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第9話 意外に情報が入るな

 

「……様……様」 

「ーーーーーー」

「……ウイ様……ウイ様」

「ーーーーーー」

「リウイ様!」

「うわぁ⁉」

 半分眠っていたようで、僕は ソフィーの声で起こされた。

「どうなさいました? まだ、起きてさほど時間が経っていませんが」

「……はっはは、どうも春の陽気に眠気が誘われちやったのかな?」

「さようですか。では、本日のスケジュールを申し上げます」

 ソフィーの声を聞きながら、僕は昨日というか、朝だな。

 朝の事を思い出していた。

 昨日は「『プゼルセイレーン』の歓迎会に参加した僕はしこたま飲まされた。

 女性メンバーがやけに可愛がっている僕を見たティナは途中から帰ってたので、寝不足ではないだろうな。

 館に戻れるようになったのは、何時もの起床時間の一時間前だった。

 なので、眠る事が出来なかった。

 だから眠くて眠くて。

 今日は昼頃、時間を見つけて眠ろう。

「以上です」

「ああ、分かった」

「では、早速準備しますね」

「えっ?」

 寝ぼけていたから、全然聞いていなかった。

「? 今日はこれから、都市の外にある畑の予定地の視察。その後は開発中の鉱山の激励ですが」

 マジで?

「それが終わりましたら、都市近辺の集落の視察。その後はアラクネ族の糸の加工品の品評会。後は十二氏族の装飾品の品評ですよ」

 ・・・・・・今日に限って、何故にそんなにあるの?

 何時もの倍以上の仕事じゃないか。

「あ、ああ、そうだな」

「では、準備します」

 一礼してソフィーは部屋を出て行った。

 僕は机に突っ伏した。

「・・・・・・今日もチームで話があるって言ってたな。はぁ、今日は早めに帰ろう」

 昨日みたいに歓迎会なんかしないだろうけど、飲みに誘われたら理由をつけて退散しよう。

 さて、眠気覚ましに茶でも飲んで目を覚まして、今日の仕事を頑張るか。


 その夜。

 黄色い太陽光を浴びながら、僕は仕事に励んだ。

 正直、疲労と眠気で倒れそうになったが、何とか耐えた。

 そして仕事を終えた僕は出掛ける前に、一眠りした。

 お蔭で、調子がよくなった。

 少ししか寝ていないけど、少しでも眠ると違うな。

 で、厨房でティナと待ち合わせて、僕達はまた『カフェ&バー テンダー』に向かった。

 店に入ると、まばらだがメンバーの人達が居た。

「おっ、新入り来たか」

「新入りで一番早く来たのは、お前等二人か」

 メンバーの人達が感心しながら、手を振る。

「おはようございます」

 僕は頭を下げる。

「おはよう? 何を言っているの。りじゃかった。ウイル」

 ティナは頭に疑問符が浮かんでいる顔をしていた。

 ふむ。どうやら意味が分かっていないようだ。

「ああ、ティナ。今のは相手の人が早く来たから『お早うございます』と言う意味なんだよ」

「そうなの?」

 僕は頷いたが、信じていないのか、近くにいるメンバーの人を見た。

 メンバーの人達は頷くのを見て、ようやく信じてくれた。

 何故、そんなに信用が無いのだろうか? 幼なじみなのに。

 僕達はそのままカフェ内でメンバーを待つ事にした。

 で、折角なのでマスターに飲み物を頼んだ。

 僕達は前と同じ注文をしたのに、今度もミルクだった。

「正式にメンバーになったら、酒をだしてやる」

 と言われた。

 仕方がなく、僕達はミルクを飲む事にした。

 そうして時間を潰していると、仮メンバーも正メンバーも続々に集まりだした。

 最後にリーダーであるモルぺさんがやって来た。

「皆、集まったようね」

 モルぺさんが僕達を見回しながら告げる。

「じゃあ、これから会議を始めるわ。各自、心して聞いておきなさい」

 モルぺさんがそう言うと、マスターがカウンターを出て店のドアに『closed』の立札を掛けた。

「今回、話すのは、新入りが入ったから、この都市のチームの事について話すわ。良いわね」

 皆頷いた。

「じゃあ。ガイウス」

 モルぺさんがそう言うと、大きなガタイの男性が立ち上がる。

 恐らくだが、この人が副リーダーなのだろう。

「では、リーダーに変わって俺が説明する。マスター、メニュー表を使って良いか?」

「ああ、良いぜ」

 マスターがそう言ったので、ガイウスがメニュー表の黒板に書かれていた字を消した。

 そして、ガイウスはその黒板にこの都市の大まかな形で描いた。

「この都市は大きく分けると、中央区、西区、東区、北区、南区の五つの通り(エリア)に分けれられている。

 で、俺達のチームである『プゼルセイレーン』はここ中央区だ。」

 そう言って、中央区にセイレーンを描く。

 へぇ。この人、絵が描くの上手いな。

 特徴をとらえた書き方だ。

「次は新入り達の入団試験にカチコミを掛けた『クリムゾン・ティガー』は各地区に集会場があるが主に南区を根城にしている。南区の三番倉庫がその根城だ」

 おお、根城の情報が手に入るとは、こういうときチームに入ると良いなと思う。

「次は同じく南地区に根城を持っている『ランページクラブ』だ。このチームは南地区からはあまり出てこない。恐らく同地区にある『クリムゾン・ティガー』との抗争により、他の地区に出るのも難しいからだと思われる。後、このチームは南区二階建てアパルトメントを丸々自分達の根城にしている」

 随分豪勢なチームだな。そんな金何処から出ているんだ?

「次は西区にあるチームを紹介する。西区には『デッドリースネイク』がある。このチームは同地区に他のチームがない所為か、他の地区にいるチームに積極的に喧嘩を仕掛けて来る。もし、喧嘩を仕掛けられたら、相手が自分達よりも多かったら逃げろ。良いな」

 ガイウスは言葉を区切り、皆を見る。

 正メンバーは頷くが、仮メンバーの僕達は言葉の意味を計りかね首を傾げた。

 それを見て苦笑するガイウス。

「まぁ、その内分かるだろう。で、このチームは西区にある建物を根城にしてるそうだ」

「どんな建物の何ですか?」

 今迄は此処に根城があると教えてくれたのに、このチームだけは曖昧な言い方をするな。

 仮メンバーの人もそこが気になったのか尋ねている。

「十二氏族って知っているか?」

「この都市の北部を支配していた部族だろう?」

「ああ、どうやら、その部族の者達が住んでいる建物を拠点にしているそうだ。何処の部族かは分からんがな」

 おや、ここで十二氏族が出て来るとは。

 明日にでも、この都市にいる十二氏族の人達に訊いてみるか。

「次は北区だ。ここは『クレイジーベアー』『ブルーファルコン』の二チーム居る」

 北区は二つか。だとしたら東区は一つになるな。確か『ビアンコ・ピピストレロ』か。

「まずは『クレイジーベアー』だ。このチームも『デッドリースネイク』と同じく、他の地区にチームに喧嘩を売って来るぞ。後、このチームは北区の一番倉庫が根城だ」

 あれ? 確か報告だと『ブルーファルコン』も倉庫を根城にしていると聞いた様な。

「次に『ブルーファルコン』だ。このチームの特徴は同地区にいる『クレイジーベアー』と同盟関係にある事だ。だから、根城も隣の二番倉庫だ」

 同盟か。何か、何処かの青春漫画みたいだな。

「最後の東地区に居るチームは『ビアンコ・ピピストレロ』だが。今現在、このチームはどんなチームか不明だ」

「不明?」

「ああ、チームメンバーがどれだけ居るか、何処を拠点にしているか全くわかっていない。他のチームの情報は簡単に手に入ったのにな。そこから考えられて、恐らくだが、何処かの大きな組織がケツを持っていると思われる」

 ケツを持つ。つまりは、支援を受けているか。

 そんな事をするとは、何が目的なのやら。 

 兎も角、色々な情報を手に入れる事が出来たから良しとしよう。


翌日。

 会議が終ると、さっさと帰った僕達は、そのまま館に戻り一眠りした。

 ああ、眠る事がこれほど気持ち良いと初めて知ったな。

 で、一眠りついた僕は爽快な気分で目覚めた。

 そして、朝食を取り執務室に着くなり、僕はリッシュモンドを呼び出した。

 呼び出して、数分後。

 コンコンとドアがノックされた。

「誰だ?」

『リッシュモンドでございます』

 僕は入室を許可すると、リッシュモンドが入って来た。

 ちらりと後ろを見たが、誰も居ないな。良し。

「おはようございます。リウイ様」

「おはよう」

「こんな、朝早くからわたしめ呼んだのは何事かありましたか?」

「ああ、実はな」

 僕は『プゼルセイレーン』に入った事を言わずに、そこで手に入れた情報をリッシュモンドに話す。

「流石ですな。わたしの情報網にすら引っ掛からない情報を手に入れるとは、お見事です」

「そうかな?」

 実際、自分の調べただけなんだけどね。

「ええ、これで二つのチーム以外のの根城の情報は手に入りました。後は罪状を見つけて摘発するなりすればよろしいのです」

「そうだけど『デッドリースネイク』と『ビアンコ・ピピストレロ』はどうしたら良いと思う」

「わたしから言えるのは、前者の方は十二氏族の方に探りを入れる事ですな。後者の方はこちらからも情報収集いたします。その話が本当であれば、組合(ギルド)又は何処かの組織が手を貸して居ると思われます」

「そうだよね。そう言えば、東地区で思い出したのだけど、大陸から流れて来た商会があると言っていたね」

 魔国がある大陸と、僕達が前世でいた大陸とは船で一月ほどの距離にしかない。

 なので、海に面した国家だったら交易が出来るのだ。

 昔はもっと時間が掛かったそうだが、今は航海技術が発達して、それなりの日数しか掛からないそうだ。

 それで、今でも魔人族と交易しているのは、鬼人族の国家『八獄(はちごく)さと』と竜人族の国家『ミッドガルド』と獣人族の国家『ゾオン共和国』の三つだ。

 鬼人族の国家は一つだが、他の二つの種族の国家は大小合わせてもまだあるそうだが、海に面していないので、今は関係ない。

「はい。何でも『鳳凰商会』という商会がそこに店を構えていると報告が入っています」

 鳳凰か。だとしたら、獣人族の商会か。蝙蝠も動物だからな、その商会の支援を受けていると考えた方が良いな。

「ですが、その商会。少し変わっていましてな」

「変わっている?」 

「はい。この世界の鳳凰は赤い羽毛の鳥なのですが、何故かこの商会のシンボルマークだと、赤い羽毛なのですが二羽を対になるように描かれているのです」

「二羽?」

「はい。部下に何でこのシンボルマークにしたのか尋ねさせたのですが『我が商会の会長が商会を立ち上げる時にこの紋章にしたそうです。本人曰く、大切な人の事を忘れない為、とか言っていた』と聞いたそうです」

「大切な人の事を忘れない為か」

 その言葉を聞いて、ふと前世のあろ記憶を思い出した。

『鳳凰とは瑞獣でもあり鳳は雄を指し、凰は雌を指すのだ。雌雄で一対となって飛ぶ事から、ウエディングドレスのモチーフにされる事もあるのだぞ。それに、父がノブの事を鳳雛と呼んでいたから、わたし達にお似合いではないか?』

 前世の幼馴染が僕にこういう話をしてくれたのを思い出した。

 まさかな。

 それに、もう千年経っているんだし、もう向こうの世界に帰ったと聞いたからな。

 この世界にいるわけがない。

 恐らく、僕達の世界の知識が流れ込んで、そして縁起が良いから使われいるのだろう。

 そう思おう。

「リウイ様?」

「何でもない。リッシュモンド。東地区の方は任せても良いか? 僕は『デッドリースネイク』の方を知らべるから」

「承知しました」

 リッシュモンドが一礼して、部屋を出て行った。

 僕以外、誰も居なくなった部屋で、椅子から立ち上がり僕は窓から外を見た。

「……もう、会う事は出来ないのに、どうして君の事を思い出すのかな。ユエ」

 外を見ながら独白した。















 

 



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