第90話 よし、この手でいこう
さて、アンビアさんと合流出来たとはいえ、状況的に言えばかなり不利だ。
「このままの戦力だと何も出来ないじゃろう。一度、巣に戻って戦力を整えるべきだと思うのだが」
アンビアさんは撤退を進言してきた。
このまま撤退か。少し勿体ない気もするな。
かといって、この戦力では何をするにしても無理があるか。
仕方がない。一度巣に戻って対策でも考えるか。
「しかし、巨人族の宴は騒がしいな」
「そうだな。これだけ騒がしい宴を三日三晩するというのだから、驚きだ」
へえ、巨人族だから飲む量も尋常ではないと思ったけど、日を跨いでするとは凄いな。
だとしたら、最後の方はグダグダになりそうだな。
・・・・・・ああ、良い事を思いついた。
「すいません。護衛の誰かに、睡眠効果がある毒を作る事と透明化する事が出来る人は居ますか?」
「? 何をするんじゃ?」
「実は」
僕は皆を集めて、皆に僕の考えを話す。
「・・・・・・その策、旨く行くかの?」
「まぁ、失敗したら即効逃げる事にしましょう」
「行き当たりばったりじゃな」
「わたしもそう思います」
アリアンまでそう言うとは。
「まぁ、やってみて失敗したら逃げましょう。で、今、リウイが言った事が出来る人は居るの?」
スイレンさんがそう訊くと、手を挙げてくれたのは五人ほど居た。
透明化出来るのは三人で、毒が出来るのは二人か。
「じゃあ、毒を作って貰って、その毒を透明化できる人達に渡して」
僕は巨人族が飲んでいる酒の樽を見る。
「その毒を入れてきて下さい」
「しかし、酒に毒を入れたら、味も匂いも変わると思うのじゃが」
「そこの所は、大丈夫だと思います」
見た所、脳筋で大雑把だからな、多分行けると思う。
「まぁ、お主が言うならば大丈夫じゃろう」
アンビアさんがそう言って、護衛の人達に指示を出す。
毒を作る人達が毒を作り、それを透明化できる人達に渡す。
触れても毒の効果は出ず、飲み込む事はしなければ問題ないそうだ。
透明化できる人達は、透明になって巨人族に近付く。
そして、酒樽の中に毒を入れていく。
透明化できる人達が戻ってきた。
「言ワレタ通リニ、混入サセマシタ」
「ご苦労様・さてと、結果を見るとしよう」
僕達は物陰から、巨人族の宴の様子を見る。
酒樽から、盃を入れて酒を掬い豪快に飲む巨人。
「ウン? ナンガ味ガ変ワッタヨヴナ」
「ソウカ? イツモドガバランダロウ」
「ゾウダナ。オラノ勘違イガ」
巨人族は気にせず飲みだす。
ああ、巨人族ってどちらかというと味よりも量を取る方だと勝手に思っていたけど、予想通りだ。
そして、宴は続く。
「アレ、ナンガ、眠タクナッテキタゾ」
「オレモダ」
そう言った端から、巨人族の人達が倒れて行く。
意外に即効性だな。
やがて、巨人族の人達が全員眠ったのを確認したら、僕達は物陰から出た。
「本当にうまく行くとはな」
「僕としては、もう少し時間が掛かると思いました」
「兎に角、捕まったスピービーさんとビクインさん達を解放ついでに、巨人族を捕まえましょう。」
スイレンさんの号令で僕達は行動を開始した。




