第六十九話 到着しました
「うわぁ〜! スゴイ!!」
ソニンが驚きの声を上げる。
目の前に広がる街。
俺たちはその後は事件なくシーレント王国へたどり着いたのだ。
シーレント王国。
海に面した商業に力を入れた国。
街に入る門には『ようこそ!シーレント王国へ』と看板があり、まるでリゾート地を思わせるような感じで街も観光客のような人も多く見られる。
そんな俺たちが想像する『国』と違った様子にソニンは驚いたのだろう。
ちなみにシーレント王国の城は海から少し離れた高台にある。
門から入ってメイン通りを歩くと道が二手に分かれていて、まっすぐ行くと海へ通じている。
こちらの道は出店が多く、魚介や肉を焼いている店からサンドイッチを売っている店、さらにはお酒を出している店もあり、道には美味しそうな匂いが漂っている。
今は暑い時期のせいか水着姿の観光客などが出店で食べ物や飲み物を買って歩きながら食べたりしていて海では泳いでいる人の姿も見られる。
一方、左手に曲がると城へと続く道でこちらは先ほどの道と違う。
城に続く道で出店はなく、左右には外観、内装ともに落ち着いたキレイな感じの店が並ぶ。
また、こちらは観光客の姿もあるけど商人の姿も多い。
おそらく商談や取引きに来ているのだろう。
シャーリーの実家、マーシャル商会もこの通りにあり、城の近くに位置しているみたいだ。
「さて、やっと着いた事だし、さっそくーー……」
「ダメよ!! 今日はこれに行くから城に行くのは明日!」
俺が城に行こうと言おうとしたところで、アリィが口を挟み何やら貼り紙を指差している。
『シーレント祭! 夜の海辺でみんなで騒ごう!』
と書かれている。
「いやいや! 俺たちは遊びに来た訳じゃーー……」
そう言おうとして周りを見ると、ソニンは貼り紙を夢中で眺め、ウィルまでその横にいる。
ロイは完全に諦めモードで貼り紙が貼ってある壁にもたれているし、シャーリーはもじもじしている。
実はシャーリー、本音は行きたいのだろう。
そして、アリィはしてやったりと言った感じで左手を腰に当て右手でピースサインをしている。
「はぁ〜……アリィちゃんと連絡しといてくれよ?」
「もちろん! 任せて!」
こうして俺たちはシーレント祭に行く事になった。
まぁいろいろあったからたまには気分転換もいいかもしれない。
……本当に『たまには』なのだろか?
一抹の疑問は浮かんだけど俺も初めてだしこの際楽しむ事にした。




