第五十六話 対イストニア帝国 その4
「おまえこそ何者なんだ?」
俺は質問に質問で返す。
なぜか、こいつに対して俺の直感が危険信号を発している。
「ははは! その度胸を褒めてあげましょう。まさか、無詠唱の使い手、さらに魔力操作を使える者がいるとは……しかし、なぜあなた方が使えるのか興味があるので教えて頂けないでしょうか?」
ダビドと呼ばれている男はニヤつきながらこちらを見て答える。
「俺はアースハイト王国、第二王子ロディーン=アレン=アースハイトだ。ダビドといったか?おまえは無詠唱と魔力操作が出来るのか?」
ロイが俺とダビドのやりとりに入り口を挟む。
「やれやれ、質問に答えて欲しかったのですけど……。まぁ無詠唱は正直あまり得意ではないですね。まぁ、それなりには出来ますけど。魔力操作もそれなりって感じですかね? さぁ、私は質問に答えましたよ?あなたの名前はなんですか? 黒髪君?」
ダビドは無詠唱、魔力操作ともに知っているみたいだ。
こいつは本当に何者なんだ?
「俺の名はハル=アイディールだ。おまえがこの二人に教えたのか?」
「ハル=アイディール……!? もしかして……いや、大司教様が言うにはまだ二歳くらいだったはず……」
ダビドが驚いてるのは分かったけど、途中から言葉が聞こえなかった。
「おい、ダビド!! おまえが言う通りにしてたのにこの二人は我が子達より強いではないか!? どういう事だ!!」
皇帝が罵声をあげて、ダビドに詰め寄る。
「あぁ、もう! 私はいろいろ考えて忙しいのに!!……もうあなたは用無しです」
「!? 貴様!! 何を言っている!!」
皇帝は怒り、ダビドの胸元を掴む。
ダビドは胸元を掴まれ引き寄せられた。
そして、ダビドは皇帝の耳元で囁く。
「そうそう。貴方の奥さんを殺したのはアースハイトの者ではなく私の仕業ですよ? 腑抜けな皇帝陛下様に立ち上がってもらう為にね?」
「貴様!?」
皇帝は顔を赤くし、怒りに震え、ダビドを殺す勢いだ。
「んー、まだ負の感情が足りない気がしますけどいいでしょう」
ダビドはそう言うと魔力を集め、詠唱を始めた。
「我が盟約を結びし闇の精霊よ。闇の心に支配されし生け贄を取り込みたまえ」
「まさか!?」
ダビドが詠唱すると皇帝の周りを漆黒の闇が包む。
「な、なんなんだ!?うぉぉぉぉぉーーーーー!?!?」
漆黒の闇は皇帝を包み込む。
そして皇帝が闇に飲まれ、声が消えみんなが動けない中、あたりは静寂に包まれた。
しかし、それも束の間、次の瞬間、変わり果てた皇帝が姿を現した。
「ヴァァァァァ!!! ……殺ス! 殺シテヤル!!!」
そこには紫の髪に変わり、魔人化した皇帝の姿があった。
活動報告に書かせていたのですが、いろいろ感じる事があり改稿作業に入らせて頂きます!
しかし、基本的に誤字脱字と描写や表現を直したりするだけなので、物語には影響ありません!
なので、今まで読んで頂いてる方はそのまま読み進めて頂いて問題ありませんのでご理解くださいm(_ _)m
基本的に改稿は上記のような事のみなので今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m




