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彗星に願いをこめて  作者: 姫
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巴菜と買い物に行ったら

金曜日の夜、巴菜からLINEが届いた。

三上からだ、なんだろ?

真央はLINEを読み始めた。

(明日って予定ある?)

(いや、今のところないけど)

(じゃあさ、買い物行こう!)

巴菜から誘ってくるなんて初めてだ。

といっても仲良くなったのが最近なので当然と言えば当然だったが。

(いいけど、香蓮も呼ぶでしょ?)

(香蓮がきたら意味ない!香蓮の誕生日プレゼント買うんだよ)

あ、そういえば来週は香蓮の誕生日だった…

まあ付き合ってもいいかな

(了解、午後でいい?)

(いいよ、1時に駅前ね。遅刻厳禁だよ)

前科があるので、これには思わず苦笑い。

(はーい、気をつけます)

そっか、香蓮の誕生日か。

俺もおめでとうぐらいは言ってあげないと。


翌日、真央は着るものに迷っていた。

きっと三上はかわいい格好でくるよね…

あまりコーデなどに詳しくないので考えてしまう。

カラーパンツにブラウス…こないだとほぼ一緒だ…

スカート…履いてみるか

無地のシャツにスカートの組み合わせ、思ったより悪くないぞ。

よし、これで行こう!

部屋を出かけて足を止めた。

バレッタ…していこうかな…

バレッタを髪につけて、少し恥ずかしい気もしたが、気を取り直して家を出た。


「真央」

巴菜が手を振っている。

「ちょうど1時、遅れてないよね?」

「うん、それよりバレッタ付けてきたんだ」

「ま、まあ…」

「かわいい、それにスカートも」

「あ、ありがとう…」

ちょっと恥ずかしいが、褒められるのは悪い気がしない。

巴菜もスカートだったが、どうしても巴菜のほうがおしゃれに見える。

それにメイクもしていた。

「それより何を買うの?」

「リップ買おうかなって。前に香蓮がシャーロットフランシスのリップの32番がほしいって言ってたから」

知らない単語がいっぱい出てきて、何を言っているのかわからない。

「へ、へー…そうなんだ…」

「真央は何をあげるの?」

「え、俺?」

あげるつもりなんてまったくなかったので答えに困ってしまう…

「まさかあげないつもりだったの?」

「う、うん…」

「そんなのダメだよ、いい、女の子はね、女友達の誕生日にプレゼントをあげるものなの!だから真央もちゃんと香蓮にあげなさい」

命令口調で言われしまい、「はい」と返事をするしかなかった。

巴菜のあとをついていくと、デパートの中にある化粧品売り場にたどり着いた。

女になったとはいえ、下着売り場と同じくらい気まずい感じがする…

その中で、ひときわかわいい雰囲気の売り場があった。

「ここがシャーロットフランシスだよ。すごくかわいいの」

巴菜の目がキラキラ輝いていた。

置いてある化粧品のパッケージは、巴菜が言う通りどれもかわいい。

店内は若い女の子たちで賑わっていて、香蓮も好きそうだなと思った。

ただ、値段が高い。

どれも2000円~6000円くらいする。

高校生じゃ気軽に買えないや、だからプレゼントなんだ。

巴菜は楽しそうに化粧品を手に取っている。

「買わないの?」

「もうちょっと見てから!だってすごく好きなんだもん、シャーロットフランシス」

「そんな感じがする、三上楽しそうだし」

「うん、大好き!真央シャーロットフランシス知ってた?女子の間ですごく人気のコスメブランドなんだよ」

巴菜や店内の女子たちを見れば、言っていることにうなずける。

俺もここで買おうかな…

なんとなく口紅を取ってみると、店員が真央に話しかけてきた。

「そちら、新作のカラーなんです。よかったらお試しになりますか?」

「あ、いえ…友達の誕生日プレゼントを買いにきただけなので…」

「そうだったんですね。でもせっかくだし、よろしければ」

いや…いくらなんでも無理だよ…

断ろうとすると、巴菜が口をはさんできた。

「せっかくだからしてもらいなよ」

「ちょ、ちょっと…」

「この子、メイクとか全然したことないんですよ」

「あら、だったら尚更ですね。こっちにきて座ってください」

やると言ってないのに鏡の前に座らされてしまった。

店員がリップを縫っている。

なんでこうなった…?大丈夫なのか…俺…

「どうですか?」

ただリップを塗っただけなのに、少し大人っぽい感じになった気がした。

そっか、化粧ってこういうものなんだ…

「かわいい!よかったね、真央」

巴菜がなぜか喜んでいて、真央は思わず「う、うん」と返事をした。

「よかったら買ってみてくださいね。それとお友達のプレゼントは決まりましたか?」

その質問には巴菜が答えた。

「はい、リップブロッサムの32番をお願いします。あとこれはわたし用でオイルルージュの05番を」

「かしこまりました。商品を用意するのでお待ちください」

店員は笑顔で在庫を確認しにいった。

「なんで勝手に…」

「ん?真央もしたほうがいいと思ったからだよ。せっかくだし何か買えば?そのリップ、すごく真央に合ってるよ」

そんなことを言われても困る…

「女の子なんだからリップの一つぐらいは持ってないと」

巴菜に言われて、もう一度鏡を見た。

より女らしくなった気がする…

けど女だもんね、三上の言う通り一つくらい持っててもいいかな…

店員が戻ってきて、巴菜に間違いないか確認をしている。

ラッピングが終わる頃に、真央は思い切って言ってみた。

「あの…さっきの…買います…」

そういうと笑顔で「ありがとうございます」と返してくれた。

ああ…とうとう買ってしまった…使う日は来るのだろうか…

「一緒にお友達のプレゼントも買われますか?」

「そ、そうですね…でも何を買えばいいのか…」

「でしたらボディクリームはどうですか?プレゼントとしても人気ですよ」

巴菜が「いいと思う」と言ってきた。

「香蓮、シャーロットフランシスの香り好きだから。わたしも好きだし」

そういうと、店員がボディークリームの香りを嗅がせてくれた。

とても甘いのに花の香りもして、ずっと嗅いでいたくなるような感じがした。

「真央も好きでしょ、この香り」

素直に「うん」と答え、これを買うことにした。

こうして無事に買い物ができたが、少しホッとしたような、

なぜリップを買ってしまったんだ、という思いが入り混じっていた。

「やっぱりシャーロットフランシスいいよね。真央も気に入ったから買ってんでしょ?」

「いや…わかんないけどなんとなく…」

「大丈夫だよ、真央も絶対に好きになるから、シャーロットフランシス」

好きになるかはわからないが、

少なくともシャーロットフランシスというブランドだけは覚えた真央だった。


巴菜と別れてから家に帰る前、真央はトイレに立ち寄った。

個室に入り、ティッシュペーパーを取り出してリップを拭き取る。

前回はバレッタを付けたまま帰り、雅子に見つかるという失態を犯したので

同じ過ちは犯さないために落として帰る。

鏡で確認し、まだうっすら色が付いている気がしたが大丈夫と思って帰宅した。

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