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ぼくらのカスみたいな青春に捧げるレクイエム  作者: 藤原ゴンザレス


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13/20

第十三話 服畳土下座の介裸王様

 そして次の日、それは起こった。

 いつものようにエロじゃない方のサイトを開いた。


【メッセージ:『運営』】


 なんですと……。

 もしかして怒られ発生か!

 焦ってメッセージを開く。



ユーザーID:1154514XXX

服畳土下座の介裸王様

(このメッセージは小説家野郎内メッセージボックス・登録メールアドレスの両方に送信されています。)


いつも小説家野郎をご利用いただき、ありがとうございます。



 その後に続くのはYOブラザー社のナパーム文庫からの出版オファーだった。

 エロじゃない方でデビューが決まってしまった……。

 嘘だろ……。

 全裸酔拳が!?

『お姉ちゃん見にゃいで頭ばかににゃるうううううぅッ!』が?

 あまりにも公募落ちるんでヤケになって書いたやつが?

 本気で?

 あわてて返信。

 するとすぐに返事が来た。

 震える手で真田に電話……。


「ははははは、はい! 神宮司くん、真田です!」


「あああああああああああああ、あのあのあのあのあ」


「どうしたの?」


「しゅしゅしゅしゅしゅ……」


「シュッポッポ?」


「出版決まるかも」


「あー、昼間の同人誌の」


「そうじゃなくて全裸ショタ錬金術師酔拳の方」


 書いた作品は相互に読んで感想を言い合ってる。

 今さら恐れるものなどない。


「えええええええええええ! すごいじゃないですか!」


「いいいいいいいいい、息ができない……」


「しっかりして! まだ死ぬにははやいです!」


 どうしてこうなったのか?

 全裸ショタ錬金術師酔拳はお気に入り五千件程度。

 ポイントは15000くらい。

 編集さんの目にとまるかは微妙なラインだ。

 だけど例のレビュアーにこき下ろされた一件で編集さんの目に止まり、あっさり会議を通ってしまったのだ。

 嘘だろ……。

 二日後に出版社に行く。

 東京の海の方だ。

 ビルのワンフロアに出版社があった。

 電子受付をして約束を告げると中に通された。

 編集さんは女性だった。


「こんにちは」


「どもこんにちは」


 まずは名刺交換。

 突貫で作った名刺だ。

 ワープロで作ったものをPDFで印刷した。

 肩書きは『限りなく大学受験失敗に近い高校生』で。

 その後、わけわからなくなったぼくは編集さんとの会議で性癖を熱く語ってしまった。

 終わった……。

 だけど本は発売されることになった。

 世の中はわからないものだ。

 打ち合わせで、汚すぎる言葉と展開は修正をお願いされた。

 特にオホ声周りを。

 サクサク修正。

 オホ声はギャグで入れただけだ。そこまでこだわりはない。

 修正がほぼ終わった頃、須田先生のネームも完成。

 ライブで原稿を仕上げていく。

 ぼくと真田はそれをライブで同時視聴配信してた。


「すげえ……」


 男の子なのに監禁されてメスにまで堕とされる主人公が絵で表現される。


「ハラショー、ベリベリーハラショー……」


 涙を流しながら手を叩く。


「じじじじ、神宮司くんうさんくさいです……」


 だって感動したんだもん。


『童貞乙』


『どんだけこじらせてんだよ』


『いいぞもっとやれ』


 少しだけコメント欄が優しくなった。

 もうぼくの作品の騒動まとめはSNSのトレンドにまでなってしまった。

 なにも恐れるものはない。

 止めようとする学校は機能停止。

 両親はぼくを存在しないかのように振る舞って久しい。

 唯一の家族と言える弟は「へえロックじゃん」と喜んでた。

 誰も止めるものなどいない。


『親に止められなかったの?』


 あるコメントが目に止まった。


「ぜんぜん、だってぼく中学受験で入った学校中退して親に見捨てられてるし」


『詳しく』


「大学付属受かったんだけど、そこで燃え尽きちゃってさ。学校行けなくなっちゃったんだ。そしたら『お前なんか産まなきゃよかった。この失敗作が!』だって」


『うわぁ……兄弟は?』


「いるよ弟」


『弟さん受験は?』


「勉強したくなくて暴走族入ったよ」


『普段の執筆環境は?』


「十年落ちのPCにLinux入れてワープロで書いてる」


 窓は最新版動かないやつ。


『なんで?』


「父親が『お前みたいなクズはゴミでも使ってろ』だって」


 父親も母親もぼくを殺す度胸はないが、生存と勉強に関係ない品を与えるのが嫌なようだ。


『闇深すぎる……哀れ……』


『そりゃこんだけ変態なら見放されるわ……』


『投げ銭させろ!』


「はっはっは! 警察から『収益化したら逮捕する』って言われてるから無理。つまらない話は終わり。はい次」


『好きな作家は?』


「ウラジーミル・ナボコフ」


『はい逮捕』でコメント欄が埋まる。

 うるせえボケ!

 どの作品も性癖ねじ曲がってていいだろ。

 汚いおっさんはたいてい破滅するし。


「るせえええええええええ! 性癖とチ●コで語れ! はい次」


『本当はお前が犯人なんだろ?』


「犯人だったらフルチン晒しません。はい次」


『フルチン哀れ』


『こいつ生きててもいいことないな』


『生きてれば……いいことあるよ……』


 安い同情すんな。

 罵倒より腹立つわ。

 と脱線してると先生が原稿を描き上げた。

 アバラの浮かんだそばかす貧乳エルフさんである。


「ベリーベリースバラヨ~」


 あまりの感動に涙を流しながら拍手する。


『黙れド変態』


『死ね!』


『うさんくせえんだよバカ!』


 なぜ俺は罵声を浴びせられてるのだろうか?

 ピコンとスマホの通知が鳴った。

 なんだろうかと見たら担当さんから「配信で書籍化の話をしてください」というものだった。


「あー、解禁されたので。例の配信でさらしものになった【パーティー追放された錬金術師。実は脱げば脱ぐほど強くなる酔拳戦士】がYOブラザー社のナパーム文庫様から書籍化決まりました!」


『ふぁ?』


 コメント欄がいきなり止める。


「神宮司くんすごいです!」


 真田もバンザイ。

 真田、愛してるぜベイベ。

 するとコメント欄が荒れ始める。


『死ねド変態!』


『なにが全裸酔拳じゃ!』


『この全裸酔拳め!』


「きみら、全裸全裸って言ってるけどぉ。一枚一枚脱ぐたびに恥じらいで葛藤しながらモラルを壊していくのがいいんだろ!」


『るせえバカ!』


『おじさんこの子の将来が心配だわ』


『なんなのこの性癖の魔人!』


 視聴者と喧嘩をしてると先生が同人誌の発売日を予告して終了。

 ぼくらも同時視聴を終了する。

 人は死にまくったけど、人生捨てたもんじゃない。

 そうぼくは思うのだった。

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― 新着の感想 ―
人死は野球部が麻薬密造密売してたので見せしめされただけのようだが……何故配信がデスブログ状態に?
アバラの浮かんだそばかす貧乳エルフさん ブラボー!ブラーヴォー!!
めちゃくちゃ面白いんですけど! 彼には幸せになって欲しいなぁ。
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