第二章 第一幕 真の友情は
今日から私は高校生。春の光が校舎の窓に反射して、きらめいていた。私は胸の奥が熱くなるのを感じながら、校門をくぐった。新しい制服の袖口を握りしめると、そこにはまだ見ぬ友達や、これから始まる日々への期待が詰まっているようだった。色褪せた下駄箱に自分の靴を入れ、教室に進む。私は深く息を吸って、教室の扉を開いた。教室のざわめきに足を踏み入れると、黒板に書かれた「1年A組」の文字が目に飛び込んでくる。私は深呼吸をして、心の中で小さくつぶやいた。 ――ここから、私の新しい生活が始まるんだ。そう思った私は希望の一歩を踏み出した。
自分の座席は決まっていて、私は一列目の二行目だった。私は緊張しながらも、冷たい背もたれの温度を手で感じながら、椅子を後ろに下げ、座れるだけの空間を作った。私は座った後、何かやることもなく暇だったので、折角だからと本を読んでいる左側の女子に話しかけた。
「ねえ、はじめまして! 私『石田花音』っていうの!これから同級生として1年間よろしくね!貴方のお名前は?」
隣の子は初対面で緊張していたのだろうか。少し困ったかのように、返した。
「あ、え、私は『金子実』...... よ、よろしく。」
そう戸惑いながらも言葉を返した彼女は、また本を読み始めた。私は彼女が会話を続ける意思がないと思い、彼女の読んでいた本を凝視した。彼女が読んでいた本は「桜の降る頃に」という作品だった。私も読んだことがあり、ものすごく親近感を覚えた。しかし、私は気まずくなり、次の時間の入学式の準備をした。
私の学校では珍しく、二回入学式をする。初日の一回目は県内から、二日目の二回目は県外からの保護者が見に来るそうだ。私は県外から来ているので今日は親がいない。周りの子は両親と一緒に写真を撮っている。私も明日両親と一緒に写真を撮れるとワクワクしながら帰る支度をした。
入学式が終わった校庭の片隅。ライラックの花が静かに風に揺れていた。金子はその前に立ち、じっと紫の花を見つめていた。どこか考え込むような横顔。私は少し悩んだ後、勇気を込めて、少し声を弾ませて話しかけた。
「ライラック、見てたんだね。きれいだよね。香りもすごく優しい。」
彼女は少し驚いたように振り返り、照れたように笑った。
「うん……なんか、落ち着くんだ。知らなかったけど、こんなところに咲いてたんだね。」
私は頷きながら、花の枝に目をやる。
「ライラックって、友情の花言葉があるんだって。だから、こうして一緒に見てるのも……ちょっと特別な気がする。」
彼女は一瞬言葉を探すように黙った後、少し照れながら答えた。
「じゃあ……これから、友達になれるといいね。」
私はあの本の話へ持ち出した。私たちはどうやら気が合うようだ。
ライラックの香りが二人の間に漂い、桜の花びらが降る中で、まだぎこちない会話をやさしく包み込んでいった。しかしこの時、私たちは知らなかった。まさかあんなことが起きるだなんて。
※彼女たちが通っている学校はマンモス校とも呼ばれる学校で、非常に生徒数が多いため、保護者が入りきらないと判断され、二回に分けているそうです。




