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ぼくらのカスみたいな青春に捧げるレクイエム  作者: 藤原ゴンザレス


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10/20

第十話 思わせぶりNPCは一番嫌われる

 四人で服を見に行く。

 ぼくたちには難しい。


「神宮司くん、わかりません」


「奇遇だな……ぼくもわからん」


 コーデが真っ黒になりがちな我らがオサレを理解するまではだいぶかかるだろう。

 まったくわからぬ。

 だが白石、いや白石様のおかげで真田はかわいい服を……。

 ひいふうみい……ほうエグい価格だな。

 財布を見る。

 ゲームあきらめればいけるな。

 その分勉強すればいいや。

 ぼくは死地に向かう戦士のようにほほ笑む。


「買おう」


「じじじじじ、神宮司くん! ゲームは!?」


「あきらめる。君のためならネ」


 奥歯キラーン。

 おいそこ、タケル、キモって言うな。

 弟にどん引きされながら昼食。

 残念ながらフードコートは例の事件で閉鎖されてるのでカフェで昼食。

 少し高いけどしかたない。

 ハムサンドとジュース。

 女子二人はトイレに行った。


「タケル……すげえ美人彼女にしたな」


「ま、俺は良い男ってことだな」


 頭にブロッコリー載っけたみたいな髪型なのに。

 ヤンキーの方が女子ウケいいのか……。

 彼女いるから女子にモテたいとは思わないが、チヤホヤされたいとは少しだけ思う。

 そんな複雑な漢心。そして付属する嫉妬心。

 でもそれもまた青春。ぼくらは失った青春を取り戻すのだ。

 なんだか人だかりができてるのが見えた。

 女子トイレの方だ。


「なんか嫌な予感するくね?」


「やめろマイブラザー。俺はそんな現実見たくねえ」


「いやリアル死神がなに言ってんの?」


「死神言うな!」


「ほら行くぞ」


 嫌でゴザル。

 店員さんも様子を見に店の外に出る。

 廊下は人だかりができてる。


「なんじゃこりゃ?」


 タケルが声を出す。

 ホントなんだろうね?


「あ、真田だ。こっちだおーい!」


 ぴょんぴょんと真田が跳ねた。

 カワイイ。


「よかった。し、し、し、し、しらっちゃんとはぐれちゃって……」


「タケル、頼むわ」


「おう!」


 タケルがトイレの方に行く。


「なにがあったの?」


「えっとね! 女子トイレで遺体が見つかったって!」


「はぁ!?」


「ライブしたよ!」


 えっへんと真田が胸を張る。


「待って、女子トイレで?」


「違うよ、もう入れなかったの。だから前で少しだけ」


 ……お、おう。

 ……うん?


「真田……トイレ我慢してない?」


「そうだった!?」


「行ってきなさい!」


「はーい」


 嫌な予感がしてSNSを確認。

 すると『デスVログ』がトレンドワードになっていた。

 真田のチャンネルである。

 見たら警察が規制線を張ってるだけの映像だった。

 よかった。

 今回は死ぬ瞬間は映してない。

 なんという平和的な画だろうか。

 SNSでは地元の治安の悪さを嘆くコメントが大量に書込まれてた。

 そこまで治安は悪くないと思うけどね。

 近所歩いてていきなり殺されることはないだろうし。

 店に戻る。

 すると学校の……サッカー部かな?

 顔はなんとなく知ってる男子がぼくの前に座った。


「よう」


「えーっと」


「長瀬だ。同じ学年だろが……名前くらい憶えとけよ」


「なにか用?」


 ぼくは、ほほ笑んだ。


「お前ら野球部殺した犯人じゃねえよな?」


「犯人だったら全世界にフルチンさらすと思う?」


「だよな……怪しまれることもしないだろうな」


「そういうこと」


「……じゃあ……気をつけろ。お前らが撮影する陰で人を殺しまくってるやつがいる」


「誰が?」


「わからねえ。……野球部の連中はバカだ。でも灯油とガソリンを間違えるわけがねえ」


「そりゃね。警察も半分そう思ってるよ」


 両者の違いがわからないくらいバカだった説もあるけど。


「……野球部のガソリンは別の麻薬を作る材料だ」


「なんで知ってるのよ」


「俺がダークウェブで売ってた」


「……嘘だろ」


「チクるか?」


「いや関わりたくない」


 それは本音だった。

 ぼくは自分に関係ないことで警察とお知り合いになりたくない。

 どうせ通報したところでぼくまで犯人にされるだけだ。

 親も弁護士雇わないで放置だろう。

 ぼくはとうに見捨てられた身だ。

 親がケツ持ちする気がないのなら厄介ごとに首を突っ込むのは自殺と同じだ。

 たとえ連続殺人犯の情報があろうが全力スルーだ。

 よく知らんやつが死のうが関係ない。


「だろうな。お前はそういうやつだ」


 ぼくのことなんてよく知らないだろうに。

 どうして人は他人を信用してしまうのか?

 なんて愚かな行為だろうか?


「と、とにかく、お前らはライブを続けろ。そうすりゃ犯人は、そのうち捕まるはずだ」


「ライブは飽きるか止めさせられるまでは続けるよ」


「ああ、頼んだ」


 そう言って長瀬は席を立った。

 クソゲーの思わせぶりなセリフを残すNPCかな?

 なにも役に立たない。

 そもそも現代において連続殺人犯が逃げるのは不可能だ。

 それだけ科学捜査は進歩したのだ。

 あるとしたら権力者が隠してるくらいか。

 それも日本じゃ難しいと思う。

 もしあってもSNSでフルボッコだ。


「バカタレが」


 ぼくはそうつぶやいた。

 タケルと白石さん。

 それにトイレをすませた真田が帰ってきた。


「席をキープしておきやしたぜ、お嬢さま」


「え、えへへへへ。どうも」


 さーて、そんなわけでダブルデートは楽しかった。

 たとえトイレの死体がバラバラ死体で、後日長瀬が遺体で見つかってもね。

 ぼくは気にしなかった

 ぼくは自分が冷たい人間だって知ってる。

 ぼくは自分にできないことをするつもりはない。

 ぼくは真田と……可能ならタケルを守りたいと思ってる。

 それ以上は望まない。

 ぼくらは残り少ない高校生活を楽しむつもりだった……。

 そう他の連中もね。

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― 新着の感想 ―
ブロッコリー頭クソだせえと思う。
白石さんは守りたい範疇に居ないのね しゃーない
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