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彗星に願いをこめて  作者: 姫
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2学期

夏休みが終わり、2学期が始まった。

2学期は真央たちにとってイベントが盛りだくさんだ。

文化祭、体育祭、そして修学旅行。

特に文化祭まではあと1か月半しかないので、具体的に動きださなければいけない。

定期的に実行委員会も開かれ、真央たちのクラスは運よく飲食をできることになった。

今日はホームルームで内容を決める日だ。

教室の前には真央と杏華と龍弥と源治が立っている。

「いろんな意見が出ましたが、多数決の結果、カフェということになりましたが意義はありませんか?」

杏華が聞くと、みんなが「なし」と言って、カフェをやることで決定した。

次にメニューをどうするかなどを決めているうちに、

ホームルームの時間が終わってしまった。

「では、みなさんの意見をこっちでまとめておきます」

そのまま学校が終わり、委員の4人だけが教室に残って話し合いを続けた。

「カフェラテとかミルクティとか簡単にいうけど、こんなの無理だよね」

杏華の意見にみんな頷く。

「飲み物はさ、シンプルにコーヒー、紅茶、コーラ、オレンジジュース、こんなものでいいと思うよ」

「そうだね、手間暇考えるとこれが現実的だね。これでみんなに納得してもらおう」

杏華と真央で話を進めていき、龍弥と源治は頷いているだけだった。

「あとは食べ物、これもみんな言いたい放題だったね。カレー、オムライス、パスタ、それにケーキにパンケーキにパフェ…ほとんど無理!」

「こんな作れるはずないからね、予算の関係もあるし。どれが現実的かな」

真央と杏華が悩んでいたところで、源治が加わってくる。

「カレーが一番手間暇かからいよ。大量に作ったらあとはよそるだけだし。オムライスだったら、やっぱりこれも事前にケチャップライスを大量に作っておいて、玉子も事前に何十枚も作っておいて盛るだけっていう方法もあるけど冷めてしまうという欠点がある。パスタは作り置きするとおいしくなくなるから一番現実的じゃないね。あとケーキ、これ誰かが事前に作っておけばいけるけど、そんな高い値段で出せないからコスパ考えると厳しいね。パフェは論外。デザートならパンケーキでいいと思うよ。これならひたすらパンケーキ焼いてればいいだけだから」

やけに具体的にいう源治。

真央も杏華もポカーンとしている。

そんな源治に龍弥が問いかけた。

「お前…なんでそんなに詳しいの?」

「家では料理も趣味だから」

「お前の趣味は人間観察とアニメだろ」

「だから家ではだよ、っていうか、人間観察の話はするなって言っただろ。まったく…学校では人間観察、家ではアニメと料理」

このやり取りに思わず杏華が突っ込む。

「人間観察って?」

「ほら、木谷が余計なこと言うからややこしくなった。まあいいや。僕の学校での趣味だよ。いろんな人を観察して、その人の特長とか変化を楽しむんだよ。例えば根津だったら、不機嫌になると右手で髪を触るとか、昨日の夜に爪を切ったとか。それに竹下はね、夏休み明けから「わたし」っていうようになったけど10回に1回くらいの割合で「俺」って言ってたり、考えているときに下唇を触る癖があるとか」

なんなんだ、この男は…気持ち悪い!

真央が思わず叫んだ。

「キモい、死ね!」

杏華もノートを源治に投げつける。

「最低、バカじゃないの!」

それでも源治は臆さないで堂々としている。

「僕の趣味にとやかくいわれる筋合いはない。それに観察して誰かに迷惑かけてる?僕は観察して発見したことを一人で楽しんでるんだ。今日はたまたま本人に教えたけど、基本的には誰にも教えない、これは僕が発見したことなんだから」

正論なのか間違っているのかわからくなってきた。

確かに誰にも迷惑をかけてないけど、観察されているのは気分が悪い。

かといって、観察されていたことすら気づいていなかったので何とも言えない。

「僕のことなんかどうでもいいだろ。それより料理はどうするんだ?」

「あ、うん…」

なんとなく濁されてしまった感じだ。

結局、源治の言った通り、カレーとパンケーキに絞り、

これもみんなに納得してもらおうということで話はまとまった。

「じゃあ僕は帰るから」

いつも通りそそくさと源治が帰っていき、それを龍弥が追いかける。

「わたしたちも帰ろうか」

「あ、ごめん。今日はこのあと図書室に行くの」

「そっか…わかった。また明日ね」

杏華と別れ、真央は一人で歩き出した。


「おい西川、待てよ」

「今日はお前とは帰らない。人の趣味をバラしやがって。いい迷惑だ」

「悪かったよ、あまりにもお前が多趣味だったからつい…」

「とにかく今日は一人で帰る。ついてくるなよ」

なんだよあいつ…

別に仲がいいわけではないが、少し申し訳なかったかなと思う。

下駄箱で靴を履き替えていたら、そこに真央がやってきた。

「あれ、西川と帰ったんじゃないの?」

「まあいろいろあって…お、お前こそ根津は?」

「このあと図書室に行くんだって。しかたない、たまには駅まで龍弥と帰るかな」

「え?」

「なに、嫌なの?前は散々一緒に帰ってたのに」

「前は男だったろ…」

「あ、そう。女の私じゃ嫌なわけね。ホント治らないよね、それ」

真央は龍弥を置いて歩き出していた。

「お、おい…」

龍弥は思わず呼び止めてしまった。

あ、しまった…


真央が振り返ってニタニタと笑みを浮かべていた。

「しかたないなぁ、一緒に帰りたいなら素直に言えばいいのに」

「べ、別に一緒に帰りたいわけじゃ…ねぇよ」

そういいながらも真央の横に並んで歩き出していた。

「そういえばバイトはまだ続けてるの?」

「ま、まあな。お前もコンビニでバイトしてるんだっけ?」

「うん、まだ半月くらいだけどね。でも友達もできたし楽しいよ」

「そうか。前みたいに愚痴ったりしないんだな」

「龍弥に説教されたからね。まさか龍弥に説教されるとは思わなかったけど」

「そりゃお前の考えが甘すぎたからだよ」

あれ、俺意外と普通に話せてるぞ…

慣れてきたからか、それとも真央だからか?

「けどあれだよね、体力使うバイトしてるから龍弥って前よりたくましくなった気がする」

いきなり言われて戸惑った。

「ば、ばか…変なこと言うな…」

「何が?あ、ひょっとしてなんか勘違いした?」

「う、うるせーな…そ、そんなわけないだろ…」

一気にたどたどしい、いつもの龍弥に戻っていた。

「龍弥ってホント大変だね。そんなんじゃ彼女できないよ」

「う、うるせーな…余計なお世話だろ…お前だって似たようなもんじゃねーか…」

「まあね、お互いさまか」

そういってニカッと笑う真央を見て、龍弥は少しドキッとしていた。

おいおい…相手は真央だぞ…バカか、俺は…

だが、改めて真央を見てみると、意外とかわいいことに気づいた。

昔の真央の面影はほとんど残ってないくらい女の子になっていて、小柄で細身で、よく笑う。

いやいやいや…しっかりしろ、俺!

「どうしたの?」

「な、なんでもねーよ…」

龍弥が早歩きで歩き始めたので真央が「待ってよ」と追いかけてくる。

「龍弥、歩くの速い!」

「お前が遅いんだろ…」

「しかたないじゃん、歩幅が違うんだから!」

それでも龍弥の歩くペースは変わらない。

変な感情をかき消すために、一秒でも真央から離れたかった龍弥だった。

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