第83話 話し合いの前に
僕はスイレンさんと話しを終えると、皆の所に戻った。
「では、あたしの家で話をしましょう。デュラハン族の族長であるエキシアン殿が待っているわよ」
と言って、僕達を家に案内しようとしたのだが。
「「待ちなさい(ってください)」」
カーミラさんとアマルティアがスイレンさんを呼び止める。
ルーティさんも呼び止めようとしたが、二人に一歩遅れたようだ。
「なにかしら?」
「案内をする前にリウイを下ろしなさい」
カーミラさんがそう言うと、アマルティアとルーティさんも頷いた。
そう、今僕はスイレンさんの腕の中に居る。
何故か分からないが、僕を抱き抱えるスイレンさん。
逃げない様になのか、僕の身体を糸で縛って抵抗できない様にされていた。
そして、僕の頬を突っつきながら、三人に言う。
「別に良いでしょう。したら駄目という掟でもあるの?」
「そんなのある訳ないでしょう。でも、リウイが困っているでしょう」
「そうなの? ウー君」
ウー君か。ちゃんづけで呼ばれているが、何か新鮮だ。
まぁ、呼び方については、特に問題ないのだけど、この体勢だと、流石に三人が文句を言いそうだから、下ろしてと言うか。
「あ、んぐっ⁉」
な、何だ? 言おうと口を開いたら、見えない何かで口が押えられた。
そして、今度は首を横に動かされた。
えっ⁉ う、動かしてないのに。
「ほら、別にウー君は問題ないと言っているわよ。なら、このままで良いでしょう」
違う。そんな事は言ってない。
と言いたいのだが、口が見えない何かで塞がれて開かない。
「じゃあ、行きましょうね。ウー君」
そう言って、スイレンさんは僕を僕を抱いたまま、歩き出す。
その後を、カーミラさんとアマルティアが凄い顔で付いて来る。
残りの人達は、何とも言えない顔をしながらついてきた。
しかし、こんな事をするなんて、何が目的なんだ? スイレンさんは。
そう思い、僕は顔を上げると。
「ふふふ」
何かスイレンさんがもの凄く楽しい顔をしながら、カーミラさん達を見ている。
あっ、分かった。
これは、相手をからかって反応を見ているんだ。
何てサドな人なんだ。
前世も含めて、あまり会った事がない性格の人だな。
僕はスイレンさんに抱き締められながら、スイレンさんの家の前まで来た。
ふむ。想像よりも入り口が大きいな。
これは、アラクネ族の身体が大きいから、入口も大きく作られていると考えた方が良いのだろうな。
「じゃあ、入りましょう」
引き戸を開けて、家の中に入った。
家の中に入ると、そこら中が巣が出来ていた。
蜘蛛だから、巣を作る習性があるのだろう。
そう思いつつ、奥へと進んでいくと、広い居間のような所に来た。
既に、その部屋には甲冑を来た短髪の男性が座っていた。
「おお、来たか」
そう言って、その鎧姿の男性は、僕達を見て手を挙げる。
何か、口髭ともみあげと顎髭が合体した髭を生やしているな。
しかも、その髭が長い事。腹までありそうな長さだ。
肌は青白く、髪も髭も黒く耳が人間位の大きさなので、この人はデュラハンなのだろう。
「待たせたな。エキシアン」
「はっはは、そんなに待っていないぜ。兄者」
へぇ、この人が、デュラハン族の族長さんか。
んで、リッシュモンドの義理の弟と。
「改めて、自己紹介だ。俺はデュラハン族族長のハイ・デュラハン・ロードのエキシアンだ」
エキシアンは立ち上がり、頭を下げる。
「ところで、そこの魔人族が、魔国の使者なんだよな?」
「ああ、そうだ」
「何で、スイレンの腕の中に居るんだ?」
ですよね。見たらそう思うよね。




