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間話 気持ち

 「シャーリー、俺はシャーリーが好きだ。付き合って欲しいーー……」


 その言葉を聞いた瞬間、私の世界から音がなくなった。

 周りの人たちの声も波の音もハル君の声も……。

 ただハル君が言ってくれた言葉だけが私の頭に鳴り響く。


 私は嬉しかった。

 私もハル君の事が好きだったしずっとそう(・・)なればいいなと思っていた。

 だから、私はすぐに返事がしたかった。


 『私もハル君の事が好きです』


 と。

 でも、何故かすぐに言葉は出ない。

 変わりに出てくるのは涙だった。

 嬉しいのに……何故か涙はとめどなく溢れてくる。

 私は、両親がなくなった時、ハル君が意識を失った時、ハル君が離れていくと感じた時……悲しい時に涙を流していた。

 だから悲しい時に涙は出ると思っていた。

 でも、嬉しくても涙が出るんだ。

 私は涙と嗚咽が止まらない。

 そんな私を見てハル君はあたふたしながら何か言っている。

 でも()は私の世界に入ってこない。

 心配かけてゴメンね。

 でも、違うの。

 私はただ嬉しくて涙が出るの。


 「ち、ちが……うの、うれし……くて、なみ……だが……」


 私は必死に嗚咽を抑え、なんとか気持ちを伝えようと言葉を口にする。

 でも、なかなか伝えたい言葉が出ない。

 そんな私をハル君は優しい眼差しで見つめ、待ってくれている。


 「わた……しも、ハル君……の事が、ず……っと、すき……でした!」


 私は必死に想いを言葉にしてハル君に伝える事が出来た。

 でも、また涙が溢れ出る。

 今までずっと言いたい事が言えた嬉しさだろうか。

 もう私は抑えられなかった。

 涙が溢れ、嗚咽が止まらない。

 私は顔を両手で覆った。

 こんな顔じゃハル君に嫌われちゃう……。


 その時だった。

 私を包み込むようにハル君が抱きしめてくれた。

 何か言う訳でもなくただただ頭を撫でて抱きしめてくれる。

 ハル君の手……私を助けてくれた手。

 少し大きくてゴツゴツしてる。

 いっぱい修行してたもんね。

 そして、その手でたくさんの人を救ってきた。

 なんだかとっても安心する手。

 そして、心臓の音。

 ハル君の存在をこんな近くで感じる……。


 私の中でハル君はとても大きな存在だよ?

 私もハル君の中で大きな存在になれているかな?

 これから私もっと頑張ってハル君にとってもっと大きな存在になれるように頑張るから……。


 ……だから今だけはもう少しこのままでいさせてください。





シーレント王国でのハルとシャーリーの大事な場面。

自分で出来る限り頑張って書いたつもりです。

皆さんにちゃんとハルとシャーリーの気持ちが伝わったか知りたいので良ければ感想お願いしますm(_ _)m

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