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彗星に願いをこめて  作者: 姫
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彗星にこめた願い

翌朝、香蓮は真っ先に聞いてきた。

「結論でた?」

「ううん、出ない…」

「そっか…」

いつものような感じで会話をすることもなく学校に着く。

巴菜は香蓮から話を聞いていたので、その巴菜も「真央が決めて」と言ってきて、

自分で決断するのが、こんなに難しいことだと思わなかった。

龍弥はどうなんだろう?

チラッと見ると目が合い、笑顔で手を挙げていたので真央も笑顔で手を挙げて返した。

男に戻ったら龍弥はもうあの笑顔を見せることはないんだろうな…

それを思うと少し寂しい気がする。

やっぱり今のままがいいのかな…?

女のままでいる方向へ気持ちは傾き始めていた。

あっという間に放課後になり、再度香蓮が確認してくる。

「決めた?」

「うーん…このままでいようかなと思う…」

「それで後悔しない?」

「うん、もし男に戻ったら、龍弥も悲しむだろうし、なんだかんだで香蓮や巴菜も…」

そこまで言うと、香蓮が大きな声で言い始めた。

「わたしや巴菜や木谷のことはどうでもいいの!真央自身がどうしたいのか考えないと」

「そんなこと言われたって…結論なんてでないよ。だってどっちの生活も楽しかったから…」

「それでも…ちゃんと決めてほしいの。真央が後悔しないためにも」

「どっちを選んでも後悔しない気がする…」

「だったら…真央が後悔することだけを考えてみてよ。それをそうならないように願うの」

後悔しないこと…?

何があるんだろう?

真央はそれだけをひたすら考えていた。


窓を開けて空を眺める。

彗星が見えるのは夜の8時頃とニュースで言っていた。

あと5分ほどで8時になる。

星が多いな、こうやって夜空を見上げるなんて修学旅行以来だ。

修学旅行、いろいろあったけど楽しかったな…

香蓮が余計なことをしたんだよね。

そのせいで龍弥と2人きりになったり、一緒にボート漕いだり…

そういえばそのあと香蓮ともボート乗って龍弥たちと競争したっけ。

見事なチームワークで勝ったんだよね。

チームワークといえば体育祭でもそうだった。

急きょ出ることになった二人三脚でも、香蓮と1位になったんだ。

「わたしたちが揃えば無敵だよ」

そんなことを言っていたのを思い出して笑ってしまう。

でも香蓮と一緒なら本当にそんな気がするんだ。

思い返せば、女になってからでも、昔と変わらずいつも香蓮が隣にいたんだよね。

いつもドンドンってドア叩いて部屋に勝手に入ってきて、飽きもせずにずっと話して…

男の頃もそうだったけど、本当に香蓮は大事な親友だ。

香蓮がいなかったら、今の自分はいないかもしれない。

このとき、やっと真央の中でなにを願うか結論が出た。

男でも女でもどっちでもいい、一生後悔しない願いはこれだけだ。

8時を過ぎた。

見逃さないように必死に空を確認すると、

1分ほどしてから大きな光の塊が流れているのを発見した。

あれだ!

真央は目をつぶり、声を出して願った。

そして目を開けて、彗星が見えなくなるまでずっと追っていた。

うん、これでいいんだ!

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