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ぼくらのカスみたいな青春に捧げるレクイエム  作者: 藤原ゴンザレス


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9/20

第九話 タケルの彼女さん

 説明会もぶち壊し。その場で解散。

 二十人が死んだ。

 野球部スペアリブ事件はすでに全国トップニュースだった。

 生前の野球部員の発言どおり、焼け跡から炭化した大麻の鉢が多数見つかった。

 陶器は焼け残ったようだ。

 消火作業は難航。

 遺体は運び出した頃には個人を特定できない状態になっていた。

 警察は事故と殺人の両方で捜査をはじめた。

 容疑者は生き残った全生徒に全職員。

 大会自粛になった部員と保護者。

 大学推薦を取り消された生徒とその親も有力な容疑者扱いされた。

 もちろん灯油とガソリンを間違えた事故という線もある。

 誰かのライブ中継で全世界に下半身をさらしたぼくは「チンコが大きいので犯人ではないだろう」説が有力だった。

 というか助けようと近づいて死にかけた間抜け扱いである。

 次は人が死にかけても助けない。ぼく学習した。

 世間はぼくの下半身露出を笑う一方で、学校を責め立てた。

 理事長と理事全員が辞任を発表。

 学校法人も次年度の募集を停止することを発表した。

 要するに廃校決定である。

 ぼくらは数年後に存在しなくなる高校の卒業生となることに。

 こうして、ぼくらは完全に人生のはしごを外されたのである。

 すでにネットでは殺人鬼育成学校と言われはじめた。

 推薦はおろか一般入試すらも出禁になりそうな勢いだ。

 このクソ高校出身という十字架が一生ついて回るわけである。

 さらに真田のライブはデスライブとして有名になった。

 もはやアカウントを削除することすら不可能な空気になっていた。

 ぼくも真田もネットでは顔がさらされていた。

 特にぼくはチンコの画像つきだ。

 これ児童ポルノじゃないかなって思うんだけど、誰もがスルー。

 だって男の子、世間が思う有力容疑者、彼女持ちだもの。

 人権なんてない。

 案の定ネットでは殺害予告の山である。

 おそらく警察はわざと泳がせてあちで捕まえようと思ってるのだろう。

 放火犯がまだ捕まってないからね。

 ぼくらに人権ない説もある。

 死ねばいいのに。

 毎日テレビでは被害者面する野球部の親どもの泣き叫ぶ映像が流れる。

 何一つ関係ないのに顔とフルチン晒されたぼくへの言及はなし。

 世界なんて滅びれば良いのに。

 そのころぼくは退院。

 待ち伏せする記者もなし。

 有名になるかもって一瞬思ったけど幻想だった。

 さて退院した。

 退院したがもうまともに勉強する気はない。

 もはや夏の野球大会優勝校よりも有名な我が校では進学は無理ゲー!

 ゆえにアオハルに全力を捧げる。

 今日は学校休み。というか再開の予定は聞いてない。

 そもそも警察と消防によって学校は封鎖されてる。

 だから平日だというのにダブルデート。

 え? タケルは? 別の学校?

 あの学校の生徒がまともに学校行くわけないじゃないですか!

 なのに、いまやうちの学校の方が修羅の国扱いされる理不尽。

 ブロッコリーみたいな髪型のタケルと待ち合わせ場所に行く。

 特攻服を着ようとしたので止める。

 俺が一緒に歩きたくない。

 二人で普通の格好だ。

 タケルのアホはガラ悪いけどね!

 待ち合わせ場所に行くと真田がいた。

 相変わらず地味。だがそれがいい。

 彼女の私服……私服の彼女……彼女の私服……。


「アイラブユー」


「どどど、どうしたの?」


「思わず愛が漏れた」


「なにやってんの……お前……」


 タケルのアホが呆れた声を出す。


「俺はこの幸せを邪魔する者は許さない」


「目が怖えよ。ほんとごめんな。アホな兄貴で。こいつ昔から愛が重いんだよ……」


「え、えへへへへ。えへへへへ」


 喜ばれた。

 やはり俺は正しかった!


「お似合いってことか……」


 うるせえ。

 すると女子が走ってくる。


「ごめーん遅れた」


「ああ、俺たちもいま来たところだ」


 知ってる女子だ。

 あれ……同じクラス?


「白石!?」


「しらっちゃん!?」


 その女子は暮らすの最上位カースト。

 誰にでも優しい聖女。

 白石琴ちゃんであった。


「あ、二人とも~。たいへんだったねえ」


 ほわほわしてる。

 俺はタケルに向き合って両肩に手を置く。


「自首するならいまだ」


「マジでぶっ殺すぞ」


「だって白石ちゃんだぞ! お前のようなヤンキーと住む世界が違うだろ!」


 そうなのだ。

 白石ちゃんは、ほぼ地元の国立は確定なエリート戦士。

 対してタケルは将来の絵を描けない。

 おそらくなにも考えてないだろう。


「ま、これが兄貴との格の違いってやつよ」


「残念だが悔しくないぞ」


「お、おう、珍しい反応だな」


「なぜなら低身長、挙動不審、痩せ形、眼鏡っ娘。拙者それより素晴らしいものなど知らぬ。拙者にとっては唯一にして絶対ナリ!」


「顔が怖えよ!」


「あ、あはは。真田ちゃん。神宮司くんっていつもああなの?」


「そうだよ♪」


「そうかー……」


「で、で、で、で、でも、ほんとは優しいんだよ」


「キャー!」


 女子トークが花開いてる。

 俺たちは疎外感を抱えるのであった。

 近所のショッピングセンター、映画館もあるよ。

 でもダメダメホラーはやってないよ。

 ぼくと真田は思い出したように公式サイトで映画を検索。

 うーん……ダメダメそうな低予算ホラーはやってない。


「兄貴、今日は映画行かねえぞ……」


「調べただけさ」


「つまらないホラーやってなかったんだろ?」


「そそそそ、そうなんですよ! サメも低予算ホラーもやってないんですよ!」


 真田がかばってくれる。


「さすが兄貴の彼女……救いようがねえ……」


 タケルが頭を抱え、白石は「ははは……」と乾いた笑いをした。

 そんなに悪いことか?

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― 新着の感想 ―
そのアイラブユー、系動脈から吹き出してませんかね!
首の次はチンチラポロリ……次は何がポロリするのか?
でかい?もげちまえ。
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