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第3話 気分転換に出たのに

 貰った野菜を食べながらアルトリアと共に都市内を回る。

 ああ、特に仕事はしてないけど、こうして外を歩くのは気分が良い。

 ちょっと、都市の外に出て森林浴でもしようか。

 と思っていたら、向こう側から何か騒がしい声が聞こえて来た。

「あそこは、広場の筈だけど」

「行ってみますか?」

 僕が頷くと、アルトリアはその騒がしい所へと歩き出す。

 少し歩き、その場所に着くと、何か人だかりが出来ていた。

 何だろうと思い、僕はアルトリアから降りる。

 降りる際、アルトリアが何か残念そうな溜め息が聞こえた様な気がするけど、気のせいだな。

 今はそれよりも、この騒動の事を聞かねば。そう思い、僕は近くにいる人に訊ねる。

「あの、すいません」

「なんだ?」

「この人だかりは、何かあったのですか?」

「喧嘩だよ。喧嘩。ごろつき共の縄張り争いをしているそうだぜ」

「縄張り?」

「ああ、『デッドリースネイク』と『クレイジーベアー』っていうチーム同士がな」

「そうですか」

 人だかりが出来るわけだ。

 どれどれ、どんな人達が喧嘩しているのか見てみるか。

「アルトリアはここで待っていてくれ」

「はぁ? 主君は?」

「ちょっと、喧嘩を見て来る」

 そう言って、人だかりを分け入っていく。

 時折、人にぶつかり謝りながら、前へ前へと進む。

 ようやく喧嘩が見える所まできた。そこでは。

「そらっ」

「おらああっ」

「っ、効くかよ。そんなへなちょこなこうげきっ」

「なら、もういっぱつ」

 うわぁ。素手で喧嘩してる。

 前世では、組手という事で似たような事を見た事はあるけど、あれは訓練だからか、寸止めや急所になる所は攻撃しない様にしていた。

 だが、今僕が見ている現場では、主に顔を狙って殴り合っていた。

 ここだけ見ると、何処かの青春漫画みたいだ。

 この後、夕日に向かって走るのかな。

 あっ。違った。河原で殴り合って友情を確かめるだったかな?

 どうも、そういう漫画を見慣れてない所為か、良く分からないんだよな。

 前世で見ていた漫画と言うと、恋愛系か、異世界転移転生系だったからな。

 どれも、マイちゃんが面白いと言って進めて来たんだよな。

 僕はどちらかと言うと、有名な料理研究家の本か三国志か歴史物の漫画をよく読んでいたな。

 転生しても記憶に残っているのが『げぇ、関〇⁈』か『むむむ』だな。

 他は『〇吉特製』がな。

「だらああっ」

「ぶべっ」

 っと、そう思い返していると、喧嘩している人達が殴られて飛んで来た。

 僕は飛んで来た人を受け止める。

「~~~っ」

 あっ、これは駄目だ。

 意識が朦朧になっている。

 これじゃあ、そっちに行っても役に立たないな。

「おらっ、立てや、こら」

 自分が殴った人が向かって来ないので、その人がこっちに来た。

 止めるべきかな。でも、僕、殆ど無関係だしな。

 どうしようかと思っていると。

「あぁん、何だ、てめえ?」

 何か、凄まれているのだけど。

 どうしたら良いかな。

 僕はどうしたらいいか考えていると。

「ふんっ」

「げは⁈」

 僕を凄んでいた人が、横から飛んで来た拳が顔に当たり飛んでいった。

「何か、楽しそうな事をしているな。俺らも混ぜな」

 そう言って、何か大きな旗を持った一団が現れた。

 旗は赤地に虎の顔を模した絵が描かれていた。

 何処かのごろつきのチームが乱入したのかな?

 それにしても、この都市にごろつきでもチームがあるなんて驚いたな。しかも三つあるとは。

「そうだな。こんな楽しい喧嘩に参加しないと損だ」

「ちげえねえ」

 また、声が聞こえたので、振り向くとまた別の一団が現れた。

 今度は白地に蝙蝠だった。

 まだあったのか。しかし、ごろつきのチームがあるなんて、報告で訊いてないけどな。

 帰ったら、リッシュモンドに訊いてみるか。


「そらあっ」

「げふっ」

「ふん!」

「ぶえええっ」

「しゃあっ」

「げしゃああっ」

 何かバトルロワイアルみたいな事になったな。

 今度のチームはどんな名前なんだ。

「おい、今度は『クリムゾン・ティガー』に『ビアンコ・ピピストレロ』じゃねえか」

「喧嘩が激しくなったな」

「誰か、警備兵を呼んで来いよっ」

 あまりの喧嘩が激しくなった所為か、喧嘩を見ていた人達が騒ぎ出した。

 まぁ、その内警備の人が来るだろうと思い、僕はそのまま喧嘩を見ていた。

 すると、殴られた人が僕の傍まで飛んで来た。

 これはもう完全に気絶しているな。

 でも、殴った人はそんな事などお構いなしに、気絶した人に馬乗りになって殴りだす。

「ち、ちょっと、もういいんじゃないの?」

 僕が止めようとしたら、殴っていた人が手を止めて、僕を見た。

「何だ。てめえ、こいつらの仲間か?」

「いや、違いますけど」

「だったら、黙ってやがれっ」

「でも、気絶する人を殴るのは」

「うるせえ! ごちゃごちゃ言うんじゃねえよっ」

 男は殴りかかろうとしてきた。

 だが、その拳は僕に当たる事は無かった。

 突如矢が飛んで来た。そして、男に当たった。

「何をしているか。貴様っ」

 アルトリアが矢を番えていた。

「いって、なにしやがるっ」

 矢は右上腕に当たっていた。

 男は刺さった所を腕で押さえている。

「貴様、この方を害そうとしたなっ」

「な、なんだよっ」

「その罪、万死に値する。覚悟しろっ」

 アルトリアは剣を抜いて駈け出した。

 ちょっ、ここで人殺しはっ。

「ふんっ」

「ぎゃああああっ」

 アルトリアが振り下ろした剣は男に当たり倒れた。

「安心しろ。峰打ちだ」

 いや、その剣って諸刃だから峰ないよ。

 しかもあばら骨が折れてる。

 まぁ、切られてないから、ギリギリセーフかな?

「何をしているか、貴様らっ」

 人に呼ばれて、ようやく警備兵がやってきた。

「やべっ、警備兵だ」

「逃げろ」

 警備兵を見るなり、殆どはごろつき達は逃げ出した。

 だが、一部は。

「やんのか、こらっ」

「しゃらくせえ」

 何か警備兵に喧嘩を仕掛けだした。

 でも、武装が違うので直ぐに鎮圧された。

 皆お縄に掛かって連れて行かれた。

 その姿を見送った僕は、アルトリアが駆け寄ってきた。

「主君。御無事ですか?」

「ああ、大丈夫だ」

「まったく、あのごろつき共め」

 アルトリアは憤慨していた。

「さて、そろそろ戻るか」

 僕は服に着いた埃をはたき落として言う。

「分かりました」

 アルトリアは膝を曲げて、僕に乗りやすいようにしてくれた。

 僕はアルトリアの背に乗り、領主の館に戻った。

 館に着くと、何か激しい音が聞こえて来た。

 何だ? いったい。

「いい加減、うざったいのよ。あんたっ」

「わたしもそう思っていましたよ。この貧乳娘っ」

「誰が、貧乳よ。この淫乱うさ耳年増っ」

「言ったわねっ」

「かかってきなさいっ」

 何か、アルティナとアルネブが喧嘩していた。

 館に戻っても、喧嘩か。今日は騒がしい日だな。

「あっ、お帰りなさいませ。リウイ様」

 争っている二人を見ていると、ソフィーがやってきた。

「ソフィー、これは?」

「はぁ、見苦しい所を見せて申し訳ありません」

「何が原因で喧嘩しているんだい?」

「はぁ、それがあまりにもくだらない理由でして」

「…………」

 はぁ。あの二人って相性が悪いのかな。

 とりあえず、二人の喧嘩が終るのを待つか。


 

 




 

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