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彗星に願いをこめて  作者: 姫
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体育祭

いつも読んでくださり、ありがとうございます。

感想も嬉しいです。

ただ今後の展開について質問される方がいますが、答えられるはずがないし答えるつもりもありません。

したがって、こういう質問はやめてください。

また、ストーリーについての要望も受け付けていませんので、そういうのもやめてください。

自分が考えて、こうしたいと思った小説を投稿しているので、

要望に沿ったものを書いたら自分の作品ではなくなります。

批判めいたことを書いてしまいましたが、ご理解ください。


10月になると、ちょっとずつ秋っぽくなってくる。

朝晩が少し冷えるようになってきたり、湿気も少なくなってくるので

日陰は普通に寒かったりする。

衣替えも始まり、久々にブレザーを着て登校する日々が始まった。

「真央、明日は体育祭だよ。憂鬱…」

「香蓮なんてまだいいじゃん、二人三脚なんだから。わたしなんて騎馬戦だよ、マジ最悪…」

昔は真央も体育祭となると多少は燃えるものがあった。

だが、今の真央は女子の中でも力が劣るほうなので、運動があまり好きではなかった。

なので体育祭なんてもってのほかだ。

それでいて騎馬戦、しかも小柄だから上に乗ることになっているが、

一番上は戦わないといけないので、テンションはガタ落ちだ。

クラスで何に出るか決めたときに、

真央はジャンケンで負けて騎馬戦になってしまったので仕方のないことだったが、

絶対に向いていない競技なので不満というより、逃げ出したいくらい気分だった。

だが、真央たち以外のほとんどのクラスメイトたちは体育祭を楽しみにしていて、

特に女子の中で楽しみにしているのは凜だ。

凜は陸上部なので、脚には自信がある。

「明日は絶対に勝つよ!」

燃えている凜に対し、真央たちは苦笑いしかなかった。

「真央、お前嫌だなって思ってるだろ。顔に書いてあるぞ」

ふいに龍弥に言われてしまい、少しムッとする。

「龍弥はいいよね、男だし体力にも自信あるだろうから。こっちは女だし体力に自信ないの!あーあ、男の頃だったらもっと楽しみだったのになぁ…」

「まあ…今はできることを精いっぱいやれよ。な」

男の頃だったら…と言われてしまうと、龍弥はこうやって励ますしかなかった。

そんなやり取りをみていた香蓮が、巴菜に小声で話しかける。

「最近木谷って、真央と普通に話すようになったよね。前はおどおどしてたのに」

「そうだね、さすがに慣れたんじゃない?女の真央に」

それだけいって、巴菜は微笑んでいたので香蓮も同じように微笑んでいた。

「2人ともなにニヤニヤしてるの?」

「別に、なんでもない!ね、巴菜」

「ね、香蓮」

絶対に何か隠してる!

「香蓮!言えー!」

真央は香蓮の頬をつねって、そのあと3人で笑いあう、いつもの光景だった。


とうとう体育祭の日になった。

真央たちの学校は学年関係なく、クラス対抗で順位を決めることになっている。

自分が出る種目までは、なんとなく応援したりしながら過ごしている。

ただ、気が付けばもうすぐ騎馬戦の開始時刻が迫ってきていたので、

真央は渋々集合場所へ移動した。

「竹下さん、元気ないよ!やるからには勝たないと!!」

真央を支える杏華がいつになくやる気になっている。

他の2人、園田楓と松野夕夏も同じだ。

「そりゃ、やるなら勝ちたいけど…無理だよ。だってほら…見てみなよ」

真央が指したのは3年生のグループ。

上に乗るのは柔道部で、あと一歩で国体に出られたという金村佐紀という女の子。

見るからに大きくて筋肉質、正面からこられたらひとたまりもないだろう。

「そんなことない。作戦があるの」

杏華が練っていた作戦を言い始めた。

「こっちは小柄な竹下さんだから、スピードは絶対にこっちだと思うの。うまく逃げ回って、隙をついて後ろから帽子を取る。どうかな?」

「それいいよ!うまく潰しあっている後ろを取ろう!」

楓がそういうと、夕夏も賛成している。

そんなうまくいくのかな…

いまいち乗り気になれない真央だけは曖昧な返事をしていた。

「それでは、騎馬戦に出場する選手の皆さんは、定位置についてください」

アナウンスが流れて、出陣の体制になる。

「絶対勝とうね!」

「う、うん…」

パンという合図と同時に、みんなが一斉に突っ込んでくる。

予想通り佐紀のチームは片っ端から帽子を取りにかかっていて、まさに無双状態だった。

あんなの反則だよ…

真央たちは当初の作戦通り、ひたすら逃げ回ってチャンスのときを伺っていた。

チームも減っていき、佐紀は同じ3年生のチームと帽子を奪い合っている。

「チャンス!」

杏華たちは佐紀の騎馬の後ろへ一気に距離を詰めていった。

「ま、待ってって!」

「なに言ってるの、今が絶好のチャンスなんだから!」

うまく後ろに、正確には斜め後ろにつくことができた。

しかも奪い合っているので気づかれていない。

こうなったらやるしかない!

「えい!」

真央は思いっきり腕を伸ばし、奇跡的に佐紀の帽子を奪うことに成功した。

「あっ!」

帽子を取られた佐紀が鬼のような形相で睨んでくるので、思わず怯んでしまった。

うわ…めっちゃ怖い…

「卑怯者!正々堂々とやれよ!!」

帽子を取ってしまえば用はない。

佐紀の言葉を無視して一目散に逃げていった。

「やった、大成功!」

ただ、残りのチームも少なくなり、

このあと囲まれてしまった真央たちはあっさりと帽子を取られてしまった。

「一つしか取れなかったけど、全然OKでしょ」

杏華たちは嬉しそうにしているが、真央はあの佐紀の顔が忘れられない。

なんとなく後味が悪くなってしまった感じだった。

「真央、ナイスファイト!」

香蓮がハイタッチをしてきたので、真央も一応手を上げてハイタッチを交わした。

「どしたの?元気ないじゃん」

「だって金村先輩、めっちゃ怖かったんだよ」

「だからナイスファイトなんだよ。あの先輩から奪ったんだもん」

「もうこの話はいいよ…それより香蓮こそ二人三脚頑張って」

種目はどんどん進み、真央たち2年3組は順位的にいい位置にいた。

残す種目は、香蓮が出場する二人三脚と、トリをつとめる男女混合リレーだけになった。

ところが、ここで予想外のハプニングが起こる

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