第92話 巨人族と交渉します
「ウ、ウウウウ、……ウン?」
「アレ? ドウジデ、オラダヂ縛ラレテルンダ?」
巨人族の人達が目を覚まし、自分達の状況に困惑していた。
「あ、ああ、すいません。こっちを見てもらえますか?」
僕が巨人族の人に声を掛ける。
その声が聞こえたのか、巨人族の人達が僕の方向を見る。
「ナンダ、オ前ハ?」
「宴ヲ始メル前二、ゴンナ奴イダガ?」
「ザア?」
「勝手に入って申し訳ない。僕は魔国の使者でリウイと言います」
「マゴグ? ドゴダ。ゾゴ?」
「オラ、知ラン」
巨人族の人達は首を傾げながら話していた。
まぁ、この森から出なさそうだし知らないのも仕方が無いか。
「この森の外にある国の者です」
「森ノ外ガラキダノカ。ソレハ大変ダッタナ」
「酒デモ飲ムガ?」
あれ? 何か思っていた巨人とイメージが違うぞ?
とりあえず、話を続けよう。
「ああ、これはご丁寧に、でも、まだ酒を飲める年齢ではないので、お気持ちだけで結構です」
「ゾウガ。トコロデ、オラ達バドウジデ、縛ラレテルンダ?」
「ああ、それはですね」
僕は事情を話した。
聞き終えたら、怒るだろうなと思いつつ話をした。
案の定、話が終ると、巨人族の人達は特に怒りだした。
「ハアアアァァァ⁉ 何デ、オラ達ガゾンナ理由デ縛ラレテルンダ‼」
「ザッザド、解放ジロッ」
まぁ、気持ちは分かる。
「その前に訊きたい事があるんですが」
「「「ナンダ‼」」」
「どうして、住処を出て周辺を歩きまわっていたのですか?」
「アア、ゾレハ食料ヲ探シテイタダケダッ」
「部族全員で?」
「ゾウダ。オラ達ノ食料ノ種ヲ探シテイタンダ」
「種?」
「アア、オラ達ノ畑サ耕シテルンダガ、ソノ畑ニ使ウ種サ探シテタサ」
「ソイデ、ゾゴニイルメンコイ昆虫人ノ嬢チャンガ子供サ探シテルッテ言ウカラ、オラ達モ手ヲカ貸シタダ」
「ンデ、見ツカンナカッタンデ、オ嬢チャンが疲レタ言ウカラ、オラ達ノ住処サ案内シテ、疲レヲトッタラ如何ダッテ言ッタラ、オ嬢チャンガ頷イタンデ、連レタダケダ」
「ンダ。デ、食料ノ種サ探シテ疲レタカラ、オラ達宴ヲシテタンダ」
「ソウ言エバ、宴ヲシテイタラ、何ガ、昆虫人ガ意味不明ナ言葉ヲ叫ンデタナ」
「アア、落チ着ガセヨウドシタラ、何ガ勝手ニ暴レダシタンデ、トリアエズ虫籠ノ中ニ入レタンダ」
「落チ着イタラ、此処ニ来タ事情ヲ聞コウトシタンダ」
ふむ。話を纏めると、食料の種を探していたら、迷子になったビクインさんに会い、一緒に娘達をさがしたが、見つからず疲れただろうから、住処で休むように勧めた。
で、食料探しで疲れたから宴をしていたが、ビクインさんが給仕してくれた。
そして、スピービーさんが住処に入って、話も聞かずに暴れ出したので、仕方がなく牢屋に入れたと。そして、今に至るっと。
う~ん。どうしよう、色々な偶然が重なったとはいえ、何か悪い事をした気分だ。
「何か、すいませんでした」
僕は頭を下げた。
それを見て、皆驚く。
「てめ、男だったら、軽々しく頭を下げるじゃあね、んがっ⁈」
スピービーさんがアンビアさんとビクインさんに頭を叩かれた。
「黙れ。単細胞」
「少し静かにしていましょうね」
アンビアさんは睨みながら、ビクインさんは笑顔だけど怖い顔をしながら言う。
スピービーさんは二人の圧力に負けて、コクコクと頷く。
僕が謝ったのを見て、巨人族の人達も驚く。
「……マァ、謝ッテクレタシ、コノ拘束ヲ解イテクレタラ、オラ達ハ文句ハナイべ」
「ンダンダ」
あれ? すっごい良い人達なんだけど。
これがこの樹海でも過激派って言われている部族なの?
「すいません。聞いても良いですか?」
「ナンダ?」
「皆さんは巨人族なんですよね?」
「ンダ」
「失礼ですけど、どうして過激派って言われているんですか?」
「過激派? アア、ゾイヅラハモッド北ノ方ニイルベ」
「はい? 北?」
もっと北部にいるという事か?
だったら、今目の前にいるこの巨人族の人達は巨人族ではないのか?
う~ん。訳が分からなくなった。
「ヂナミニ、オラ達モ巨人族ダカラナ」
それは、見た目からそう思います。
「すいません。話が分からないのですが、その、貴方達も巨人族なんですよね?」
「ンダ。正確ニ言エバ、オラ達ハファーマーダ」
「ふぁ、ふぁーまー?」
それって、農夫だよな?
「えっと、すいません。どういう意味なんですか?」
「オラ達ノ種族ハ、ウォーリアトファーマートブラックスミスッテイウ階級ニ分カレテ生活シテルンダ」
「デ、ウォーリアノ奴ラハ、好ギ勝手サ、何処カノ部族ニ戦争シニイクンダ」
えっと、巨人族はウォーリアとファーマーとブラックスミスという三つの階級に分かれていると、そしてウォーリア階級の人達がよく他部族の所に戦争にし行っていると。
ふむ。つまり、巨人族は江戸時代の日本の士農工商みたいな階級制度を敷いているという事か。
士はウォ―リア。
農はファーマー。
工はブラックスミス。
商はないようだが、結構似てるな。
「それで、そのウォ―リアの人達はもっと北に居るのですか?」
「ンダ。今頃、ドッカノ部族ニ攻メ込ンデルンジャネエカ?」
「ダナ。確カ、アイゼンブルートノ所ヲ攻メルトカ言ッテタナ」
アイゼンブルート⁈ アーヌル達の部族の所か。
という事は、今頃戦闘の真っ最中かも知れないな。
「う~ん。情報は手に入ったからな。さて、どうしたものか」
「リウイよ。ここは一度『ネスト』に戻る事を進めるぞ」
「戻るですか? でも、まだビクインさんの娘さん達が見つかってないので探さないと」
「そうだ。姪っ子達が心配だ。早く探さないとっ」
「落ち着け。今の我らは情報を集める事の編成で来たのだ、少ない手勢を捜索に割いたら、余計に手間がかかるわ。故にここは一度戻って、人手を集めてから捜索すべきだ」
「でもよ」
「そうね。そうした方が良いわ」
「姉貴っ⁉」
ビクインの言葉に、スピービーさんは驚いていた。
「娘達も自衛位は出来るわ。今は戻って、わたくしの無事を報告して、そして娘達を探すための人手を集めるべきね」
「~~~~~」
スピービーさんは忌々しそうに地面を蹴る。
ビクインさんが言う事が間違ってないので、何も言えない自分に腹を立てているようだ。
感情で言えばスピービーさんの意見は間違ってないが、理性の面で言えば、ビクインさんの意見は間違っていない。
「酔イガ覚メタカラ、オラ達モ探スノヲ手伝ウダ」
「ありがとうございます」
人手は少しでもある方が良い。
お礼を言い終い、僕達は『ネスト』に戻る事となった。
巨人族がどれくらい居るか知らないが、アーヌル達無事だと良いな。
しかし、ロボットと巨人か。
戦ったら、どっちが勝つか楽しみな組み合わせだな。
「どうかしました?」
「いや、何でもないです」
そう考えていると、ビクインさんが話しかけるので、僕は何でもないとばかりに首を横に振る。
さて。巨人族の人達に見送られ、僕達は『ネスト』戻る。
その途中で、何か羽音が聞こえる。
しかも、三つ。
「この羽音は、娘達の羽音っ⁉」
よく分かるな。親だからかな?
「おい、戦闘してる音も聞こえるぞっ」
すいません。僕の耳には全然聞こえません。
アリアンはどうだろうと見ると、アリアンの耳は聞こえているようだ。
「戦闘している確かのようですが、誰と戦っているのでしょうか?」
流石に分からないな。
「おおおおっ、三人共、待っていろよっ⁉」
ああ、また、スピービーさんが突撃しちゃった。
「ビッキー、お前の弟の血の気の多さはどうにかならぬか?」
「う~ん。普段から少しは落ち着きましょうねって言っているんだけどね」
アンビアさんとビクインさんは困ったように話し出す。
仕方がないので。僕達も後に続くとしよう。




