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彗星に願いをこめて  作者: 姫
27/122

香蓮の恋愛事情

テストも終わり、今日は学校帰りに香蓮と巴菜とファミレスに入った。

ランチを食べながらしゃべっている。

「やっとテスト終わったね」

巴菜が嬉しそうに伸びをしている。

「ね、久々に真面目に勉強したよ。真央はしてなかったけど」

「してたから!」

「メイクの勉強をね」

また香蓮は余計なことを…

もちろん巴菜は食いついてきた。

「そうなんだ、真央は女子の勉強に忙しいもんね」

「そんな勉強してない。たまたま息抜きでやってみただけなのに香蓮も巴菜もバカ!2人とも嫌いだ」

「真央が怒った」

2人ともそう言うくせに笑っている。

真央も本気で怒ってないので、すぐに笑っていた。

3時間ほど雑談をして外に出ると、ムワっとした熱気に襲われて

嫌になってしまった。

「ホント暑すぎる…」

「ブラブラしようと思ったけど、なんか一気にテンションさがったね。今日は帰ろうか」

「賛成…」

この日の気温は36度、店内に入れば涼しいが、

3人ともそういう気分ではなくなってしまった。

駅で別れて香蓮と家に向かっていたら「香蓮!」と声をかけてくる女の子がいた。

「彩華!」

彩華?…山田彩華!!

同じ中学で、卒業後も香蓮と仲がいい、こないだも名前が出たあの山田彩華だ…

香蓮は彩華に男を紹介してと頼んでいたはず…うわー、嫌な予感しかしない…

真央はそーっと、香蓮の後ろに隠れた。

「香蓮、隣にいる子ってひょっとして…」

「うん、真央だよ」

それを聞いて彩華が驚いていた。

「ホントに竹下なの!?」

顔を近づけて凝視してくる。

「や、やあ…久しぶり…」

「うわぁ…ホントに女なんだ」

なんか傷つくような言い方だ。

それにしても山田変わったな…

真央の記憶する彩華は、いたって普通の女の子だ。

そこそこ明るくて、髪がいつもショートだった。

今の彩華は、ちょっと派手な雰囲気で、髪も腰くらいまである。

学校帰りの制服なのにネックレスもしていた。

「でしょ、中身も立派な女子だよ。口癖で「俺」っていうのだけはなかなか直らないんだけどね」

香蓮がそういうと、彩華は「へー…」と、とても興味深そうに見ていた。

「山田…そんなジロジロ見ないでよ…ものじゃないんだから」

「あ、ごめんごめん!よく見ると竹下の面影があるなって思ってさ。ところで香蓮、このあとの予定は?」

「帰るだけだよ。そのまま真央がうちにくるけど」

「え、今日は行かな…」

「じゃあわたしも行く!話もちょうどあったし」

行かない予定だったのに、なぜか行くことになってしまった。

山田がいるなら、なおさら行きたくないのに…気まずくならなきゃいいけど…

部屋に着くなり、彩華は「エアコン」と言っていた。

「わかってるって!」

香蓮がすぐにエアコンをいれ、その場で着替え始めた。

「香蓮、竹下いるのにいいの?」

「ん?真央は女だから平気」

よく見る光景なので、真央もなにも感じない。

「そうなんだ、竹下って女の着替えとかどうも思わないの?」

「まあ…いつも自分自身が着替えてるから特には…」

「裸見ても?」

「べつに…」

「そっか、ならいいや!」

彩華はブラウスのボタンを2つほど外し、透けていたブラの胸元がチラリと見えていた。

「暑くてさ…竹下は下にキャミなんて着てて暑くないの?」

「暑いけどブラ透けるの嫌だから…」

「へー、真面目なんだね」

真面目とは違う気がしたが、彩華も真央のことを女と認識したようだった。

着替え終わった香蓮が音楽を流しながら彩華に聞く。

「それで話って?例の?」

「そうそう!1コ下なんだけど、いいのがいるよ」

「年下かぁ…どんな感じ?」

どうやら例の男子を紹介する話らしい。

飛び火してこないといいけど…

「この子、どう?」

彩華が写メを見せてくる。

思わず真央も覗き込んでいた。

短髪で爽やかな感じがある。

香蓮に合いそうだなと思った。

「へー…いいかも。なんて名前?」

香蓮も気に入ったようだ。

「葛城佑太、悪くないでしょ」

「うん!紹介してもらえるの??」

香蓮は楽しそうに彩華に聞いている。

そこで彩華が少し難しい顔に変わった。

「紹介はできるんだけど…条件があって。代わりにこっちも誰かを紹介しないといけないの」

真央はこれを聞いて、ギクリとした。

やめてよ、マジでやめてよ…

「えー…そうなんだ。誰かいるかな?」

香蓮は考えるそぶりを見せながら、チラッと真央を見てきた。

「真央がいた」

ほらきた…

「無理!山田、無理だって言ってよ」

「わたしは誰だって構わないよ。香蓮の紹介だから」

紹介しておきながら、まるで他人事だ。

なんて無責任な…

「巴菜でいいじゃん!むしろ巴菜のほうがいいよ!」

「巴菜は年上が好きっていつも言ってるじゃん」

「じゃあ凜とか」

「凜は部活で忙しい。真央しかいないんだって」

「嫌だ!絶対に嫌だ!!」

このやり取りを見ていて、彩華が首をかしげていた。

「竹下って男は好きじゃないの?」

「好きじゃない!だから無理!!」

それを聞いて余計に首をかしげていた。

「香蓮、竹下って中身も女なんでしょ?」

「そうだよ、それなのに男はなんかまだ抵抗あるみたい」

「ふーん…じゃあむしろちょうどいいのかもね。これで抵抗なくなれば普通に彼氏ほしくなるんじゃない?」

話しが勝手に進んでいってしまう。

これは本当にマズいぞ…

「抵抗あっていいよ、ほんとに勘弁してよ…」

真央はすがるように頼んだ。

「じゃあ…言い方を変える。真央、わたしのためにお願い!」

汚いよ…それ…

香蓮はこうやって頼むと、真央は断れないというのを知っている。

しかたない…のか?うぅ…

自分の心に確認しながら真央は答えた。

「逆にぶち壊しても…知らないよ。紹介されても素っ気ない態度するかもしれないし、男っぽくしちゃうかもしれないし」

「さすが真央!やっぱり真央はわたしの親友だ!」

香蓮は嬉しそうに抱きついてきた。

まったく…そういうふうに言われると、嫌われるような態度も取りづらくなっちゃうよ…

そういいながらも真央は少し微笑んでいた。

「じゃあ竹下を紹介ってことでいいのね?わかってると思うけど、元男っていうのはタブーだよ」

「わかってるって」

こんな浮かれている香蓮を見るのは久しぶりだった。


家に帰り、今日の話を考える。

本当によかったのかな…香蓮のためとはいえ、男子を紹介されても困るよなぁ…

やっぱり失敗したな…

自分の発言に後悔の波が押し寄せてくる。

「はぁ…」

ため息をつくと同時にドアが開いたので、振り返ると香蓮が立っていた。

「真央、ごめんね」

いきなり真顔で謝られるので返答に困る。

香蓮は部屋の中に入ってきて、真央の横に座った。

「香蓮はさ…どうして俺に彼氏を作らせようとするの?」

「それは…真央が女だから…。真央はさ、そこだけが唯一の男の部分なんだよね。やっぱり抵抗ある?」

「もちろん…。男と手を繋ぐとかキスするとか…想像しただけで寒気がする」

「そっか…でも女の子なら彼氏を作るのって自然なことだよ。真央にはそういうふうになってもらいたい。せっかくここまで女の子になってるのにもったいないよ。恋をすればもっと楽しくなるし、彼氏ができればもっともっと楽しくなるよ」

「俺は…今でも充分楽しいよ。香蓮がいて、巴菜がいて、毎日笑って…」

「それにプラスされるの!そうすればより楽しくなるでしょ」

どういっても説得しようとしてくる。

けどそれは無理というものだ。

恋というのは人に強制されてするものではない。

自然に本人が好きになるから恋なのだ。

「香蓮…今回は香蓮のためにしかたなく紹介されるけど…期待しているようなことは起こらないからね。嫌なのに強要されて人を好きにはならないよ」

「うん、わかってる…」

ますます香蓮がわからなくなった。

わかっているのに、なんで俺にこだわるの…?

いや、そういうことか…

「それ以上に、香蓮が彼氏ほしいってことか。まあ…香蓮に彼氏ができるのは嬉しいけど…」

「ん…ちょっと違う…」

え、違う?じゃあなんなの???

「余計わかんないよ」

「真央と…ダブルデートしたかったの」

「はい?」

まったく予想していない答えに混乱する。

「だって真央とだったら絶対に楽しいと思うもん!わたしね、ダブルデートってすごく憧れてるの。男子が2人いて、こっちも2人いて、一緒に男子の前ではしゃいだりして」

「あのさ…香蓮?彼氏がほしいんだよね?」

「うん、彼氏ほしいよ」

「そっちに専念したほうがよくない?」

「両方がいいの!彼氏とダブルデート。こないだ見たドラマがダブルデートしててさ」

夢中になってドラマの話をし始める。

キッカケはそれか…

真央は苦笑いするしかなかった。

なんか怒りや不安が消し飛んだよ…香蓮らしいや

「わかったよ、今回は香蓮のために一肌脱ぐ。そのかわり今後は強要しないように!わかった?」

「多分」

「多分ってなんだ!」

「だってぇ…」

結局、仲がいい2人だった。

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