第65話 さて、次の目的地は
やがて、吸血鬼と魔国の従属への調印は終わり、僕達は次の目的地にヘと向かう事にした。
ル・ボンさんとシエーラさんの二人が見送りにきてくれた。
「この道を真っ直ぐ行けば、各部族の縄張りへと通じる道に出る。そこから、何処の部族に行くかは、リウイ殿次第だ。気をつけて行くのだぞ」
「はい。わざわざ、お見送りにまで来てくれてありがとうございます」
「何、大した事ではない。それに」
ル・ボンさんは僕の隣にいるカーミラさんに目を向ける。
「娘を見送りに来たようなものだからな」
「は、はぁ、そうですか」
ル・ボンさんは僕の右隣に居るカーミラさんを見て、ニコニコと笑顔を浮かべている。
何せ、カーミラさんは笑顔で僕の腕に自分の腕を絡めているのだ。
まるで、恋人に甘えている女性のようだ。
「いやぁ、もう少し時間が掛かると思っていたのだが、まさか一夜でこうして娘を誑し込むとは、いや、御見それしましたぞ」
「いえ、僕は何も」
「はっはは、ご謙遜を、この娘のその奔放さときたら我が一族の男達を誰も寄せ付けない程でしてね。婚約者を見繕うのも困る次第でした」
「お、御父様っ」
「この分なら、孫の顔を見るのも遅くないかな?」
いやいや、それはあらゆる行程スキップしすぎですよっ。
「も、もう、御父様ったらっ」
カーミラさんも何か満更でもないような顔をしている! いったい、僕が寝ている間に何があったんだ?
「むぅぅ・・・・・・・」
僕の左隣にいるアマルティアは、ル・ボンさんとの会話を聞いて何故か唸っている。
この前の、カーミラさん同衾の件からか、何故か僕の傍に居る様になった。
四六持中僕の傍に居る様になった。無論、寝る時もだ。寝る時は流石に追い出すけどね。
何で、アマルティアがそんな事をするようになったのか、訳が分からず訊ねてみたら。
『別に、何でもありません』
とか言いながら、意味ありげに僕を見る。
何か釈然としない思いを抱くが、これ以上訊いても教えてくれないと思い訊くのは止めた。
でも、カーミラさんと喧嘩する様になった。
違った。あれは、喧嘩じゃなくて殺し合いだ。
だって、お互い得物を抜いてガチで戦っているんだもん。あれは、模擬戦とか手合わせとかそういうレベルじゃなかった。
「マスター、そろそろ行きませんと」
ナイスだ。アリアン。
「じゃあ、ル・ボンさん、シエーラさん。僕達はこれで」
「うむ。くれぐれも道中気を付けてくれ」
「はい」
僕達は一礼して、そして踵返して歩き出す。
「カーミラ、ちゃんと道案内をするのだぞ」
「皆様、くれぐれも無理はしないようにっ」
お二人は手を振って、僕達を見送ってくれた。
都を出て道を少し進むと、僕を挟んでアマルティアとカーミラさんが睨み合いを始めた。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
二人は何も言わず、互いを睨んでいた。
頼む。何か喋ってくれ。
「マスター。次は何処の部族に行きますか?」
「あ、ああ、そうだな」
この状況で話しかけてくれるアリアンが嬉しく思う。
「次は決めている。人獅子族の所だ」




