第103話 これでこの地は僕の領地になった。
「では、全部族の者達が集まったようなので、まずは各自の自己紹介といこうではないか」
頼んでもいないのにル・ボンさんが司会をしてくれた。
「人獅子族代表で族長の妻のリオン・ゼへレスだ」
最初に人獅子族の族長の奥さんがそう自己紹介を始めると、他の部族の人達も自己紹介を始めた。
天人族は族長のシェムハザさん。ダークエルフ族はボルフォレ。デュラハン族は族長のエキシアンさん。アラクネ族は族長のスイレンさん。巨人族は族長のオケアノス。
ここまでは、各部族は族長のようだ。
人獅子族からは族長の奥さんのリオンさん。昆虫人族からは各部族の代表としてか三人程来ていた。アカカという名前の蟻の昆虫人とマゴットという名前の蠅の昆虫人とスピービーさんが来ていた。アイゼンブルート族からはユプスィロンドライ。最後に吸血鬼族からル・ボンさん。
「では、僭越ながらわたしが此度の会議の司会を務めさせていただく。皆々様方、よろしいか?」
ル・ボンさんがそう言うと、この会議に参加した人達は皆頷いてくれた。
「我ら吸血鬼族は魔国に従属を決めました。他の部族の方々はどうなのでしょうか?」
「私の天人族は魔国に従属するわ」
「あたしの所も従属するわ」
「同じく」
「デュラハン族も同じだ」
シェムハザさん、スイレンさん、ボルフォレ、エキシアンさんは従属すると宣言した。
エキシアンさん、スイレンさんとボルフォレは分かるけど、シェムハザさんが言うのは少し驚いた。
まぁ、殆どの部族が従属すると決めているようだから、いち早く言って自分の部族の優位な立場を取るのつもりだろうか。
そこの所は分からないが、そう上手くいくかな。
「儂ら人獅子族は魔国に従属しよう。その証として、我が娘の一人であるデネボラをそちらに預けよう」
「ヴァ、失礼。我ら、昆虫人族の方従属します。その証拠にアベビーネ族の前族長であるビクイン様を含めた数名を、従属の証として預けよと、部族会議からのお言葉です」
リオンさんと昆虫人族の方は従属の証に人質か。古典的だな。
というか、今、ビクインさんの名前も出たけど、もしかしてビクインさんが人質になるのか。
凄い事するな。
あっ、シェムハザさんが悔しそうな顔をしている。
人質を出してまで従属すると考えていなかったようだな。
「我ら、アイゼンブルート族はリウイ様にお仕エしまス。その証ニ、我が部族ノ全テをリウイ様の指揮下ニ入リ、何時如何ナル場合でも、お声一つデ何処におられても駆けつけル事を誓うと、我が部族の族長よりノお言葉デス」
ふむ。概ね予想通りの答えだな。
後は巨人族だけか。
「…………」
この会議が始まって、オケアノス族長は一言も発しない。
腕を組み目を開けながら、何か考えているようだ。
ふむ。どうやら、他の部族はどう答えるのか見ているようだな。
この前まで、身体がデカくて脳みそまで筋肉で出来ていると思っていたけど、なかなかどうして切れるようだ。
「こら、オケアノス。目を開けたまま寝てないで、お前はどうなんだ?」
エキシアンさんがそう言って、オケアノス族長を叩く。
まさか、目を開けたまま眠っていた⁉
「オア、オオ、アマリニツマラナクテ眠ッテシモウタ」
欠伸を掻きながら言うオケアノス族長。
僕の感心を返せと思ったが、ここは冷静になろう。
先程のは、僕が勝手に思っていた。そう思い直す。
「ホンデ、此処ニイル部族ノ代表者ハ魔国ニ従属スルッテ事デエエンカ?」
「そうだ。それで、オケアノス族長は如何かな?」
「ワシン所モ、魔国ニ従属ッテ事ニシタゾ」
おお、そうか。これで、この樹海で暮らしている部族の全ては、魔国の従属した。
これにより、この樹海は魔国のひいては僕の領地になった。
「では、全部族は魔国に従属するという事でよろしいか?」
ル・ボンさんがそう言うと、皆頷いた。
「此処に樹海九部族は魔国に正式に従属する事が決まりました。では、世界樹に此度の事を刻みましょう」
そう言って、皆、立ち上がり、建物を出て行く。
何をしに行くのだろう。
そう思っていると、ビクインさんが教えくれた。
「この建物中で決まった事は、全て世界樹に記録させるのです」
「記録?」
「まぁ、記録と言っても、魔国に従属するという旨を辺材の所に刻むだけです。此度の会議の参加者の名前をついでに」
「成程」
議事録みたいなものか。
でも、世界樹に刻むとか凄いな。
まぁ、これで僕の仕事は終わったようなものだから、後は十二氏族の所に行って、この話しをすればいいだけだ。
僕はようやく、安堵の息を吐いた。
この話しで、本編は終わりです。
後は閑話を何話か出して、この章の話しは終わりにします。
次は魔国を出て、大陸に行き商人になるお話しになります。




