37匹目 フィアちゃんに紹介
祝!100万PV達成!
ギィイ~。
「ただいま~」
「……ただいまはお客さんがお店に来たときの挨拶ではありません」
リアルで6時半。FWOでは昼の時間にログインしてとりあえずクエストを達成しにアトリエに来た。
「きゅい」
「ホー」
「メェェ」
皆と一緒に。
「……!もふもふ」
昨日皆を出してても特に問題無かったからな。
今日も大丈夫だろうと思って皆を出して歩いてたら、あからさまに誰かにつけられてたのをボーパルが見つけたからまいてきた。
送還すれば見つけられないとは思うけども折角MP消費して召喚したんだし、フィアちゃんと顔合わせしとこうと思って連れて来たんだが……。ふむ。
「きゅいー?」
「……どうしてウサギさんをフィアの頭に乗せるのですか」
「いや何となく……うん。やっぱり可愛い。世界一のバリスタになりそう」
「……・対飛竜用兵科になんかなりません。バカな事言ってないで早く中に入ってください。そちらのフクロウさんとヤギさんもお客さんですよね、一緒にどうぞ」
「ホー」
「メェェ」
俺をジトーっと見つめていたフィアちゃんがくるっと反転してミズキとボーパルをアトリエ内に先導していく。
……頭にボーパルを乗せたままで。
「あ、ボーパルは頭に乗せたまま行くんだ」
「……ボーパルちゃん……モンスターは始めて見ましたが、聞いていたよりもずっとおとなしいですね。かわいいです」
「きゅ~い~」
小さな歩幅でトコトコ歩くフィアちゃんが頭の上のボーパルをポムポムと撫でている。
それでもフィアちゃんの頭の上からボーパルが落ちていないのはフィアちゃんのバランス感覚がいいのかボーパルのしがみつく力が強いのか……
フィアちゃん髪の毛サラサラそうだからつるっと滑り落ちそうなのにな。
「ボーパル達は召喚モンスターだからな。普通のモンスターは襲い掛かってくるぞ?」
ウサギは逃げるけど。
「……!?じゃ、じゃあ……ボーパル、ちゃん、も……?」
「きゅい?」
ボーパルの両脇に手を入れて顔の前にぷらーんと垂らすフィアちゃん。
突然宙吊にされたボーパルが首を傾げてフィアちゃんを見つめている。
フィアちゃんも、じー、とボーパルのクリクリの瞳を見つめている。
「……むぎゅう」
「きゅい?」
「……もふもふ」
「きゅい~」
「……すりすりすりすり」
「き~ゅ~い~」
「……もふもふでかわいいです」
「きゅい!」
おまかわ。
ボーパルと見つめ合ううちにボーパルの魅力に吸い寄せられて体が勝手にもふもふするのは俺も覚えがある。
フィアちゃんも目と目が合った瞬間に好きだと気付いたんだろう。一目で、尋常でないもふもふだと見抜いた観察眼は流石だと言っておこう。
おまかわって何だよ。
「およ?およよ!お客さんはユウだったデスか!久しぶりデース!おお!あの時のウサギさんもお久しぶりデス!あの時は助けてもらってありがとうデス!危うく折角採取した素材をロストするところだったのデスよ。そっちの2人は始めましてデスよね?新しく召喚したですか?飛行モンスターと前衛モンスターデスか。サモナーが後衛なので堅実ないい判断だと思うデス。あれ?でもユウはサモナーだけど前衛してなかったデスか?」
「セリフが長い、余所見をするな!こぼれてる!こぼれてるから!!」
工房に入ると巨大な丸い鍋を杖でかき回しながら顔だけこっちに向けた状態でエルが立っていた。そして余所見をしながらかき回した所為で盛大に鍋から溢れてビシャビシャと床を汚していた。
……汚しているというかシューシューいってミドリの煙出てるんだけど、あの液体大丈夫なの?床溶けてない?
「あ、あわわ、あわわわ!」
「……はぁ、まったく姉さんは。いつも落着きを持って行動してくださいって言ってるじゃないですか」
「め、面目ないデス……」
手に持つボーパルを頭の上に戻し、近くに置いてあった雑巾で飛び散った液体を拭いていくフィアちゃん。
いや、その液体、雑巾で拭いていいものなの?フィアちゃん素手だし。ていうか、さらっとボーパルを頭に戻したな。気に入ったのかな?
「手伝おうか?」
「ホー」
「メェェ」
1人で床を掃除するフィアちゃんを見かねて俺とミズキとアイギスが手伝いを申し出る。
ちなみにボーパルは下を向いて床を拭くフィアちゃんの頭の上から転がり落ちないないように必死でしがみついてる。
「……いえ、結構です。これで……お終いです」
床を拭き終わった変色した雑巾をクルクル、と丸めてポイっとストレージに放り込むフィアちゃん。ゴミ箱が無いなとちょっと探してしまったが良く考えたら必要なかったのか。
ぽふん
「完成デス!」
気の抜けた音と共に丸い鍋が淡く輝く。その輝きは長くは続かずすぐに収まり、鍋の中を覗くエルは嬉しそうだ。
「何か出来たのか?」
「ムフフ~知りたいデスか~?どうしよかな~?どうしてもって言うなら教えてもいいデスけど~?」
「いや、別にそこまで知りたくもないな」
「え?そ、そうデスか?気にならないデスか?」
「……姉さんはユウさんに聞いて欲しいんです。フィアも昨日からずっと言われ続けて疲れました。いつも落着きが無いのに今日はさらに落ち着きが無くてさっきから失敗ばかりです」
「そんな事言わないで欲しいデスよ、フィア~」
「……姉さんはもっと反省すべきです。いつもいつもフィアが後始末をして」
「あーあーあーあー、聞こえない~、何も聞こえないデス~」
耳を塞いで明後日の方向を見るエルとブツブツ念仏のように文句を垂れながらにじり寄るフィア……と、その頭の上でキョロキョロと戸惑っているボーパル。
あーボーパルは癒されるなー。
「……屋台で買ってみた謎肉の串焼き、意外においしいな」
「ホー!」
「メェェ」
物欲しそうに見つめるアイギスにも分けてあげたんだがおいしそうに食べてるな。ヤギって雑食だったっけ?草食じゃなかった?それともモンスターだからかな。たぶんそうだろう。
「きゅい!」
楽しそうに団欒する俺達にボーパルが裏切り者!と睨んでくるが、お小言を囁き続けるフィアちゃんを止める勇気は俺には無い。
「…… ……」
「……ふぅ。今日のところはこれぐらいにしといてあげます」
おお、燃え尽きてんな。でも……とか、それは……とか、デ、デス……とか聞こえていたエルのうめき声も完全に聞こえなくなり、どこを見つめているのか分からない半白目でプルプルしてる。
ココで聞いている分にもフィアちゃんの言い分は正当なものだったしな。エルはぐうの音も出ない程にコテンパンにやられてる。フィアちゃん強し。
「……それで、今日はどんな御用ですか?この子達の顔見せですか」
「んー、それもある。フィアちゃんが頭に乗せているのが蹴りウサギのボーパル。あ、にんじんスティックあげてみる?」
「……あげます。ください」
「きゅい!……カリカリカリ、もきゅぃ、もきゅぃ」
「それでこっちがマジカルオウルのミズキ。ボーパルとはちょっと感触の違うもふもふで気持ちいい」
「……もふもふ!」
「ホ~」
「最後にコイツがハーデンゴートのアイギス。特徴が無いことが特徴だ」
「メエ!?」
「冗談だ。頑丈さとポジティブさが特徴だな」
「メェ!」
「……フカフカあったかい」
全員を順番にモフモフしたフィアちゃんはにっこりと頬を緩ませ今にも鼻歌を歌いだしそうな程上機嫌に見える。
あら、かわいい。初めてフィアちゃんが笑っているところを見たけどかわいいなもっと笑えばいいのに。
「……どうしてあなたは手を広げて立っているのですか」
「ん?順番的に次は俺の番でしょ?へいカモン!うぇるかむかも~ん」
「……行きません。変なことばっかり言うのなら帰ってもいいですよ。……あ、ボーパル達は置いていってくださいね」
「都合のいい男だな俺」
ボーパルを頭に乗せミズキとアイギスの頭を抱え込んで絶対離さない構えだな。もふもふが集まっててかわいい。まとめてモフリたい。
「……手を広げたまま笑顔で近づかないでください。爆弾投げますよ」
「いや室内で爆発物投げるなよ。しかも工房で!」
スッと取り出した赤い円筒形の筒の天辺から火の点いた導火線が生えている爆弾を振りかぶるフィアちゃんを宥めて息が止まってピクピクしているアイギスを解放してもらい、未だ帰ってこないエルの隣に寝かせておく。
ミズキはアイギスのおかげで出来た隙間に挟まって窒息していなかった。よくやったアイギス、キミの犠牲は無駄にはしない。
「そうそう、依頼の品も持ってきたから納品よろしくね」
《クエスト『毒袋の納品』を達成しました》
《クエスト『薬草の納品』を達成しました》
「……ありがとうございます。報酬はお金で受け取りますか、現物で受け取りますか」
「現物って?」
「……毒袋の納品は毒消し丸を、薬草の納品はヒールクリームを報酬として受け取れます。お金で受け取るよりもちょっとお得です」
「じゃあ現物でお願い」
「……分かりました。今準備するのでちょっと待っていてください」
そういうとフィアちゃんは俺が出した薬草と毒袋をもって奥の部屋に行ってしまった。
ボーパルを頭に乗せたままで。
……大丈夫だよね?帰る時は俺のところに戻ってくるよね?なんかすごい馴染んでいるけど!
後、クエストを達成したのにSPが貰えなかったな。まぁ薬草の納品みたいな簡単な依頼でホイホイSPはもらえないか。
「……お待たせしました。こちらが今回の報酬です」
「お、ありがとうね」
ゴトゴトと机に並べられた報酬をひょいひょいとストレージにしまっていく。
ヒールクリームにもだいぶゆとりが出来たけどもそろそろ違う回復手段も欲しいなぁ。回復魔法とか無いものか。
「……良かったらまた薬草と毒袋をもってきて貰えませんか?納品はいつでもいいので」
「ん、了解。ついでに拾ってくるよ」
《クエスト『毒袋の納品』を受理しました》
《クエスト『薬草の納品』を受理しました》
「じゃあそろそろ行こうかな。ボーパルおいで」
「きゅい!」
「……あ、もう帰ってしまうのですか」
そういうフィアちゃんの視線は俺の胸に飛び込んできたボーパルに固定されており、フィアちゃんが何を惜しんでいるのか良く伝わってくる。
「またすぐ来るからさ。納品の依頼も受けたことだし」
「……絶対ですよ。ボーパルちゃんも皆も、また来てください。」
「きゅい!」
「ホー!」
「メェェ……」
ボーパルと愉快な仲間達みたいな扱いされた。
「エルも待ってるデスよ。午前中は基本的にアトリエで調合してるのでまた来てくださいデス」
「あ、エルいたんだっけ」
「ファッ!?」
「……フィアもすっかり忘れていました」
「なんデスとー!ひどい!ひどいデス!エルは最初からずっとココにいたデスよー!!」
「……ふふっ、冗談です」
「ああ。そんな目立つ服着てる人はそうそう忘れられないな」
エルは最初に会ったときと同じピンクの目立つ服を着ている。着たきりスズメなのか同じ服が何着もあるのか……どっちもありえるな。
「じゃ、今日は帰るわ。またね~」
「きゅい~」
「ホ~」
「メェ~」
「ありがとうございましたデス!」
「……またのご来店お待ちしております」
ちょこんと頭を下げるフィアちゃんとブンブン手を振るエルに見送られてアトリエを出た。
うーん、思ったよりもアトリエに長いこと居たみたいで、どこに行くにも微妙な時間だし一旦落ちて晩飯食べてこようかな。
戻ってきたらレン君の所にも行こうか。トレントの木材で何が出来るかも気になるしね。
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知り合いに突っ込まれたのでキーワードに『ネタを挟まないと死んじゃう病』を追加しました。
一話3千文字なのにどれだけパロネタ入れるんだよwと言われたんですけど多いですかね?
・・・見返すとめっちゃ多いですね。我ながらよくネタが尽きないものです。




