第五十一話 戦争前の戦い
「そんな無茶……何を考えてるの!?」
「ハル君……」
俺とロイはシャーリーとアリィに苦戦していた。
というのも、作戦の概要を説明したらこうなった。
予想はしてたけどなかなか納得してくれそうにない。
もしかしたらイストニア帝国より手強いかもしれない。
「だ、大丈夫だって! ほら! ドラゴンも倒したし俺達ルイーズさんにもいろいろ教えてもらったし……な?」
「そ、そうだ。大丈夫だ」
いけない!
ロイの思考が正常に働いていない!!
「……いつもいつも無茶して……私達の事も考えてよ……」
アリィはそう言うと泣き出してしまった。
「……ハル君、いつも無茶して倒れて……」
ヤバイ!
シャーリーまで目に涙を浮かべている。
何とか起死回生の言葉を……。
「アリィ……すまない。でも、両国の被害を最小限に抑えるにはこれしか思い浮かばなかったんだ。もちろん無茶はしない。無理だと思ったらハルの魔法ですぐに戻るから……だから分かってくれ」
おっ!
ロイの思考が正常に戻ったようだ。
「シャーリー……いつも倒れた時、助けてくれてありがとう。今回は倒れないようにするし無茶はしない。それにこの力はみんなの為に使うって決めたんだ。今回俺たちが動かないと大きな被害が出ると思う。大きな被害になればなる程、悲しむ人が増えたり相手に対して憎しみが大きくなって新たな火種になる。だから何とかしたいんだ。もし危なくなったら魔法で必ず二人帰ってくるから」
俺とロイはありのままの想いを話した。
「……分かった。でも絶対しないでねロイ君」
「ハル君……無事に帰ってきてください」
「「あぁ、必ず!」」
俺とロイは二人に誓った。
あっ、このやりとりは何か『エターナル・ログ』の知識の中にフラグってのがあってよくない流れな気が……。
でもそんなのは気にしてられない。
フラグなんてもんは折って絶対成功させてやる!
俺達の想いを理解して送り出してくれる二人の為にも……。
俺は心に誓った。




