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ぼくらのカスみたいな青春に捧げるレクイエム  作者: 藤原ゴンザレス


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15/20

第十五話 リア凸はマイケル・ベイ映画のように

 脅迫に殺害予告。

 顔中入れ墨のおっさんに「犯人はコイツです」なんて動画まで作られた。

 何度も言ってるがぼくが犯人ならフルチン爆破コント(20人死亡)なんて起こるはずがない。

 それを真田のライブで言うたび、作品のアクセス数が伸びるのはありがたい。

 だけどいいかげんウザくなってきた。

 犯人を捜す時が来たのかもしれない。


「ということで受験勉強しながら捜査します」


 なんて言ったが犯人を探す方法なんてわからない。

 真田だってわからないと思う。

 ただVログの目的を犯人探しって言い張ってるだけだ。

 普通に撮影をする。

 野球部の倉庫に入る。

 規制線は解除されてた。

 中に入ったけど、なにもかも黒焦げになっていた。

 ぼくらじゃ証拠を見つけられそうにない。


「な、な、な、な、な、なにもないね。えへへへへ」


「うん、帰ろうか」


 それじゃ勉強でもするかとその場を後にする。

 すると人だかりができていた。

 生徒たちはもう好き勝手に入って勉強してる。

 家出は針のむしろ、外では犯罪者扱い。

 社会の敵であるぼくらにはここしか居場所がない。

 だからみんな学校に来ていた。

 人だかりの先には顔面まで入れ墨のおっさんがいた。


「おらあああああああああああッ! 犯人だせええええええええええッ!」


 撮影班がいる。

 おそらくライバーだろう。

 というかぼくを犯人扱いしてたおっさんだ。


「犯人がいたぞおおおおおおおおおおおッ!」


 目が合ってしまった。

 見た感じ反社っぽい首どころか顔まで入れ墨入れたおっさんたちが走ってくる。

 当然、俺たちを監視してた警察が飛んでくる。


「てめえええええええええええふざけんなあああああああああああ! こいつが犯人なんだよおおおおおおおお!」


「いや違うが」


 拡声器を向けられる。


「てめええええええええぶち殺してやるううううううう!」


 なんか叫んでる。

 真田がライブ開始。


「な、な、な、な、な、な、なんか変な人が叫んでます」


「てめえクソビッチがぶち殺すぞおおおおおおおおおお!」


 なぜキレ散らかしてるのだろうか?

 意味がわからなすぎる。

 するとおっさんが突然中継をストップ。

 ぼくの肩をつかんで引き寄せた。


「おいブス! てめえもライブやめろ!」


 ブスって言うな。てめえ夜道に気をつけろ!


「おいチー牛。話聞け」


「なんですか?」


「コークはどこだ?」


「は? スーパーにでも行けよ」


「コカインだよ! 100キロ!」


「なんの話ですか!?」


「てめえらの野球部が売人やってたのは知ってんだよ! てめえが野球部ぶっ殺して隠してるんだろ! 言わねえとぶち殺すぞ!」


「は?」


 野球部なにやってんの?


「待って……野球部がガソリンから麻薬作ってた話? 全部燃えたんでしょ!?」


「馬鹿野郎がよく考えろ! 生まれてから野球しかやったことのない猿どもに薬の合成なんかできるはずねえだろ! ここには薬を保管してただけだ!」


「なんで知ってるの?」


「そりゃ、チンピラをぶち殺し……いいからコカイン出せ!」


 ぼくは真田を指さした。

 ライブしてる。


「え?」


 パトカーのサイレンが聞こえてきた。

 そりゃそうなるよね。


「クソ! てめえとにかくコカインだ! 渡せ!」


「知らないよ!」


 男が自動車で逃げていく。

 だけど次の瞬間、どう見ても過積載のトラックが横から突っ込んできた。

 トラックはブレーキを踏んだが止まれない。

 火花を上げながら男たちの自動車ごと学校近くのドラッグストアに突っ込んだ。

 遅れて爆発が起こった。

 火のついた店員とお客と思われる人々が逃げ出してくる。

 もう一度爆発した。

 その爆発に隣のガソリンスタンドまで巻き込まれた。

 ドンッ!

 まばゆい光が見えた。

 それはすべてを焼き尽くす光だった。

 近くを歩いていた人々がなぎ倒され、近くの店舗のガラスが粉々になる。

 爆発と光でコントロールを失った自動車が歩道に突っ込み、人々を轢いていく。

 電気自動車のバッテリーが爆発しあちこちで自動車の爆発が起こった。

 人々は逃げ惑い、あちこちで将棋倒しが起こった。


『死神乙』


『今日も人が死ぬw』


『地獄すぎて草www』


 コメントの民度は今日も最悪だ。

 カスしかいない。

 でも一応聞いてみる。


「ねえ、みんなどう思う?」


『これは国際軍産複合体の陰謀に違いない』


「陰謀論かよ」


『新世界秩序をたくらむ三十三人評議会が財務省と組んだ結果』


「並べりゃいいってもんじゃねえぞ!」


『すべて野獣●輩とア●アシの手の平……』


「やかましいわ!」


 なにも得るものはなかった。

 そう結論づけようとしたそのときだった。


『前の殺人警官。コカイン狙いだったんじゃない?』


「どういうこと?」


『たぶん警察の内部にコカイン狙ってる連中がいる。だから市民が死にまくってるのに様子見てる』


「おいおい、反社、不良、警察の三者がコカイン狙ってるのかよ……」


「どどどどどど、どうすれば!」


 真田が叫んだ。


「なにも。コカインの場所なんて知らないし。反社ならそろそろ終わりでしょ。さすがにいまので国家が出てくるでしょ」


 さーて帰るベ。

 ガソリンの焦げ臭いニオイがしていた。

 やはりというか、未明に反社の事務所に警察が突入。

 証拠隠滅のためにその場で皆殺しにしたらぼくらも危なそうだと考えてたけど、普通に逮捕されてた。

 ふーん。警察はぼくらを守ろうって気はあるのか。

 朝起きると道路の角ごとに警察が立ってる状態だった。

 総理大臣が非常事態宣言をし、自衛隊の装甲車がそこら中を走ってる。

 さあ楽しくなってまいりました。

 ありがたいことに、これで自分で犯人探しをしなくてよくなった。

 真田を迎えに行く。

 真田は朝からライブをしていた。


「おおおおおおお、おはよう」


「おはよ」


『コカイン見つけないの?』


 なんだこの野郎。


『コカイン見つけたら大金持ちだよ』


「そんなわけがない」


 ぼくは断言した。


『なんで? 末端価格100億かもよ』


「現金化できる伝手がない。数億円程度だったら現金にして持ってれば追跡されないけど、数十億、数百億なら銀行なり証券会社から足がつく」


『仮想通貨は?』


「ほとんどはブロックチェーンのアドレスから足がつく。匿名の仮想通貨でも取引所の取引履歴から足がつくそもそもドルから円に換えないといけないからそこでも足がつく。相当な組織力がないと無理でしょ」


 この日本の仕組み上、楽して稼ぐことはできないのだ。

 薄く広く金に換えるしかない。

 そう例えば数グラムから……。

 となると一年間の日本での総需要はたいしたことがないだろう。


「なんだ麻薬なんて儲からないじゃないか」


 思わず口からこぼれた。

 まだ饅頭でも作ってた方がマシだ。

 そうか……だから普通の製薬会社が手を出すことがないのか。

 こんなものが儲かるなんて妄想でしかない。


「ぼく程度が気づく程度……警察が気づかないはずがない。つまり……」


『どういうことだってばよ』


「かく乱だ。犯人の目的は別にあるはず」


 嫌だね。

 こういう頭脳戦はもっと頭いい人に向けてやってよ。

 ぼくらじゃバカどうしの頭脳戦にしかならないよ。

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― 新着の感想 ―
まんじゅうこわい
ここ数話、死者が出なくて物足りな…ゲフン これで主人公のメイ推理が始まるわけですね!楽しみです!
また関係ない人が大量に巻き込まれたな 事件の核の部分にせまっている!
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