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第七十九話 シーレント王国での出来事 その10

 シーレント城。

 アースハイト王国の城と同じような造りだけど決定的に違うものがある。

 それは何か?

 外観だ。

 アースハイト王国の城と違ってマーシャル商会と同様に城の外壁は白で統一されている。

 ふと思ったんだけど街も『白』を基調とした建物が多かった気がする。

 『白』はなんか上品な感じでまたこの海と空『青』と並ぶと似合う。

 空に浮かぶ雲のように建物の『白』が空と海の『青』と一体化しているようだ。

 俺は芸術家ではないのでこんな表現しか出来ないけどこの例えがたい感じは誰か詩人が表現してくれる事を願おう。

 うん。

 そうしよう。


 「アリア様、お帰りなさいませ」


 城に着くと俺達が来るのをずっと待っていたのだろうか?

 鎧を纏い、額から汗を流している兵士二人が門番とは別に出迎えてくれた。

 待たせたのは俺のせいじゃない。

 あれは取り調べを提案したロイが……でもその原因は俺か?

 いや、俺のせいなのか?

 俺のせいのようで俺じゃない……。

  とりあえず『ごめんなさい』と心の中で謝った。


 「ご苦労様。お父様のところへ行きたいんだけど?」

 「はっ! どうぞこちらへ!」


 二人の兵士は不満を言う事もなくアリィの指示通りにシードルフ国王の元へ俺達を案内する。

 俺達はアリィを先頭に無言で兵士について場内を歩く。


 「こちらに国王様はいらっしゃいます」


 そう言うと兵士は目の前の扉を開けた。


 「おぉ!!」


 しまった!

 俺とした事が声を上げてしまった!

 と言うのも俺が予想していた王座の間と違って室内が白で統一され、国王の座る王座の背後はガラス張りになっていて空と海が広がっている。

 なんというか王座の間とは思えない。

 それにキレイだけど暑くないのだろうか?

 あっ、魔法宝具(マジックアイテム)があるか。

 なんて思っているとシードル国王、アリィのお父さんが口を開く。


 「おぉ!! アリア帰ったか!!」


 そう言うとシードル国王はアリィの元へ駆け寄り、抱きしめる。


 「ちょ、ちょっとお父様!!」

 「ケガはないか? 遅くかったから心配したぞ?」


 シードル国王はそう言ってアリィの顔とか腕とか足に傷がないか確認する。

 ……親バカだろうか?

 一国の国王と言え、プライベートでは一人の父親なんだな。

 まぁ、両親との思い出がない俺にとったら微笑ましい光景に感じる。


 「も、もう! 私だってもう大人だし、ロイ君達も一緒だから大丈夫よ!」


 アリィがそう言うとロイが頭を下げ、それに合わせて俺達も頭をさげた。

 シードル国王はやっと状況を把握したのかバツが悪そうにしながら立ち上がる。


 「オホン! 先に届いた手紙で大方は聞いておる。少し話をしようか」


 アリィのお父さんも国王モードへ切り替え、王座へ戻り座った。

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