第91話 魔王の策謀
扉を開けた先には、石造りの床の中央に赤い絨毯の敷かれている。
絨毯の先には石段があり、その数段先には玉座があった。
「来たか」
玉座に座る男。魔王ツシカーヨロウリだ。
顔は見た事があるので間違いない。
そして、玉座の周囲を見るが、魔王以外誰も居なかった。
「魔王っ、とうとうここまで追い詰めたぞ!」
何か、ゲームみたいなテンプレな台詞を言っている天城君。
その魔王はというと、僕達を見て笑みを浮かべる。
「わたしを倒すのに、二人だけか。ふっふふ、舐められたものだ」
「お前の汚い策で分断されただけだ! 直ぐにお前の部下達を倒して、ここに来る‼」
天城君は剣の切っ先を魔王に向けて叫ぶ。
「威勢がいい事だ。どれ、相手をしてやろうぞ」
魔王は玉座から立ち上がり、傍に立て掛けておいた鞘から大剣を抜いた。
その大剣は立派な装飾が施されているが、刀身からは禍々しいオーラを出していた。
正に魔王が持つにふさわしい魔剣だ。
「行くぞ。魔王‼」
天城君と魔王が今にもぶつかる瞬間。
「ちょっと待って、天城君」
僕がそう声を掛けると、天城君は急ブレーキで止まり、前につんのめりそうになった。
魔王も天城君が急に止まったので、不審な顔をする。
「な、何だよ。猪田」
「戦う前に訊きたい事があるから、少し待って」
そう言って僕は天城君の前に出る。
「魔王、戦う前に訊きたい事がある」
「何だ? 異世界の者よ」
「どうしてここに四魔将の最後の一人が居ないんだ?」
そう尋ねると、魔王は鼻で笑った。
「何故居ないかだと、少し考えれば分かるであろう」
何か、今の言葉引っ掛かるな。
この状況で守るべき魔王を守らないで、何処に居るんだ。
守るよりも攻めて倒すべき相手が居ると考えた方がいいのかな。
「・・・・・・・まさか⁉」
ここに居ない事と、今の状況に合わせて出た答えに僕は愕然とした。
「ふっ、なかなか頭が回るようだな」
魔王は笑い出した。魔王が笑い出すので、意味が分からず天城君は僕に聞いてきた。
「なぁ、猪田。なんで、魔王が笑っているんだ?」
「・・・・・・恐らく、首都の城壁を突破されたら、残った兵をかき集めて本陣を強襲するつもりなんだと思う」
「本陣を強襲⁉ それじゃあ首都の守りは?」
「それは『魔王の軍勢』に要所を守らせればいいだけだよ」
「だが、兵士は沢山居ても、将が居なければ指揮が出来ないだろう」
「一人居るよ。四魔将の最後の一人」
「じ、じゃあ、そいつの指揮で⁉」
「そやつの考えている通りだ。残った四魔将『花炎』のオサーブマが残った兵を集めて、今頃本陣を強襲している筈だ」
「な、なんだって⁉」
事の重大がようやく分かり、驚愕する天城君。
「は、はやく、救援に行かないと」
「行かせると思うなよ」
魔王が手を翳すと、黒い瘴気が生まれ、その瘴気が兵士の形になった。
「本陣が落ちるまで、わたしの相手をしてもらうぞ」
魔王は剣を構えると、兵士達は僕達に襲い掛かった、
僕達は得物を構えて応戦した。




