表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/494

第八十八話 コルト都市国家での出来事 その3

 「馴れ馴れしいやつだな」

 「まぁまぁ、堅い事言うなよ? 一杯奢るからさ?」

 「ウィル、俺たちは今交流が必要だ」


 確かにちょっと馴れ馴れしいな。

 その調子でシャーリーに喋りかけたら許さない。

 しかも、俺の計画を邪魔しようとしている。

 でも、これはロイの奴、この男に責任をなすりつけて飲むつもりだな?


 「いや、今は飲まないので」

 「まぁまぁ! そこのお嬢ちゃんは飲む気だぞ?」


 言われた方向を見るとすでにアリィは目を輝かせて男の方を見ている。


 「ハル、剛に入れば郷に従えと言う」


 ダメだ。

 場の空気がもう手遅れ感を漂わせている。


 「はぁ〜……軽くだぞ?」

 「よし、決まりだな! おーい! エール人数分くれ!」

 「はーい! 了解しました!」


 ウィルもなんだかんだ言って飲みたいのだろう?

 店の奥でさっきのスタイルの良い店員さんが返事をする。


 「エール? エールって何だ?」

 「何だ? 知らないのか?」

 「いつもは果実酒だからな……」


 俺たちはいつも果実酒を飲んでいる。

 だから、お酒と言えばそうだと思ってた。


 「果実酒!? そんな上品なもん飲んでいるのか!? 男ならやっぱ庶民の酒、エールだろ!」


 男は大きな声で言うと豪快に笑った。

 いや、うちは女性もいますけど。

 内心で突っ込んだ。


 「エールってのは麦から出来た酒でな、のどごしがたまらないんだよ! しかも、ここのエールは冷やしてあって、なおうまい! 暑い疲れた日には最高だ!」


 男はエールについて力説した。

 エールの説明より、まず名前くらい名乗ったらどうなんだろうか?


 「あの〜、それより、なまーー……」

 「お待たせ致しました!」


 振り返ると、先ほどのスタイルの良い店員が右手に4つ、左手に3つのジョッキを持って現れた。

 器用にまぁ……これぞ職人技だな。

 俺は店員を眺めた。


 「おっ、きたな! 細かい話は後だ! 冷えたエールの前に言葉はいらない!」


 男は名言らしく言葉を口にするが名言でもなんでもないと思う。

 そうして名前を聞かないまま乾杯が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ