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88.捕虜移送

 ミンクに乗って平原に戻ると、カミロ・グリエゴ公爵は檻付きの馬車に載せられていた。

 逃げ遅れた兵士たちも両手を縛られて数珠繋ぎ。

 数は数百というところか……。

 父さんは時間をかけて、街道から王都に戻る。

 カミロ・グリエゴを王都に連れて行く任務である。

 そうすることで、バレンシア王国がファルケ王国に勝ったこと知らしめるらしい。

 ついでに、

「ケイン・ハイデマン伯爵の軍だけで勝利した!」

 と吹聴するという事だ。


 何という周知……もとい羞恥プレイ。

 まあ、有名にならなきゃいけないらしい。

 リズのこともあるしな。


 今は平原の砦には兵士の数が少ないため、ミルドラウス侯爵家とラインバッハ侯爵家の援軍が迎えに来るのを待っている。

 ちなみに両侯爵家の軍は街道から来ている。

 そして、王都から平原までショートカットできることを両侯爵は知っている。

 ついでに王もである。

 いつかは知られるだろうが、他の者が長い距離をショートカットできるなどと知ったら、王都へ攻め込む可能性もあるからだ。

 まあ、出入り口が俺に関係する者しかいない。

 そして王都に出ても、そこに居るのは精鋭。

 負けることはない……多分。

 ミンクも監視しているらしいし……。


「お前が居ると、出番がない」

 父さんが苦笑いしていた。

「出番がある戦争なんてしちゃいけないと思うけどなぁ……。

 死人が多くなる」

 俺が言うと、

「まあ、確かに。

 出番がないのが一番。

 ただ、手持無沙汰もな……」

 父さんが苦笑いで頬を掻く。



 既に戦いの時期は連絡してあったこともあり、ミルドラウス侯爵家とラインバッハ侯爵家の軍は戦いが終わった翌日には平原に到着した。

 その数、両軍で千ほど。

 ありゃ、ミルドラウス侯爵もラインバッハ侯爵も来ている。

「儂の出番がないではないか!」

 ミルドラウス侯爵が苦笑い。

「しかし、ミラグロスに手を出したと聞いた。

 指輪も渡したとか……。

 それは良きことだな」

 ミラグロスからダダ洩れのようだ。

「舅として、できるだけのことはさせてもらう。

 まずは、カミロ・グリエゴ公爵の事は任せてもらおう」

 前に出るミルドラウス侯爵。

 ラインバッハ侯爵は俺に近づくと、

「うちのとはどうなっているんだ?」

 小声で聞いてくる。

「手を出したら怒るくせに」

「父親は怒るもんなんだよ!

 あっちがおかしいの!」

 ラインバッハ侯爵の声が大きくなった。

「そんなだから、ケイン殿が委縮して手を出さないのでは?」

 ハッハッハと笑うミルドラウス侯爵と、悔しそうな顔をするラインバッハ侯爵。


 ミルドラウス侯爵の方が一枚上手?


 父さんの部隊とミルドラウス侯爵家、ラインバッハ侯爵家の軍はカミロ・グリエゴ公爵と捕虜を連れ、王都に向かうのだった。


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