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第六十四話 新たな目的

 ウィルハートはしばらく黙っていたけど、ついに重い口を開く。


 「俺はダビド、いや、ゴルゾーラ教を探し父親の仇を討とうと思います」

 「お兄様!?」

 「……」


 やっぱり。

 おそらく魔人化した皇帝を倒した時から決意していたのだろう。

 ソニンは驚いているけどレドニンはやっぱり勘付いていたみたいだ。

 ダビド……この時代で知り得るはずのない(・・・・・・・・・)知識や魔法を使い、人を人為的に魔人化させる。

 そして、ダビドが信仰しているゴルゾーラ教。

 レドニンが言っていたけど何の目的で戦争を起こさせたのか、それに闇の禁術。

 どうも危険な香りがする。

 それに、ダビドは俺を知っている様子だった。

 無詠唱、魔力操作、闇の禁術、そして俺の事を知っている……。

 何かしらの形で俺が関わっているとしたら俺も知らないふりはできない。


 「国王様、俺もゴルゾーラ教について調べて回りたいと思います」


 俺はある意味(・・・・)相当な覚悟を持って口にする。

 案の定、シャーリーが目を見開きこちらを見て涙ぐんでいる。

 はぁ〜……俺って好きな子を泣かせてばっかでつくづく嫌になる。

 俺は自己嫌悪になりながらも心では決心している。

 なぜなら、このまま放置するのは危険だと俺の中で警鈴が鳴っていらからだ。

 闇の禁術を使い何をしようとしているのか……少なくとも良い事ではないだろう。


 「ゴルゾーラ教のダビドは俺を知っているようでした。それに、無詠唱、魔力操作、闇の禁術……どうしても俺と無関係とは考えられないんです」


 少しの間、沈黙が流れる。


 「父さん、俺もハルと行きたいと思う」


 えっ!?

 ロイの突然の発言に俺はビックリしてしまった。

 でも、俺よりビックリしている顔があるけど……ロイも罪な奴だな。


 「ゴルゾーラ教が何を考えてしようとしているか分からないけど、きっと良くない事だろうと思います。それに魔人化されるような人を増やす訳にはいかないし、被害を増やす訳にはいかない。俺たちの力しか対抗出来ないだろうし、力を持っているのに必要な時に使わないのはいけない。俺はハルを見てそう思いました」


 ロイは俺の方を見てニヤリとして俺に合図を送ってくる。

 あいつ……俺をダシにしやがったな。

 でも、なんだかんだ言って正義感が強く、俺の事も考えてくれている。

 ……何か悔しい。


 「……はぁ〜、おまえたちは言ったら聞かないからな」


 おっと、国王様モードからお父さんモードに切り替わった!

 ロイのお父さんは半分諦めながらこっちを見ている。

 でも、このまますんなりとはいかないだろう。


 「私たちはどうするのよ!?」


 泣き顔のアリィが言い、こちらを見ている。

 そして、隣でシャーリーも涙を浮かべている。

 俺は次の戦い(?)に向けて、姿勢を正した。

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