第七十五話 シーレント王国での出来事 その6
俺とシャーリーはシーレント祭の会場を後にし、海辺を歩きながら宿に向かっている。
「今年の祭りも最高だったね!」
「あれって、本当どうやったら出来るんだろう?」
「祭りってやっぱいいよね!」
周りを歩く人達もそれぞれの家や宿に向かいながら今日の祭りの感想を言ったり余韻に浸っていた。
俺とシャーリーもそんな中の二人だった。
「今日は本当楽しかったね!」
「そうだな! 楽しかったな!」
「最近いろんな事があったから……やっぱりこうやって楽しむのも大事だね!」
確かに、最近いろんな事があった。
ドラゴンの事、イストニア帝国との戦争の事、ゴルゾーラ教の事。
俺とシャーリーも大切な人を失った。
そして、イストニア帝国との戦争。
ウィルとソニンも大切な人を失っている。
俺もロイもシャーリーとアリィに心配をかけた。
それなのにこれからまたゴルゾーラ教の事で心配をかけるかもしれない。
ゴルゾーラ教……無詠唱に魔力操作、闇の精霊に魔人化。
こんな楽しい時間はなかなかもうないかもしれない。
「ハル君……?」
シャーリー、いつも俺を支えてくれる。
シャーリーはいつも俺に助けられたって言ってるけど俺はシャーリーに助けられている。
俺にとってシャーリーはーー……。
俺の世界から音が消えた。
周りの人たちの声も、波の音も。
そして、俺の口から自然と言葉が出る。
「シャーリー、俺はシャーリーが好きだ。付き合って欲しいーー……」




