第98話 話しは分かったので、とりあえず巨人族の族長と話します
「……という訳なのだ」
「成程。事情は分かりました」
このケニギンアーヌル族長の話を聞いて、何で揉めているのか分かった。
ようはあれだ。有名な学者の講義に幼稚園に学ばせるような事をしたのだ。
ケニギンアーヌル族長達が攻め込んできた巨人族の族長に賠償を求めたのだが、巨人族のオケアノス族長が「バイショウ? ナンダ。ソレハ? 食エルノカ?」と言ったそうだ。
なので、ケニギンアーヌル達は分かりやすい様に説明したのだが、余計にチンプンカンプンになったオケアノス「ソンナ訳ガ分カラン事ヲ、並ベ立テテモ分カル訳ナイジャロウガッ。殺スツモリナラ、サッサト殺サンカイッ‼ 代ワリニ部族ノ者達ヲ全員返スンジャア‼」
どうやら、巨人族の族長は馬鹿なようだけど、男らしい性格のようだ。
アイゼンブルート族は何でも理論立てて行動する種族のようだから、巨人族みたいに考えるよりも行動する人達とは相性が悪いようだ。
「で、僕が交渉しても良いのですか?」
「うむ。話が通じない以上は、交渉が上手い者に任せるのが道理であるからな」
「はぁ、そうですか」
「その代わりと言っては何だが、この交渉を上手くいったのであれば、そちの国に従属する事も考慮しても良いと思っている」
「そうですかっ」
殆どの部族を回り、従属してくれた。
ここでアイゼンブルート族と巨人族も従属してくれたら、残るは昆虫人族だけだ。
これは上手くいかせないと駄目だな。
「分かりました。その話お引き受けします」
「助かる。どうも我らは巨人族とは馬が合わなくてな」
「いえ、相性というものがありますから」
「うむ。誰ぞ、リウイ殿をオケアノスが居る所に案内してくれ」
「ハッ」
ジネラールゼーリエの一人で、確かイクスフィーアだったかな。
その人が僕達を案内してくれた。
ケニギンアーヌル族長と話した部屋を出て、少し歩いた。
そして、着いたのは大きな扉がある部屋だった。
どちらかと言うと、ここは部屋というよりも倉庫だな。
「オオオオオオオオオッ‼ 出セ、出サンカイ、ボケッ⁉」
その部屋から関西弁? みたいな怒声が聞こえてくる。
巨人族の方言なのだろうか?
まぁ、とりあえず入るか。
「デハ、扉を開けまス」
イクスフィーアさんが扉を開けた。
扉が開いた先は、只っ広い空間だった。
その中心に鎖で厳重にグルグル巻きにされている巨人が居た。
「コラアアアアッ! 鉄クズ共! サッサト解カンカイッ。ソウシタラ、綺麗ニブッ壊シタルッ」
そう言って解く人は居ないと思うのだけど。
興奮しているけど、まぁ、鎖で拘束されているから大丈夫だろう。
「あ、ああ、すいません。ちょっと」
「放セ! 放セ! サッサト放セ! シバクゾッ、ゴラ!」
「すいませ~ん! 話しを聞いてもらえますかっ」
「放セ! 放セ! サッサト放セ! シバクゾッ、ゴラ‼」
「すいませんっ‼」
しかし、どれだけ大きな声をあげても、オケアノス族長の声に掻き消される。
これじゃあ、話しも出来ないな。
「ここは任せなさい」
ビクインさんは何処からか弓を出して矢を番えた。
その矢の先にある鏃に魔法を纏わせる。
そして、ビクインさんは矢を放った。
放たれた矢は、オケアノス族長の身体に刺さる。
「?」
オケアノス族長は叫ぶのを止めて、何か当たったみたいな顔をした。
巨人からしたら矢なんて、人間からしたら尖った物に肌を突かれたようなものだろうな。
何か当たったなと思っている所に。
「アバババッババッバ⁈」
いきなり、オケアノスの身体に電気が走った。
ビクインさんが放った矢には雷の魔法を纏わせたようだな。
やがて、電気が止まると、オケアノスは静かになった。
と言っても、直ぐに気を取り戻した。
「ナ、ナニガアッタンジャ?」
静かになったけど、ちょっと強引すぎるのでは?
と思い、僕はビクインさんを見るが、ビクインさんはウインクしてきた。
まぁ、これで話しが出来るから良しとしよう。
「ああ~、すいません。話を聞いてもらえますか?」
「アン? ナンジャ、オ前ハ?」
「僕はリウイと言います。貴方の交渉人です」
「コウショウニン?」
「そうです。貴方達の言葉を聞いて、僕がアイゼンブルート族に伝える役です」
「フム。ジャッタラ、儂ノ言葉ヲ伝エル者トイウ事カ」
ふぅ、どうやら、話しは聞いてくれるようだ。
「ンジャ、儂ノ話ヲ聞イテモラオウカ」
そう言って、オケアノス族長は話しだした。




