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彗星に願いをこめて  作者: 姫
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髪を切りに

何を着ていこうかな…

髪を切るだけだからなんだっていい。

けど、今ある服は見事なくらい女らしいものがほとんどだ。

ワンピースじゃないな…あまりオシャレしてもしかたないし…

無難にジーンズとTシャツを着る。

まあ、これでいいかな…

部屋を出ようとして足が止まる。

あれも…着てみようかな

Tシャツの上にビスチェを着てみる。

これだけで一気にオシャレ度が増した気がした。

これで行こうかな。

玄関まで行き、スニーカーを履こうと思ったが、思い切ってサンダルで家を出た。

やっぱり歩きづらいな…なるべく多く履いて慣れるようにしよう…

お店に入るとレジの前の店員が「いらっしゃいませ」と声をかけてくる。

「あの、予約していた竹下ですけど」

「お待ちしていました、こちらでお待ちください」

長椅子に座ってまっていると、店員がバインダーを持ってきた。

「カルテを作るのでご記入をお願いします」

こんなものあるんだ…

名前、住所、年齢を書き、性別のところで一瞬止まった。

女に丸するに決まってるよね…

女に丸をつけ、先へ進んでいく。

なりたい髪型…お任せでいいや。

その他要望…特になし、これでOKかな

書いたものを渡して少しすると、髪の長いきれいな女性がやってきた。

「お待たせしました、こちらへどうぞ」

カット台に座り、自分の顔が正面の鏡に映っている。

「本日担当させていただく、安藤です。よろしくお願いします」

「あ、お願いします…」

床屋と違って丁寧に自己紹介されるので、少し驚いた。

安藤はカルテを見ながら真央の顔などを確認している。

「お任せということだけど、あまり短くはしないほうがいいかな?」

「そう…ですね」

すると安藤はカタログを取り出し、パラパラと捲りはじめた。

「こんな感じでどうかな?前下がりになってるんだけど」

短めのショートボブで、前髪は眉毛くらいの位置に揃えてあった。

こんな髪型になったら、もう完全に女だ…ま、いいか。

「あ、これでいいです…」

「わかりました。じゃあまず髪を洗うのでこちらに」

あ、髪あらうところ別なんだ…しかも切る前に洗うのか…

さらに、仰向けになって洗うことにも少し驚いた。

床屋しか行ったことがない人間からすると、初の美容院は斬新だ。

濡れた状態のまま、元の場所に戻ってカットが始まっていく。

「真央ちゃんは高校2年生?」

切りながら安藤が話しかけてくる。

「そうです」

「いいなぁ、すごく楽しいでしょ?」

「そう…ですね、いろいろありましたけど…」

男だったのに女になってしまったり…

「恋愛とか?わかる!わたしも当時すごく好きな男子がいてね」

安藤が楽しそうに話し出す。

違う、そのいろいろじゃない…

「真央ちゃんは彼氏いるの?」

「は?い、いないですけど…」

「そうなんだ、かわいいしオシャレだからてっきりいるのかと思った」

彼氏なんて考えたこともないが、想像しただけで寒気がする。

いくら女になっても、そこの部分は女になっていない。

「かわいくなんてないです…それにオシャレなのは友達が服を選んでくれるからで、俺自身はオシャレじゃないですよ」

「俺?」

しまった、癖でうっかり言ってしまった…

安藤がクスクス笑いだした。

「真央ちゃんって面白いね」

言葉遣い…気を付けないといけないのかも…

じゃないと恥ずかしい思いをするのは自分自身だ…

カットが終わり、もう一度髪を洗ってからドライヤーで乾かし始めた。

「セットはどうする?」

「別にどこも行かないからこのままで…」

「うーん、けどせっかくだから前髪だけ巻いてあげる」

乾かし終わったあと、安藤はヘアアイロンで前髪だけをクルンと巻いてくれた。

「はい、完成!どうかな?」

カタログの女性よりも子供っぽいが、ショートのイマドキっぽい女の子になっていた。

へー…こんな感じになるんだ…

髪型が少し変わっただけで、女の子らしさが増して驚いていた。

「大丈夫です、ありがとうございます」

レジでお金を払うと、安藤は「またお待ちしています」と笑顔で見送ってくれたので

「またきます」と笑顔で返事をしておいた。

お店を出て歩き出すが、少し恥ずかしい気がする。

そんな中、正面から知っている顔の人が歩いてきた。

龍弥…

龍弥も真央に気づき、「あっ」という顔をしているが、すぐに目を逸らしてしまった。

すれ違いざま、真央は「龍弥」と声をかけた。

「よ、よう」

それだけ答えて逃げるように歩いていく。

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