなかった。

 ソフィーが僕に茶を置き、自分の分の茶を持って、僕の対面の所で座った。

 一度、茶で喉を潤して、僕は話す準備を整えた。

「それで、話しって何かな?」

 僕がそう尋ねると、ソフィーは言い辛そうな顔をした。

 何度か言い淀んでいる様子だったが、意を決したのか、僕を見る。

「実は娘の事なのですが」

「ティナの事? 何か問題でも?」

 仕事態度も特に問題ないと思うのけど。

「ここ最近、夜に何処かに出掛けている節があるのです」

「ぶっ」

 茶を吹き出しそうになった。

 お、おちつけ。節と言っただけで、僕達が密かにごろつきのチームに入っている事は、まだ分かっていないようだ。

「ど、どうして、そう思うんだ?」

 ちょっと、どもった気がするけど大丈夫だろう。

「今日、あの子と一緒に仕事をしていたのですが、あの子の髪から微かに煙草の臭いがしまして」

 ああ、あそこのバーで煙草を吸っている人がいたから、その臭いが移ったのかな。

「あの子は煙草を吸いませんし、同僚にも吸う者はいません。なので、どうして、あの子の髪から煙草の臭いがしたのか不思議でして、恐らく煙草が吸える所に行ったのだと思います」

「……まだ、確定という訳ではないのだろう」

「はい。その煙草を吸う所に何時行ったのか、分かっていないので」

「そうか」

 まだセーフだな。これで、僕が仕事を頼んことがあるから、その時に煙草の臭いがする所に行ったんじゃないかと言えば大丈夫だろう。

「大丈夫だよ」

「と言いますと?」

「ソフィーと仕事をする前に、ちょっと届け物をしてもらったから、その時に煙草の臭いがする所に行ったんだよ」

「そ、そうですか。……」

 僕の言葉を聞いて、ソフィーは安堵の溜め息を吐いた。

 よし、これで信じたな。

「……実はわたし、不安でして」

「不安?」

「ご存知のように、わたし達親子は夫が居ません。ですので、娘が間違った道を進んでしまったのかと思いまして」

「そんな事は」

「片親が居ない子供は歪むと良く言いますから」

「ま、まぁ、そうかもね」

 ティナは全然、そんなところないと思うけどね。

「ですので、リウイ様」

「何だい?」

「娘の事を少しで良いので、気を掛けてくれませんか?」

「はっはは、そんなのお安い御用だよ」

 僕は胸を叩いた。

 正直、ティナがいないと色々と出来ないからな。

 ソフィーはそれを聞いて、笑顔を浮かべた。








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