なんでいるの!?
ホテルに戻り、入浴中に巴菜が今日のことについて聞いてきた。
「班行動どうだった?なんかあった?」
「なにもないよ。水族館が楽しかったくらいかな」
そこに香蓮が加わってくる。
「あれ、それだけだっけ?水族館は誰とまわったんだっけ?」
「龍弥とだよ。香蓮と渡辺にハメられてね」
「ハメたんじゃないよ、気を使ったんだよ」
「はいはい」
なるほどね、真央も認めたんだ。
でもこの感じだと、付き合うとかはなさそうだ。
昨日の木谷が言っていた通りになったのかな、あとで本人に聞いてみよっと!
「いい、香蓮。今度ああいうことしたら絶交だからね」
「ちぇっ、せっかく真央のためを思って行動したのに」
真央が思い切り睨んでいる。
これ以上からかうと本当に怒ると思ったので、香蓮もさすがにやめることにした。
「なんの話をしているの?」
やってきたのは杏華だ。
香蓮や巴菜と一緒にいるときに杏華が加わってくるのは珍しいので少し驚いた。
「香蓮が余計なことばっかりするから、二度としないようにクギを刺してたの」
「ああ、木谷くんとのことね」
「ね、根津…なんでそれを」
「だってみんな知ってるよ。木谷くんが竹下さんのこと好きなのを」
そのあと杏華が「ねぇ」と聞くと、まわりの女子たちは頷いていた。
「あ、あの…ちなみになんで知ってるの?誰から聞いたの?」
「誰からも。見てればわかるから」
あのバカ…どんだけわかりやすい態度を…
恥ずかしくなって顔を半分湯の中に浸けて反対側を向いていた。
「でもさ、今日まで気づかなかった真央も相当だよね」
香蓮がそういってゲラゲラと笑っている。
あー悔しい!
すると、みんなが聞くに聞けなったことを杏華が平然と聞いてきた。
「竹下さんは木谷くんのことどう思ってるの?」
「えっいや…あの…」
みんなが、よく聞いてくれたと言わんばかりに、一斉に注目して答えを待っている。
すでに知っている香蓮だけがニヤニヤしていた。
こんな場所で普通聞く?根津…
なんとなく濁すしかないかな…
「嫌い…ではない…」
「じゃあ好きってこと?」
なんだ、この誘導尋問は…
耐えられなくなった真央は立ち上がり、「この話はおしまい!」と大きな声で宣言して
お風呂から逃げ出した。
「あーあ、これじゃ好きですって宣言してるのと同じなのに」
そういいながら巴菜は笑っていた。
もう本当に嫌だ、みんなして龍弥のことばかり。
別に誰が誰を好きだろうと関係ないし、どうだっていいじゃん!
なんとなく部屋に戻りたくなかったので、そのまま屋上に向かった。
少し風にあたって頭を冷やそう…
扉を開けると、心地よい風が体に当たってきた。
あーいい感じ。
そのまま屋上に足を踏み入れて進んでいく。
空を見上げると、一面に星が広がっていたので、思わず感動してしまった。
こんなきれいな星空なんて初めてかも…
そのまま夜空を見ながら進んでいく。
龍弥のことでイライラしていたことも忘れられそうだ…
そのまま視線を正面に向けると、なんとその先には龍弥が立っていた。
「ちょっ…なんでいるの?」
「そ、それはこっちのセリフだ!なんでお前が来るんだよ」
「もー…信じらんない!龍弥のせいでいろいろ迷惑してたから、それを忘れるために屋上にきて風に当たろうと思ったのに…最悪!」
「俺のせいで迷惑ってなんだよ!そんなに俺がお前のこと好きなのが迷惑なのか!…あっ」
勢いで言ってしまった龍弥が慌てて口を押えるが、時すでに遅し。
真央にはハッキリと聞こえていた。
今…龍弥は好きって言った…
感づいてはいたけど、実際に言われて頭の中が真っ白になっていた。




