第八十三話 次の街へ
あれから何とか俺とシャーリーは立ち直り、シーレント王国を去ろうとしている。
その前にもう一つリチャードさんに用事があった事も済ませた。
用事とは『機械』の事だ。
俺は『エターナル・ログ』で得た知識で生活だけに役立つものなら普及しても良いのではないかと考えロイのお父さんに相談していた。
そうしたらロイのお父さんも生活レベルのものなら大丈夫だろうとの事で俺は一つ提案をした。
それは『冷蔵庫』だ。
暑い日に冷たい物を飲む。
それはこの時代ではごく一部の人しか許されていない。
というのも、氷魔法という概念が無い為、氷は貴重であり、王族や貴族、それに富裕層など限られた人しか使えないし、店で飲むにも場所が限られてくる。
俺は街にいる子供が『暑い! 冷たい物飲みたい!』っていう切実な訴えを聞いて何とかしてあげたいと思った。
子供達が笑顔になれる……。
だから『冷蔵庫』は庶民のみんなの為になると考えたのだ。
それに食べ物も長持ちするようになるしね。
「凄い!! これは画期的だね!」
リチャードさんは俺が試作で作った冷蔵庫(ケータイ同様、一世代前の動力が魔石タイプ)を見て感想を述べる。
「でも、この材質は……」
「そうなんです。そこが問題だと思うんです」
そうなのだ。
まぁ『エターナル・ログ』の知識にあるのをそのまま作るには俺の錬金術が必要になる。
ケータイとかみたいに限定でなら制作も間に合うけど世間に流通させるとなると限界がある。
それに俺はゴルゾーラ教を追わねばならない。
「う〜ん、この辺は信頼できる人達と考えながら今の物で出来るよう改良してみるよ! まぁアースハイト王国とシーレント王国がついてくれているからそうそう情報も漏れないだろうし」
そうなのだ。
これはもはや両国の国家プロジェクトになっている。
なので、情報には規制がかけられるだろう。
まぁこの辺はプロに任せて子供が喜ぶ瞬間が来るのを待つしかない。
とまぁこの辺をリチャードさんにお願いしてきた。
そして次にどこへ向かおうかと考えいたらリチャードさんにアドバイスをもらった。
「ここから南西に行くとコルト都市国家がある。そこはシーレント王国と同様、商業国家で各国から商人が集まるからいろいろな情報が集まる。情報を集めるなら行ってみたらどうだい?」
確かに宛てもなく放浪するより情報を集めていくほうがいい。
そして俺たちの次の目的地が決まった。
「じゃぁコルト都市国家へ行こうか!」
「「「おう!」」」
「そうだな」
「ふんっ」
シーレント王国でみんなの関係が少し深まった。
これは今後の旅できっと良い方向に向くだろう。
俺もシャーリーと……。
「ハル、顔がニヤけてるぞ?」
「そ、そんな事ない!」
とりあえずシーレント王国ではみんな気分転換できただろう。
この先に何が待っているか分からないけど、俺たちなら大丈夫なはずだ。
そうして俺たちはシーレント王国を後にした。
シーレント王国編はここまでです。
思ったより長くなりましたが楽しんで頂けたでしょうか?
次回より新章になります!
感想等随時受け付けておりますので良ければお願いしますm(_ _)m




